第6回『他社留学ラボ』開催レポート

「他社留学を起点に組織を変えるには」 卒業生、現役留学生が意見交換

2021年3月5日、第6回『他社留学ラボ』を開催しました。
前回に続き、今回もコロナ禍での開催ということで、オンラインでの開催となりました。
25名の他社留学の卒業生と現役留学生、関係者が集まり、
今回のテーマである「他社留学を起点に組織を変えるには」についてオープンに語り合いました。

今回の発表者は、昨年度ご自身が他社留学に参加し、今年度もクリエイティブな技術者の育成として
6名の社員を送り出している、株式会社ニフコ術開発センター 技術主幹の根津様。
「社内SNSコミュニティを用いた、クリエイティブな技術者の育成促進」というテーマで、
組織を変えるための活動として、他社留学に限らず、自社で行う様々な取り組みについて
お話いただきました。
 


東証一部上場の独立系自動車部品メーカー、株式会社ニフコ(https://www.nifco.com/)。
100 年に一度の大変革の時代を迎えている自動車業界。人材育成の背景には、同じ目的に向かう
個々や組織の意識を変化させ、自走力を持ったクリエイティブな技術者の育成が必要という状況がありました。

根津様は、その取り組みとして2016年から企画創出の仕組み作りをスタート。
様々なワークショップの開催を経て、2019年度、初の他社留学を行いました。
企画開発リーダーとして技術者の人材育成に携わっている根津様は、
まずは自分自身が他社留学を行うことで、越境学習の効果について体感したいということで
株式会社エンファクトリー(https://enfactory.co.jp/)へ半年間の他社留学を実施されました。

 

実際にご自身が留学することで他社留学の人材育成効果を実感され、継続していくことを決め、
2020年度は公募制で選考した6名の他社留学の実施を行いました。
また、他社留学以外にも、ワークショップの開催、大学との産学共同研究、外部講師を招いた講演など、
さまざまな新しい学びの場の提供を進めているところです。

根津様は、それらのさまざまな活動を支えるための仕掛けとして、
社内SNSコミュニティ「Teamlancer」(※下記リンク参照)を企画し、トライアル導入しました。
それが部門や会社の垣根を超えた社員同士の「つながり」「対話力」を高める「コミュニティの場」として広がり、
現在では技術部の約7割である200名が参加するコミュニティへと成長しています。

※株式会社ニフコ「Teamlancerエンタープライズ」の活用について
https://enfactory.co.jp/news/2021/02/24/100051
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000025659.html


そのSNSでは、実際に他社留学をしている6名のリアルな他社留学体験が公開され、さらにそこへ
仲間が返信コメントをして、お互いの意見を交わしている様子も参加者全員が閲覧することができます。
根津様はSNSの個々の発信状況を可視化して分析。投稿、コメント、“いいね”した、“いいね”された数の情報以外に、
閲覧アクセス状況を見ると閲覧のみの方がかなり多い傾向があることが分かり、
参加者の意識と行動変容にもつながり始めているのではと感じています。

根津様は、社内の活動に限らず、外部の活動にも力を入れており、プロボノ活動やミドルシニアの越境ロールモデルの
普及活動等を通して、社外の仲間づくりにも積極的に動かれています。
 


そんなパワフルに活動をされている根津様に参加者からその「原動力」についての質問が出ました。
それに対して根津様からは、
「このままじゃダメだという危機感が原動力です。また、今年度6名が他社留学に参加して、
仲間ができたというのも大きいです。社内でも役職者を含めいろいろな人たちが社内SNSを見て
「いいね」と声をかけてくれるようになり、共感する人が増えてきたというのもあります。
また、社外のコミュニティに参加して仲間ができているのもすごく大きいと思います。」とご回答いただきました。


発表の後は、発表を聞いての感想、気づきなどのシェア、所属企業の取り組みなど、意見交換を行っていただきました。
今回参加された皆さん、出身業界、職種、留学経験など異なっていましたが、皆さん活発に議論に参加されていました。

社内SNSに関しては、「そもそも発信できる場所がない」という企業もあれば、「プラットフォームがあっても
誰も使わなければ意味がない」「社内の中でも全員が前向きに捉えているわけではない、
そういう人をどう巻き込んでいくのか手探り状態で、試行錯誤で進めている」というような話が出ていました。

また、「組織を変えること」については、
「組織を変えるという必要性を感じていない。無理やり変えようとしても変えられない。
自分が仕事を通して発信していくことで組織が変わっていくのでは」という意見があったり、
「留学が終わってから半年くらい経ちますが、留学で得たことを忘れないように自分が動くというのが大事だと思います。
周りのメンバーは越境したことがないから、自分が発信していくしかない。組織全体のことを考えるというよりは、
まずは自分が元に戻らないようにしている。留学先と連絡を取り続けることで、刺激を受け続けています。」
というような話が出たりしました。

「組織を変えること」については、根津様からも
「他社留学の公募を行うときも、”組織を変えよう”といって募ったわけではありません。
応募条件は、ひとつで“新しいことを学んで、自分を変えたい人”です。個人が変化成長して、
結果として組織が変わればいいと思っていました。ただ、実際6名が他社留学をすることでみんなの意識が変わって、
結果的に組織を変えていきたいという思考に変わっていった
んです」
とお話いただきました。

また、議論の中で「KPI」に関しての話題も出ており、その部分については根津様も
常に意識されたということで話をされていました。
「個人の成長や組織の変容という数字に表しにくい部分についても社内で説明できるように準備を行い、
さらには社外でも自ら発信していくことで結果的には5年間で社内でも広く認めてもらえるような環境を作っていった。
ただKPIも大事ですが、想いを伝えることも理解を得るためには効果的だった。」
ともお話されていたのが印象的でした。
 


ラボの最後には、
「他社の取組みを聞き、とても面白く、勉強になりました。」
同じ想いを持った仲間がいることが大事だと思いました。仲間とつながる必要性を感じました。」
あのとき(留学中)を常に思い出しながら仕事していこう、忘れちゃいけないという気持ちになりました。」
などのコメントをいただき、ラボ終了となりました。

参加者の皆様にとっても、当社にとっても、大きな学び・気づきのある実り多い時間となりました。
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

次回、第7回他社留学ラボは2021年7月に開催予定です。
皆様とのご縁を大切に、さらに他社留学の仲間を増やして、みんなで組織を変え、社会を変えていきましょう!