顧客に選ばれるためにはどうすればよい?BtoBマーケティングは顧客のインサイトを深ぼること

エスキュービズムにて取締役及び子会社にて代表を務め、現在は数多くの企業でマーケティングや新規事業のご支援をされている武下 真典 氏に、BtoBマーケティングについてお伺いしました。

武下真典
株式会社INNOVATION PATH 代表取締役
大阪大学卒業後、フューチャーアーキテクト(株)入社しエンジニアとしてキャリアをスタート。2008年(株)エスキュービズム入社、取締役および子会社の代表を務める。小売・外食の経営課題を解決するIT製品を企画開発し、Eコマースや店舗スマートデバイスのパッケージ導入数で業界シェアNo.1を獲得。2017年に独立し、数多くの企業の支援を行い、特にIT企業のBtoBマーケティング支援業務を得意とする。
WirelessWireNews「日本のIoTを変える99人」に選出
著書『はじめてのIoTプロジェクトの教科書』(クロスメディア・パブリッシング刊 武下真典/幸田フミ 共著)

BtoBとBtoCのマーケティングで意思決定のプロセスは異なる

マーケティングを考える上でまず理解しておくべきことは、BtoBとBtoCのマーケティングで意思決定のプロセスが全然違うということです。例えば、BtoCであれば個人が他製品と比較し買いたいと思ったものをアマゾンや楽天などでポチっと押して即決なのですが、BtoBの場合はそうはいきません。オーナー社長が即決みたいな場合を除いては、法人としての意思決定ですので、稟議をかける、相見積もりを取るといったプロセスが発生します。BtoBマーケティングは、この企業のプロセスを理解した上で進めていかなければならないというところがBtoCマーケティングとの大きな違いです。仮にBtoBの場合で、一人の担当者がこのサービスを導入したいと言っても、費用対効果どうなの?、相見積もり取ったの?、与信は?、実績は?など様々な要素が絡んできて合理的に決まっていくので、BtoBマーケティングはそこに合わせていかないといけない、ということです。

またBtoBの場合では、いきなり商談などはあまりなく、最初のリードで情報収集をして検討するので、そこから受注に至るまでにリードジェネレーションという考え方があります。そこもBtoBとBtoCの特徴的な違いで、BtoBでは即サービス導入という即決は少なく、例えばBtoC商材で言うところの家や車など、パンフレットを取り寄せて現物を見に行って比較検討して決めるといった長期スパンで決めるプロセスに近いです。BtoBはそこに色んな人の意思決定が絡んだり、選んだ人が失敗したくないという感情もあったり、業績や業務オペレーションに直結していたりもするため、より慎重に選ばないといけないので結構保守的な選考だと思います。

マーケティング戦略を考えるうえで最も大事な考え方

「顧客は誰か?」ということです。顧客が心の中に持っている悩みや本音のようなところを顧客のインサイトというのですが、顧客のインサイトを深ぼるということです。BtoBにおいてもBtoCにおいてもそれは一緒で、どんな悩みを持っている人向けのサービスなのか、相手側の気持ちに立つというところが一番重要です。

例えば、冷蔵庫や洗濯機といった白物家電を選ぶ際に、各製品の機能はあまり変わらないということを一般消費者はわかっており、自分の家のサイズに一番いいものはどれ?自分の家族構成に一番いいものはどれ?ということがわからないために比較検討をします。BtoBマーケティングもそれと同じで、企業が知りたいことは自社にとって最適な製品であり、それがわからないために比較検討をします。サービサーは顧客側の視点に立ち、私たちの製品は他社と比較してこうですよ、他社と比較してここが違うんですよ、と表現することが正しいマーケティングだと思います。

私がIT製品を売っていた時代には、営業先の企業がコンペで複数企業の比較表を作ることが出来ず比較表を代行して作ることもありました。IT製品は難しいので、導入企業担当は結局比較表が作れないということが悩みでした。IT商材の冷蔵庫の例を取ると、家電メーカー各社それぞれ自分のいいと思うところだけを推してきて、容量が大きい、冷凍庫がいい、野菜室が広い、のように比較軸がみんな違うので消費者はどれを選んだらいいかわからなくなります。マーケティングやセールス時には、自分たちが大切にしたい事や、自分たちの一押しポイントなどを入れることも大事ですが、他社と比べるとこうですよ、他社にはないこんな機能がついてるんですよ、といった他社の視点を入れていき相手の気持ちをわかってる感を出していくことで、もっと自社の製品が選ばれるようになると思います。

BtoBマーケティングにおける各社共通の課題

よくあるのは「自社の製品これです。競合は特に意識してません。マーケティングお願いします。」といった依頼です。製品を作る前に顧客の課題があり、その課題に対してこの製品はどんな価値提供をし、それが競合とどう違うかということを絶対に考えてると思います。そこにフォーカスせずに製品が売れるわけがなく、マーケティングにおいては競合に対しどのように自社製品を表現するかということが重要です。仮に完全な競合がいなかったとしても部分競合だけでも認識することは大事で、そこからユーザーのニーズや提供できる価値を見出していくことにも繋がります。

本当はBtoBマーケターが絶対やった方がいいと思うこと

マーケティングというと製品はこれで、次はブログを書いて、メルマガを書いて、展示会に出て、ということをやっている企業が実際多いのですが、本来マーケターがやらなければならないことは、製品を良くすることだと思います。いい製品は絶対売れるので、製品を良くして、その良さを正確に伝えることが本当はマーケターがやった方がいいことなんです。その「いい」定義がとても難しいんですが。

ただ実態としては、製品開発部門とマーケティング部署は分離されているところが多く、それぞれが独立して開発とマーケをやっているところが多いです。マーケが製品開発になかなか意見を言えない、開発には何も携わっていないという状況でなかなかうまくいっていないという企業は、まずマーケ部隊が製品開発部門の会議に参加するというところから始めたら良いと思います。もしかしたら会議の8割の時間は意味ないかもしれないけれど、2割の部分に製品のこだわりなどが出ていたりするので、そこがマーケのメッセージだったりします。

私が以前会社経営をしていた時は、自分が社長兼マーケ戦略部長で、マーケ部門がプロダクトをしっかり理解していない状態でいいマーケが出来るわけないと思っていたので、プロダクト開発にガンガン意見していました。リードを取ったら、顧客はこういうニーズですよとマーケ部門が商品開発にフィードバックすることってすごく大事だと思うのです。製品はこれですという風に固まっているところは多く、実際私がご支援させていただく時も製品に口を挟む時はかなり気を遣いますが、本当は口を挟ませてもらった方が成功確率は高いと思います。

プロダクトカットで製品開発している企業はマーケと製品開発を一緒に行っているという印象を受けますが、私がよく携わるSaaS系ITベンチャーの場合は、製品開発部隊とセールスマーケ部隊が分かれている印象を受けるので、本来は同じ会議体で同じメーリングリストを使ってなど、全部一緒に行っていくのが良いと思います。あるあるとしては、製品開発部門に意見してへそを曲げられると何も進まないという理由で、マーケ部門だけでなく経営者や役員も強く言えないというケースを見かけますが、それが売れない製品を作り続けてしまっているというリスクだと認識しておいた方がいいです。これらの理由で、製品を良くすることを含めてBtoBマーケティングと思っていたら良いと思います。

マーケティングにMAツールは必要なのか?

―――マーケティングというと、マルケトやセールスフォースのようなMAツールやSFAを入れた方がいいんじゃないかという話になることも多いと思うのですが、導入する際の注意点などはありますか?

MAツールを入れる前にやるべきことは、まず手でやってみる、もしくは無料ツールでやってみるということです。現場がいいって言うから入れてみようかと、企業の経営者も効果が何もわからないまま高い費用を払っているケースはかなり多いと思います。例えば、Googleアナリティクスも無料で使えますがそこから読み取れることはいっぱいあるので、MAツールを導入する前に、一度無料のシステムで十分では?ということを考えてほしいです。

実際MAツールを入れてみたけど使いこなせる人が社内にいないというケースも多いです。MAツールを入れているからナーチャリングが出来ていると思っているマーケティング担当者にもっと詳細を聞いてみると、全然ナーチャリングが出来ていないというケースも多く、ツールのデータだけを見るのではなくもっと顧客を見た方がいいなと思います。

例えば、メルマガを1万人に配信してクリックしたのが1%、つまり100人だとします。100人であれば目で見てテレアポを100回やればいいだけで、そのくらいであればツールは必要ないです。これが10万人であればツールは必要かと思いますが、まずは手でやって自分の限界を知る、そして無料ツールを使ってみる。無料ツールを使うということは、自分たちが必要としているのはどの機能なのかという要件定義をしているということなんです。それがわかった上で有料の製品に移行していけばしっかり使いこなせるようになると思います。

私がマーケ責任者だったときは、メール配信ソフトでMAみたいなことをやっていました。MAツールを入れなかった理由は、メール配信をして営業マンもマーケ担当者も誰一人として、データを見て誰がクリックしたかを見ていなかったので、入れても使いこなせないということがわかっていたからです。その時、もし従業員が自分でデータを見て効率的にやりたいからMAツール導入したいって言われていたら検討していたと思いますし、誰も言わないからまだいらないなと思っていました。

―――ではどういった時にツール導入を検討したら良いでしょうか?

まずは自分の手でやってみる、そして人間の処理できる能力を超えてきたときに効率化を図るために導入を考えるということで良いと思います。例えば、エクセルだと無理な時やデータが三次元になった時、データが数万行になった時など、人間がやるよりもシステムにやってもらった方が効率がいい時です。

導入を決めたら、何を優先するかを考える。価格なのか追跡機能なのか、CVRが高まるなのか、自分たちの状況などを分析して優先順位を決める。もし優先順位を決められないのであればいれなくて良いと思います。

BtoB商材のTVCMマーケティング

―――最近BtoB商材のTVCMが増えてきた気がしますが、BtoB商材のTVCMは実際効果ありますか?

私のある支援先の企業がCMを流したら、ターゲット企業の経営者から多くの問い合わせが来ました。TVCMはまだ製品やサービスが認知されていない、かつターゲットユーザはTVを見ている、という場合は効果が期待できると思います。

―――BtoB商材でうまくいくCMとうまくいかないCMの違いは何でしょうか?

先程お話した顧客のインサイトをついているかというところに尽きると思います。うまくいっているTVCMはBtoBもBtoCも一緒で、どんな悩みを持っている人向けの製品なのか、相手側の気持ちに立つというところが一番重要で、製品の強みや困っている企業の悩みなんかをうまく表現できているCMはうまくいっているところが多いです。一方でただ有名芸能人を使って製品のことは一切わからないといったCMは効果がないと思います。

ではどうしたらCMでうまく表現できるかというところですが、まずは自分たちの商材のコンセプトや強み、どんなターゲットにはまるかという、自社と他社と顧客のことを正確に認識する必要があります。企業のどういうニーズに自社製品が響くかをしっかり認識出来れば、それをCMで代弁するだけなのでそういうケースはうまくいきます。

CMは実はマーケの集大成だと思っていて、もしかしたら費用対効果だけ見たら悪いかもしれないのですが、今までいろんな施策をやって、いろんなセグメントからリードが取れていて最後にもっと未開拓のセグメントはあるのではないかと、そういう時にマスに対してより認知を取れて今までリーチできなかった層に情報を届けられるという点でとてもいいと思います。


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アフターコロナのBtoBマーケティング ~DX時代に押さえるべきマーケティングの新常識とは?~

コロナ禍の影響で営業機会の喪失が叫ばれている昨今、DXの波に乗るべく多くの企業がデジタル化への道を模索しています。マーケティングや営業においても展示会や対面営業に頼らない新しい手法の確立の検討がなされる中、自社だけでの推進に課題を感じておられる経営者や営業責任者の方も多いのではないでしょうか。

 この度、アフターコロナのBtoBマーケティングについて、コロナ禍以前からプロフェッショナルとして活躍されていた元エスキュービズムの取締役の武下真典氏とプロ人材の紹介により様々な経営課題の解決支援を行うエッセンス社、そして、クリエイティブの力でBtoBのリード獲得・ブランディングを支援するAOI BtoB Brandingによるディスカッション形式のイベントを開催いたします。

 コロナ禍を好機として捉えたい経営者や営業責任者の方、ぜひご参加ください。

■日時:7月30日(木)15:00〜17:00 ※14:55より入室可能
■こんな方におすすめ

  • アフターコロナのBtoBマーケティングについて知りたい経営者・事業責任者の方
  • BtoBマーケティング・セールスのデジタル化の方法について知りたい方
■コンテンツ
  • あいさつ・趣旨説明・ゲスト紹介
  • ゲストインタビュー(武下真典様)
  • 各社プレゼン(AOI Pro.・エッセンス)
  • Q&A
参加料:無料

開催方法:Zoom



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6/4|【他社留学オンライン勉強会】Withコロナ時代だからこそ大企業に必要なマインドセットとは(無料)

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