第15回『他社留学ラボ』開催レポート

「越境経験を通じて得た視点と成長」卒業生の所属企業にて越境経験者同士の交流会を開催

2025年2月6日、第15回『他社留学ラボ』を開催し、他社留学の卒業生と関係者が集まり交流を行いました。
他社への越境経験を思い出すことに繋がればという想いで、卒業生の所属企業である株式会社ニフコにて
開催させていただきました。今回は、5年ぶりの参加者から現役留学生まで、様々な方々にご参加いただきました。
卒業生2名による留学経験の発表後、「他社留学が自身のキャリアにどのような意味を持つのか」について皆で考え、
意見交換を行いました。


株式会社ニフコは東証プライム上場のエンジニアリングプラスチック製品メーカーです。
ニフコの製品は自動車をはじめ住宅・家電・スポーツなど多様な分野において世界中のお客様に採用されています。

人材育成の一環として2019年から「越境プログラム」を導入し、毎年数名の社員が他社留学に参加し、多様な価値観や
視点に触れながら自己の強みを深める機会を提供しています。
今回は東京支社の会議室をお借りして、ラボを開催させていただきました。(株式会社ニフコHP:https://www.nifco.com/)


発表者1人目は、株式会社ニフコの新規事業担当者の大山さん。昨年度半年間、週1回の他社留学を経験しました。
留学先は、太陽光パネルを使用した自家発電設備により栽培を行うスマート農業事業を運営するTSUBU株式会社。
留学中は、ソーラーパネル併設型ハウスの施工及び農福連携プロジェクトに携わりました。
(大山さんの他社留学事例:https://www.essence.ne.jp/case/nifcotsubu)


大山さんは新規事業開発のヒントを得たいと考え、他社留学に参加されました。今回の発表では、留学の概要に加えて、
留学先での印象深いエピソードや、留学先のパワフルな社長から学んだこと、さらに留学後に社内へどのように還元
したかについてもお話しいただきました。また、大山さんは留学中から留学先との協業プロジェクトを始め、
現在も進行中のプロジェクト内容についてもご説明いただきました。

留学先の社長の話題になった際には、共に過ごす中で、困難な状況に直面してもへこたれず、常に前向きに行動し
続ける姿を間近で見ることができ、大きく影響を受けたと話されていました。また、留学後半では早朝5時の電車で
三重県に向かい、日が暮れるまで農業ハウス施工の手伝いをし、帰りは留学先の社長の車で4時間かけて一緒に帰った
というエピソードもお話しいただき、皆さん驚かれていました。

オフィスに閉じこもっていたら、他社留学の経験は全く異なるものになっただろうと感じたそうで、留学での一番の学びは
「行ってみよう、やってみよう」ということでした。その学びは現在の新規事業開発にも活かすことができているので、
参加して本当に良かった、と締めくくっていただきました。

発表者2人目は、携帯電話、IoTのインフラ・ネットワーク構築・運用保守を手掛けるベイシス株式会社の管理職である山下さん。
約4ヶ月間、週2日の他社留学を経験しました。留学先は、企業の新規事業開発やイノベーション創出を支援するための事業や
サービス・ソリューション提供を行うベンチャー企業、株式会社Relicです。
留学中は、新規事業開発ツール「Throttle(スロットル)」の事業推進、名古屋拠点の立上げ促進、入札業務に携わりました。
(山下さんの他社留学事例:https://www.essence.ne.jp/case/basisrelic)

株式会社ベイシスは、企業理念を大事にする会社で、個人でもマイクレドを作っています。山下さんは「挑戦」を大切にしており、
チャレンジの場として他社留学に参加しました。留学中は自ら動かないと何も始まらない状況で、相手との距離感を縮める難しさを
感じたこともあったそうですが、積極的に自己開示を行い、提案と実行を通じて信頼を得て、最終的に延長依頼を受けるほど
信頼を得ることに成功したそうです。
 

自社では経験できないような危機感のある環境に身を置いたことで、確実に自分の成長に繋がったと実感。さらに、留学先の
若手社員の成長スピードの速さや優秀さを感じ、刺激を受けました。改めて経験の重要性を認識し、全く異なる環境に飛び込む
ことの大切さを感じたそうです。一方で、全く異業種にチャレンジしたからこそ、留学後に経験を活かす難しさを感じることも
あったそうですが、それ以上に、留学を通して主体性や謙虚さを持つことの大切さを学んだり、自己肯定感が高まったりなど、
多くのことを得られたので、参加して良かったというお話もしていただきました。

発表後には、現役留学生から、留学先でのコミュニケーションやマインドセット、所属組織での仕事との両立についての質問があり、
今まさに悩んでいる留学生にとってヒントとなるお話もしていただきました。

その後、グループに分かれ「他社留学経験が自身のキャリアにどのような影響・効果効能があり、どのような意味を持つのか」
について参加者同士でディスカッションを行いました。
ファシリテーターの組織変革&事業開発コンサルタントの西村氏からの問いかけを受けて、活発な議論が交わされました。

参加者からは
「留学を通して、
多様性や寛容性、異なるバックグラウンドを持つ人とのコミュニケーション方法が身に付き、現在のキャリアに
 活かされていると思う」
動くと何かが起こるのを体感できた。逆に言えば、動かないと何も起きないことも体感した。以前より、挑戦のハードルが下がり、
 気持ちに余裕を持てるようになった」
「他社留学が
立ち止まる機会になった。また、将来的に異なるカルチャーの統合に携わる場合、留学先での経験が役立ちそうだ」
と現在に活かされている点に留まらず、これからのキャリアにおいても活かせそうな点についての話題も出ていました。

また、5年ぶりに参加した卒業生からは
「2名の留学体験を聞いているうちに、当時のことが思い出され、あの時の手ごたえや感じたことが次々と蘇ってきた。今さらながら、 
 その時の経験がとても濃かったことを実感した。忘れている部分もあるが、鮮明に当時の記憶が浮かび上がり、その経験が
 今の自分の糧になっていことを感じた」と熱く語っていただきました。

ファシリテーターからは
「自分が経験した留学の意義や価値を再認識し、留学後も随時再定義し直さなければ、その経験は意味を失ってしまう。
 留学を
過去の出来事として片付けず、メタ認知的に振り返り、常にアップデートすることが大切。
 過去の体験を新たな視点で捉え直すことで、経験の価値を見出し、成長を実感し、次の挑戦への力を得ることができる。
 とても大事なことだが、それを知らない人が多い」という言葉があり、参加者全員の心に響いた様子でした。


ラボの後は、場所を変えて懇親会を行いました。皆さん飲食を楽しみながら、ご自身のキャリアや所属組織、今後の協業について
など、さまざまな話題で盛り上がりました。ラボでのディスカッション以上に、よりフランクに話せる懇親会の時間は、参加者に
とって貴重な時間となったようです。また、社内の仲間だけでなく、社外との繋がりの重要性も改めて実感する時間となりました。

今回は最初の自己紹介の時間から、終始和やかな雰囲気で進行しました。皆さん近況報告を交えながらお話しいただき、驚きや笑いが
生まれる場面も多々ありました。留学体験を発表してくださった2名は、発表を通して改めて留学経験を振り返る機会となり、新たな
気づきに繋がったという意見もいただきました。最後のファシリテーターの言葉にあったように、
過去の出来事を振り返り、常に
新たな視点でアップデートする
ことがご自身の成長に繋がります。他社留学を終えてしばらく経って、遠い記憶となっている卒業生も
多いかもしれませんが
他社留学経験が自身のキャリアにおいてどのような意味を持つのか」ぜひ時間を取って考えてみてください。

次回、第16回他社留学ラボは夏頃を予定しています。詳細な内容や日時等が確定しましたらご連絡させていただきます。数年ぶりの
方も、まだ参加したことがない方も大歓迎です。毎回同じメンバーが参加しているわけではないので、安心してご参加ください。
ラボに対するご質問・ご要望等もございましたら、気軽にご連絡ください。