コロナ時代、DX時代のBtoBマーケティング~鍵はDX浸透後にどんな価値発揮が出来るのか~

エスキュービズムにて取締役及び子会社にて代表を務め、現在は数多くの企業でマーケティングや新規事業のご支援をされている武下 真典 氏に、コロナ禍のBtoBマーケティングについてお伺いしました。

  • 武下真典 氏のプロフィール
  • コロナ禍でのマーケティング
  • 反響があるコンテンツとは?
  • コロナ禍でBtoBマーケターがやっていくこと
  • マーケターへのメッセージ

武下真典 氏のプロフィール

株式会社INNOVATION PATH 代表取締役
大阪大学卒業後、フューチャーアーキテクト(株)入社しエンジニアとしてキャリアをスタート。2008年(株)エスキュービズム入社、取締役および子会社の代表を務める。小売・外食の経営課題を解決するIT製品を企画開発し、Eコマースや店舗スマートデバイスのパッケージ導入数で業界シェアNo.1を獲得。

2017年に独立し、数多くの企業の支援を行い、特にIT企業のBtoBマーケティング支援業務を得意とする。

WirelessWireNews「日本のIoTを変える99人」に選出
著書『はじめてのIoTプロジェクトの教科書』(クロスメディア・パブリッシング刊 武下真典/幸田フミ 共著)

コロナ禍でのマーケティング

―――コロナの前後で企業のマーケティング活動に変化はありますか?

オンラインシフトは急速に進んだと思います。オフラインの展示会ができなくなったので、展示会に力を入れていたところがシフトチェンジを余儀なくされている状況です。一方でWEBセミナーは活況で、いち早くオンラインに移行できたところは以前より場所代もいらない、交通費もいらない、場所を選ばず全国の人にアプローチが出来るなど、効率が上がっているように感じますので、今後はオンラインにシフト出来ているかどうかは大きな差になると思います。

まだWEBセミナーに取り組めていない企業は、集客出来たのが1社でも2社でも小さくて良いのでまずはやってみることが大事だと思います。やっていくうちにどうしたら相手に伝わりやすいかがわかってくるので、うまく出来てきたらもっと集客が出来るようにテーマ設定に力を入れたり、それでも難しければ集客は代行会社に頼んだり、2社3社共催でやらせてもらうなどしたら良いと思います。

コロナ後のマーケティングという視点だと、例えば過去にFAXからメールにシフトしていったように、今後はセミナーもオンラインが当たり前になっている可能性もあるので、早いうちからやっておいてどちらでも選択できるようにしておくということが大事だと思います。

反響があるコンテンツとは?

―――コンテンツや製品の良さなど、広報だけではなくマーケターにおいても外部に発信する機会は多いと思います。BtoB企業においても、コロナの前と後でマーケターは商材の見せ方やメッセージ性を変えていくべきでしょうか?

コロナ禍のメッセージ性というのはBtoB企業においても変えていかなければならないと思います。例えば、セキュリティ商材であればテレワークのセキュリティというメッセージに変えた方がいいと思いますし、勤怠管理ソフトもオフィスにいてくださいではなくどこにいても打刻出来ますでないと売れないと思います。表現の仕方は全然違いますし、それはマーケターが考えていかなければなりません。今はどの企業も、アフターコロナ時代はクラウド、テレワーク、DXということを謳っていますが、大事なことはDXが浸透した後に自社のユニークなポジショニングって何だろう、ということです。自社製品はここが他社に比べてユニークだから成功したという事例を作りに行くことです。もしDXが浸透した後にユニークさを発揮できないようであれば、今からプロダクトを変えて成功事例を作るということも重要です。

例えば、コロナ禍ではECサイトの売上が上がったと言いますが、実際には利益はあまり出ていないところが多いです。元々EC販売は配送コストを含めた諸経費があるため薄利で利益が出ない体質のところが多いからです。ここでEC企業向けにサービス提供している会社のマーケターがやるべきことは、売上が上がるだけではなく利益もこれだけ出た、という成功事例を作りコンテンツに落とし込むことです。そうするとそこを支えた企業はどこだ?となり一気に広まるんです。ここでいう成功事例とは、利益が上がるだけでなく、コストが下がった、社員の意識が変わったなどでも良いので、カスタマーサクセス部門などとも連携しながら一緒に成功事例を作り上げていくということが、コロナ禍のマーケティングにとっては一番早いように思います。

成功事例には、その成功に対して自分たちがどういう価値発揮したかを出していくことが重要です。例えば、私は昔書店のECサイトを作ったのですが、Amazon全盛時代に本屋さんのECって何なの?って思いますよね。しかし結果的には、頼んだら1時間以内に最寄りの店舗で書籍が受け取れるという店舗取り置きの仕組を作り、忙しいビジネスマンにはとてもニーズがあったのでAmazonとのすみ分けが出来たんです。マーケティングにおいては、成果を出したということが一番強く、どこの企業に導入したかということよりも自分たちが関わることで導入した企業のビジネスモデルがどう変わったか、といったところまで事例として踏み込めると良いと思います。

―――成功事例をコンテンツとして作り上げていくことはすごく大事だと思う反面、作るのが難しそうというイメージもあるのですが、企業が手軽に取り組めそうなことはありますか?

例えば今の時期だと、従業員全員をテレワークにした方が良いのか、週2日、3日の方が良いのか誰もわかっていないので、そこをデジタルで捉えて、どういう働き方が一番良かったのかといった発表をするだけでも良いと思っていて、出社日数の配分でもいいですし、満足度調査でもいいですし、自社はコロナ禍でどんな対応をすることで結果どうなったのかというのをコンテンツにしてみる。それだけでも他の企業が知りたい事なので、そういう発信は重要だと思います。

以前小売り24社に自分の足で出向いて、オムニチャネルこれくらい進んでいますか?ということをアンケート取って、「小売りのホンネ」みたいなテーマでホワイトペーパーにして発表したらかなりたくさんの人にダウンロードされました。それは私たちが足を運んで私たちしか持っていない情報だったからだと思います。これを機に自分たちしか知り得ない情報は何か、ということを考えてみるのが良いと思います。

コロナ禍でBtoBマーケターがやっていくこと

製品を売る企業もサービスを売る企業も、マーケティングの大事なことは顧客のインサイト、顧客が何を求めているのかを知り、製品/サービスや自社を客観視して表現できるようになる。その場がオウンドメディアやホワイトぺーパーなので、自分達の商材を顧み分析をする時間を取ることはすごく重要だと思います。BtoBマーケティングはこれがないと絶対にうまくいかない。これがスタートです。

次に自社の商材がDXが進んだ時代にどういう価値発揮をするのか、というコンテンツを考えるのも良いと思います。商材に足りない部分があれば追加するのが一番うまくいくと思いますし、今もコロナ仕様にした方がプロダクトも売れます。そういう意思決定は重要だと思います。

また以前に比べ、変わりゆく未来に対応するために企業では情報収集する時間は長くなっています。裏を返せば、みんな情報収集しているからチャンスなのです。よりHPとか製品ページを充実させないといけないと思います。今まで現地に行って人間関係を築いて伝えることが出来ていたものがオンラインだと今まで以上に難しくなり、その補足を資料やWEB、動画などで補っていかなければならないので、これもいち早くやらないといけないことです。この機会に、自分たちの製品と他社の製品の比較表を作ることを是非やってみてほしいです。そこから新しい切り口、コロナ時代、DX時代の新しい切り口が見えてくると思います。競合のWEBサイトを見て、比較表が作りにくいと思ったら、競合も実は買い手に対してはいいWEBサイトを作れていないということです。自社も同じことで、製品の違いがわからないということです。要するに自分たちの業界の製品を探している人もどれがいいか迷っているということで、これが出来れば競合と差をつけることも出来ます。比較表は、新卒社員に作ってもらうのもありです。新卒だからこそ客観的に見えることはあるので、自社と他社ってそう見えているのかとわかることもあります。

マーケターへのメッセージ

今後は今まで以上に社会的配慮をしていない企業は消費者からも企業からも選ばれなくなると思います。コロナが広がっている状況でも絶対対面打ち合わせがいいから来てくださいという企業は選ばれないし、社員に出社を要求する企業も求職者からは選ばれないのでいい人材も入ってこないです。コロナで一般社員がリモートワークでも生産性を上げることが出来ることに気付き、今後はDXが図らずも加速していきます。DX時代に自分たちがどのように適応していくかは、マーケターの人たちにも考えてほしいですし、私自身も今後模索していくつもりです。

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