次世代リーダーは社外で生み出せ。スタートアップ留学が経営人材を創る理由

 企業が存続し、価値を生み出し続けるためには、優秀なリーダーの存在が必要不可欠です。不確実かつ先の予測が難しいVUCA時代において、リーダーの育成方法が変わろうとしています。

 経済産業省は、社長候補者に社外での経営経験を求め、社内の主要ポストを公募制にするよう促すことを検討しています。

 実際に、他社に勤めた経験のある新任CEOの割合は、米国・カナダ94%、西欧86%を占めるのに対し、日本はわずか18%にとどまっています。

(参考:https://www.yomiuri.co.jp/economy/20211201-OYT1T50014/)

 それでは、企業の未来を担う主要社員が、社外経験を獲得するにはどのような方法があるのでしょうか。
 本記事では日本企業の次世代リーダーが社外勤務経験を得る方法をお伝えします。

次世代リーダーとは

 そもそも、本記事のタイトルである「次世代リーダー」とはどのような人材を指すのでしょうか。

 次世代リーダーとは、将来、企業経営を担う可能性のあるリーダー候補者のことです。企業が永続的に利益を生み出し続けるには、次世代リーダーの育成が非常に重要です。

日本の一般的な次世代リーダー育成方法手順

 ここからは、日本企業における一般的な次世代リーダー育成の一連の流れについて解説します。

次世代リーダーの要件設定

 次世代リーダーを育成するにあたり、初めに次世代リーダーの具体像を明確にします。それぞれ抱える経営課題・経営ビジョンが異なるため、一概には言えませんが、基本的に以下の要件が求められます。

・課題発見力    ・イノベーションを生む力
・変化適応力    ・学習能力
・比較優位性    ・多様性受容力
・リーダーシップ  ・共感力 
・意思決定能力   ・実行力

候補者の選抜

 次世代リーダーに求める要件定義の後、候補者の選抜を行います。

 リーダーに必要な素質を兼ね備えているのみでなく、今後更に成長が見込めるハイポテンシャルな人材の選抜が重要です。選抜方法として代表的なものは以下の2つです。

部門長による推薦

 上司による推薦は、最も一般的な方法とされています。

 しかし、顕在化した能力のみで判断されやすく、将来の成長に必要な、潜在的能力が評価されない可能性があります。
 
 また、推薦者のバイアスに基づいて判断が下されることもあるため、注意が必要です。

社内公募

 次世代リーダー候補者を募集し、向上心のある人材が平等に挑戦する機会を得ることができる選抜方法です。
 育成過程に入る前にテストや面談を行い、希望者を絞る場合もあります。

候補者の育成

 候補者の選抜を終えたら、次に育成を行います。
 次世代リーダーの育成は、以下のフローで行われることが大半です。

座学

 初めに、リーダーとして、又は1人のビジネスパーソンとして「どうあるべきか」を問う座学を行います。

 経営陣などの講話から、自分自身への期待を理解し、学びの体制とモチベーションを形成することが目的です。 

クロストレーニング

 クロストレーニングとは、普段と異なる部署や立場で業務を行うことです。
 
 次世代リーダー育成におけるクロストレーニングの最大の目的は、それぞれの部署の機能と役割に対する理解度の向上にあります。
 
 自社内において、どの部署がどのような役割と機能を担っているのかを理解することは、今後の経営戦略の策定や、課題発見の際に役立ちます。
 
 また、新たな部署での学びや経験は、元の部署に持ち帰り活用することができます。

Off-JT

 Off-JTは、通常業務以外の場で、業務に関する知識等を学ぶセミナーや研修を指します。
 
 社外で行われることの多いOff-JTですが、社内で実施されることもあります。この場合、専門家や社内の経営陣に講師を依頼することが大半です。
 
 また、異業種の次世代リーダーとの交流の場を設けることも、効果的なOff-JTの具体例として挙げられます。

ストレッチアサインメント

 意図的に困難な課題への挑戦を促すストレッチアサインメントは、次世代リーダーの育成に有効です。
 
 困難な課題の具体例として、子会社の社長・新規事業立ち上げの責任者・全社的なプロジェクトリーダーの任命が挙げられます。
 
 これらの課題から、緊張感のある修羅場経験を積むことで、リーダーに必要な器の形成が期待できます。

評価・振り返り

 育成の結果、「予め定めたリーダーの要件に候補者が近づいているか」「現在の方法の継続で更なる成長は見込めるか」という観点で定期的な振り返りを行うことが非常に重要です。
 
 また、経営層がメンターとなり、本人の課題への個別指導を実施する方法が導入できると、モチベーションの維持と育成効果の向上が期待できます。

改善

 振り返りの結果、問題や課題が明らかとなった場合は、改善策を検討します。
 育成方法の改善・本人のモチベーション維持方法の改善など、それぞれの原因に合わせた改善策を検討することが必要です。

次世代リーダー育成における日本企業の課題

 これまで、日本企業で行われている一般的な次世代リーダー育成方法について見てきました。
 ここからは、次世代リーダー育成において、日本企業が抱える課題について明らかにします。

育成の体制が整っていない

 育成に適した環境や制度が十分でなければ、次世代リーダーの育成は困難です。
 
 例えば、ストレッチアサインメントやクロストレーニングの実施にあたって、候補者が入るポストに空きがなければ、経験を積ませることも難しいでしょう。

 また、通常業務に追われ、Off-JTの日程確保が難しいということも考えられます。

優先順位が低くなりやすい

 次世代リーダーの育成は、効果が得られるまでに数か月から数年間と長い年月がかかります。なお、この効果を定量的に測定するのは容易ではありません。
 
 企業は、成果が見込めるかわからない長期的な施策よりも、企業が生き延びるための業績拡大など、短期的な施策に目を向けがちです。
 
 そのため、次世代リーダーの育成が社内の最優先経営課題とされにくく、先延ばしになってしまうケースも少なくありません。

社外で腕試しができない

 育成を通じて、新たな知識やスキルを身に着けたとしても、社外で通用するものでなければ意味がありません。
 
 企業が継続的に存続するには、競合に打ち勝つ必要があります。社外での腕試しは、現時点での自分の立ち位置・強み・弱みを客観的に把握することができる重要な機会です。
 
 しかしながら、この機会の確保は非常に難しく、多くの企業がインプットからアウトプットまでを自社内で完結する傾向にあるようです。

人脈の拡大が難しい

 次世代リーダーに必要な人脈の拡大は、社内育成では限界があります。
 
 たしかに、クロストレーニングやストレッチアサインメントを通じ、普段関わることのない自社の社員との接点は確保できます。
 
 しかし、社内を中心とした育成では、社外のビジネスパーソンとの接点を持つことは難しく限界があります。

次世代リーダー育成における新たな方法の「他社留学」

 企業は、次世代リーダー育成において多様な課題を抱えていることが分かりました。
 そこで、これらの課題の解決に有効な方法として「他社留学」をご紹介します。

他社留学とは

 冒頭で、海外企業と日本企業の経営者の社外勤務経験には大きな差があるとお伝えしました。この、社外勤務経験を実現する1つの方法が「他社留学」です。
 
 他社留学とは、自社の枠組みを一定期間離れ、他社で他社のプロジェクトに参画する越境型の研修のことです。

他社留学に期待できる効果

 他社留学は、自身の能力の腕試し、異文化内での協働の機会です。
 また、課題を自ら発見し、行動に繋げる機会でもあります。
 
 したがって、通常業務では得ることのできない学びや経験の獲得が期待できます。

エッセンスの提供する他社留学

 ここからはエッセンス株式会社の提供する他社留学の特徴についてご紹介します。

特徴

 次世代リーダーの育成を目的に、大企業の幹部候補社員に自社の枠を超え、スタートアップに留学の機会を提供しています。
 
 エッセンスの他社留学は、未知の会社やメンバーと共に、課題発見や課題解決を活きたテーマで実践的に学ぶ越境研修型プログラムです。
 
 スタートアップ特有の文化や事業スピードに触れることにより、企業に還ってからも事業や組織の変革を牽引できる人材の育成を目指しています。

 
( https://www.essence.ne.jp/service/ryugaku/case )では、実際にご参加いただいた企業様の事例もご紹介しています。

まとめ

 多くの欧米企業では、他社での勤務経験が経営者の条件となっているのに対し、日本では、他社での勤務経験のある経営者はごくわずかです。
 
 日本企業では、次世代リーダー育成方法において様々な課題を抱えています。
 最後にご紹介した「他社留学」は、社外での勤務経験を通じ、社内では得ることのできない経験や、スキルの獲得に有効です。
 
 この機会にぜひ、従来の育成方法に加え他社留学の導入を検討してみてください。

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