ECを主軸とした業態転換へのキーポイントとは~EC構築の6つのステップ

ファーストリテイリングにてEC部門のマーケティングマネージャーを歴任した、EC事業・新規事業のプロフェッショナルである吉野隆行 氏にECで勝つためのステップや業態転換の方法についてお伺いしました。

  • 吉野隆行 氏のプロフィール
  • ECサイトを構築するための6つのステップ
  • 業種ごとの事例
    • 化粧品のベンチャー企業
    • 林業のアパレルブランド
    • 製造業卸でのDtoC
  • 業態転換を考える際のキーポイント
  • 業態転換を考えている方へのメッセージ

吉野隆行 氏のプロフィール

PlayNode Consulting 株式会社 代表取締役社長
同志社大学大学院卒業。新潟県長岡市出身。広告代理店からキャリアをスタートし、インデックスにてゲオとの合弁会社を設立し事業責任者、ファーストリテイリングにてEC部門のマーケティングマネージャー、バロックジャパンリミテッドにてEC事業部長を経て、PlayNode Consulting 株式会社設立。

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ECサイトを構築するための6つのステップ

――ECで勝つためのステップを教えていただけますか?

例として、年商30億円ぐらいを目指そうという会社で、自社公式サイトの開設、さらに主要なモールであるYahoo!、楽天、Amazonの3つを押さえて、これを同時に立ち上げる場合、4~5カ月の準備期間を目標とします。このとき、考えるポイントが6つあります。

1つ目は、最適なシステム選びです。ここはビジネスモデルの選定や規模感に応じて選んでいきます。

2つ目は、決済方法です。決済に関しては、基本的には広げれば広げるほど売り上げが伸びます。昔は代引きとクレジットカード、銀行振込を押さえとけばよかったのですが、今はキャリア決済やLINE、PayPayなど豊富にあるのでどれだけ広げるかが最初の肝ですね。

今は、ECシステムの中に最初から優秀な決済機能が盛り込まれている時代ですので難しく考える必要はありません。おすすめはAmazonPay。自社の公式サイトにAmazonのアカウントで購入が出来るようにする決済機能です。お客様はいつものAmazonのアカウントで購入出来るので購入率が向上します。

3つ目が、在庫管理と物流構築の並走です。これまで対消費者に直接商品を送ったことがないクライアント様もいらっしゃいます。この場合、在庫管理の仕方や物流の仕組みが全然違うんですね。

通販は基本的に、単品管理をしなくてはいけませんので、そこをどうするかを決める必要があります。これは2通り方針があって、自分たちでやるパターンと外注するパターンがあります。

自社で在庫管理をやる際はシステム構築に時間がかかります。それをどうするか。在庫管理の仕組みで倉庫内管理システム、というのがあるのですが、この導入方法なども決めていきます。やはり内製でやろうと思うと3~4カ月ぐらいかかります。

システム構築と物流構築は同時並行で同じくらい工数がかかると思っています。ただ、昔と違って倉庫内管理システムも月額数万円ぐらいで提供されているので、導入コストはグンと下がっています。スマートフォンアプリだけで完結する場合もありますから本当に良い時代だと思います。

4つ目が、商品の見せ方です。写真撮影や採寸、原稿です。ここもやはり構築に時間がかかります。短縮するのであればこれも専門とする業者に外注することも出来ますが、撮影部分は自分たちで将来的な強みにしていくべきだと思うので、小さくてもいいので社内に撮影スタジオを構えて、自分たちで撮影することをお勧めしています。出来れば動画も撮影したいです。これも構築に3~4カ月ぐらいかかります。

5つ目は、Webマーケティングです。サイトを立ち上げた後でも良いのですが、立ち上げる前からバズらせることも重要ですので仕掛けが必要になってきます。

6つ目に、それをやりきるチーム作りです。やりきるチーム作りを0から立ち上げると結構時間がかかります。これも3~4カ月ぐらいは最低でも必要ですね。

  • 最適なシステム選び
  • 決済方法
  • 在庫管理と物流構築の並走
  • 商品の見せ方
  • Webマーケティング
  • やりきるチーム作り

業種ごとの事例

――具体的な事例をお伺いできますか?

企業によって、ビジネスモデル、販売商材、投資金額などが違ってきますので最適なシステムを選ぶという側面からお話します。

化粧品のベンチャー企業

過去に低価格でブランド力もある化粧品のベンチャー企業のご支援をさせて頂きました。女性の方はよくご存知なブランドです。卸し中心のビジネスモデルなのですが、ECを拡充させたいとのことでご相談いただきました。

先駆企業ゆえの悩みですが、成長してくるとやはり模倣商品も増えていくんですね。先駆者としてのブランドを活かし、お客様のリピートをさせていくECシステムへの変革が求められました。ですので、定期購買に最適なECシステムを選定し、さらにCRM導入・運用をご支援させていただきました。

林業のアパレルブランド

別の事例では岐阜にある林業の会社も支援しました。2代目の社長がチャレンジングな方で、林業が盛んなヨーロッパから林業アパレルブランドのライセンスを取得し、日本展開を図りたいという相談をいただきました。投資予算も非常に限られていましたので、このときは最初からでかいシステムではなくて、「Base」という初期費用0円から始められるもので作って支援させていただきました。

製造業卸でのDtoC

製造卸会社の支援も多くやらせてもらっています。良い商品を作ったとしても、卸し先の小売店の環境に左右されたり、売り場・価格のコントロールも出来ないためEC事業を始めたいというご相談が多いです。

卸商品を自社ECサイトで販売するにはハードルがありますので、EC販路用の商品を作ることが多く、商品開発から関わらせて頂くケースが多くあります。

例えば、ご支援させて頂いているスポーツウェアの製造卸しをしている会社では、企画力もあり海外の生産ネットワークもあるので、自分たちでブランドを作り自分たちのECサイトで販売しましょうという提案をしています。

モノ作りは得意だがECでの売り方が分からない、ということが多くあるので、僕みたいな人間が今の時代は橋渡し役として機能するのだと思います。

コロナ以降は店舗を持つ企業は、基本的にはインターネットで商売を組み立てていく戦略が加速していくと思います。

具体的には、リアル店舗に関してはショールーム化していくと思います。お店に行ってもその場でAmazonで検索する消費者もいて、そのような時代にどうやって戦っていくか。お店に来てくれたお客様をどうやって自分たちのECサイトに誘導していくかは、次の一手として何をやっていくのか、リアル店舗をどうしていくのか、業種業態問わず考えていく必要があります。

業態転換を考える際のキーポイント

――コロナ禍では多くの企業がインターネットビジネスへの業態転換のチャンスと捉えていると思うのですが、必要なマインドセットやステップとしてはどんなものがあるでしょうか?

経営者自身は危機感と情熱を持っていますので、業態転換は可能だと思います。ただ現場が追いついてこない。社員は自分たちの商売や仕事があるのでできない。そこがハードルかもしれません。

組織が大きくなりセクショナリズムに陥ってしまっている会社は、今回のコロナのような大きなトリガーがないと、業態転換は通常時にはなかなかできないと思うので逆にチャンスです。

一方で、優秀な人はスピンアウトして自分たちで小さいながらもブランドを作っています。最近だとD2C企業もありますね。自分たちの工場は持たずに製造を行い、インターネットを活用してマーケティングを仕掛け急速に成長させています。

業態転換にはいろんなハードルがあると思います。業態転換を考える際は外部人材の活用は有効だと思います。僕も独立したので経営者の孤独を経験しているのですが、やはりなかなか腹を割って話せる人間が社内に少ないんですね。そんなときに、外部の人間の意見はすごく重要かなと思いますし、腹を割って話がずっとできる相手でありたいと思っています。

業態転換を考えている方へのメッセージ

これからの時代、外部人材の活用はどんどん主流になっていくと思います。そのときに、外注という考え方ではなくて、従業員の一員や事業パートナーという位置づけで外部人材を捉えていくと、ビジネスが上手くいくのではないかと思っています。そして、遠慮せずに色々と話してほしいです。

先ほども触れたのですが業態転換は基本的には可能だと思います。あとはやるか、やらないか。世の中で伸びている会社はどこかのタイミングで業態転換やピボットをして、勇気を振り絞ってやってきたのだと思っています。ローマは1日にしてならずではないですが、いきなりは成功はしないので、小さくても良いので新規事業などを動かしていくことが重要になると思ってます。

昔だったらインターネットビジネスで何かやろうと思ったときには大きなお金がかかったのですが、今はそういう時代ではないので、まずはその前提に立ってほしいなと思います。
 
最後に僕は池井戸潤さんの作品が好きなのですが、「下町ロケット」という作品があります。その中で、主人公である佃社長が

「会社だってひとと同じでさ。損得以前に、道義的に正しいかが重要なんじゃないのか。相手のことを思いやる気持ちや、尊敬の念がなくなっちまったら、そもそもビジネスなんて成立しない」

と語る場面があります。いいセリフですよね。

PlayNode Consulting も、そういう姿勢で全国の中小企業・スタートアップを支援していきたいと思っています。

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