オンライン研修導入の3つのステップ~人事担当者がすべきこと~

ベンチャー企業やオーナー企業での人事領域(研修・人材開発・採用、等)のご支援を得意とする冨田晋作 氏に、コロナ禍でのオンライン研修の取り組みについてお話を伺いました。

  • 冨田晋作 氏のプロフィール
  • テレワーク導入時に、人事担当者がまず最初にすべきこと
  • オンライン研修の2つのパターン
  • オンライン研修導入の3つのステップ
  • オンライン採用・研修導入支援の事例
  • オンライン採用・研修導入支援のきっかけ
  • 経営者、人事担当者に向けたメッセージ

冨田晋作 氏のプロフィール

tag&associates株式会社 代表取締役
ベンチャー企業にて営業・事業開発ならびに人材・組織開発の責任者を歴任。その後アジアパシフィックに展開する冒険家が設立した人材・組織開発のコンサルティング会社、株式会社IWNC(I Will Not Complain)に参画。成長企業に対して次世代リーダー育成を核とした組織開発の支援に従事する。

その後tag&associatesを創業、事業成果に貢献する人材開発をテーマに、クライアントの戦略人事として人材・組織開発の企画・運用支援や社会課題を解決するアントレプレナーシッププログラムの開発・運営等を行っている。

テレワーク導入時に、人事担当者がまず最初にすべきこと

現在、多くの企業がテレワークに移行しつつあります。そんな中で、オンライン研修のお話をする前に、人事担当者がまず初めにやらなければいけないことを、3つ話したいと思います。

1つ目は、従業員の心身ともに健康で安全安心の状態を確保する・構築していくこと、メンタルのケアです。優先順位は最も高いです。在宅ワークを続けていると誰ともコミュニケーションが取れず孤独を感じる人がいたり、現場でなければ仕事が出来ない業種の人が仕事がない状態で在宅ワークをすることは精神的にきついです。
実際私のクライアントでも現在は仕事ができず、この状況が続くことによりお客様から自分たちはいなくても大丈夫と認識されたらどうしようと悩んでいる方もいらっしゃいます。こういう状況の中だからこそ、人事として社員一人一人の価値を伝えると同時に、総務や情報システムと連携して在宅ワークの環境整備に努めることが重要です。

2つ目は、ラインマネジメントとの連携です。管理職の方がメンバーと積極的にコミュニケーションをとることを推奨することです。オンラインで朝礼を行う、ミーティングをして近況を聞いてみる、オンライン飲み会をしてみる、など同じ時間を過ごすことを推奨してみてください。管理職もメンバーもお互い情報が入ってこなくなると、悪い意味でどんどん内に向いてしまいます。
またコロナの影響が長期化する可能性もあり経営陣としては事業投資の優先順位を大きく変えたり、場合によってはビジネスモデル自体を変える必要性に迫られています。そういった意思決定のためにも情報を組織内で還流することが大事です。これらを個々人の判断に任せるのではなく、人事として発信し、仕組化して、継続してコミュニケーションをとれる状態を保てるようにするのが大事です。

3つ目は、運動です。Youtube なども活用し家の中で簡単にできることを推奨するなど、社員の代謝と免疫を継続して上げることも大事です。私のクライアントの中には毎朝自宅でご家族と一緒にラジオ体操をしている方もいて、「リフレッシュして気持ち良いです」と仰っていました。運動を日常生活の中に取り入れていくことを人事として推奨していくことが大事です。

以上3つ、まず何でその話をしているの?テレワークと関係あるの?と思われるかもしれませんが、メンタルヘルスはテレワークにおいて大事なポイントです。これらが前提にあってはじめて事業や組織の話ができると思います。このような前提がなく、いきなり事業や既存の研修をどうにかするという話をしても、多くの方は違和感を持つのではないでしょうか。
企業によっては投資の優先順位も変わり、研修の優先順位や実施方法・時期に関して見直しも入っていると思います。人事は攻めと守りの両方があり今のタイミングだとリスクヘッジやメンテナンスがあってこそです。既にやられている企業もあると思いますが、まだできていないという企業があればこういうときに人事として責任を持って発信する良いチャンスだと考え、積極的に推奨していってほしいです。

オンライン研修の2つのパターン

オンライン研修には2パターンあります。

一つはeラーニングです。動画を視聴するだけのものや、問題を解きながら自学自習するものなどいくつかのパターンがあります。eラーニングをこの機会に導入することは本当におすすめです。こういうことを言うと怒られるかもしれませんが、知識を得るためだけの研修の為に会場を用意して社員を集め講師を呼ぶ、などは可能な限り辞めた方が良いと思います。今の時代、知識を得ることが目的であれば、書籍はもちろんのこと動画視聴やYouTubeでも充分だと思います。

例えば製造業のOJTに必要な研修では、実際に現地に足を運んだ方が工場の規模感、生産工程や物流のリアル感、周囲の環境など得られる知見は多いと思います。しかし、このような状況下では積極的に実施することはできません。どうしても必要な場合は目的を絞り、製造業のラインでこの作業をやる、このメモリを見てこうするなど全体の流れや個別の作業を覚えることを目的として、動画で録画してオンライン視聴することも可能です。このように何かを見て覚えることに関してはオンラインで十分代替できると思います。

もう一つは、対話型・双方向型の研修で、最近であればZoomやTeamsといったオンラインコミュニケーションツールを活用したものです。講師やファシリテーターがいて、伝えて、みんなで共有して、というやり方です。新規事業、リーダーシップ、評価者研修などいくつもテーマがありますが、こちらもオンラインのツールを使っての実施や代替が可能です。

対話型・双方向型のオンライン研修のメリットをお伝えすると、1つ目として参加者がリーダーシップを発揮する良い環境であるということです。実地の集合型研修の場合、参加人数が多くなればなるほどいわゆるフリーライダーが多くなりますが、オンラインですと全員が画面で表情や所作を確認できますので、良い意味で逃げることはできません。もちろん人数に影響は受けますが、100名を超えるような大人数の場合でもグループ分けなど運営方法の工夫次第で、いつでもその環境は作れます。

メリットの2つ目として社内でのファシリテーター育成にとても良い機会だということです。社内の人材開発の観点からするとこれが最も大きなオンラインのメリットかもしれません。実地の集合型研修の時は外部講師や人事の方がファシリテーターを行うことが多いと思います。大人数であっても一ヶ所の会場なら動き回ってお互いの運営のサポートができます。ただオンラインではそうはいきません。対話型・双方向型の場合は参加者に対する適切なティーチング、コーチング、フィードバックが成果創出のための肝になります。そしてこれらのスキルは適切なインプットをベースにしながらも、基本は場数を踏むことがスキル向上に繋がります。実際に私も支援先の企業でインプットをした上で参加者の方にファシリテーターをお願いすると回数を重ねるに連れて必ず全員ができるようになります。

そもそもファシリテーターという言葉自体の定義も様々ですので、形式にこだわりすぎず、その研修の目的に沿った本気・本音の対話を実現することが大事です。そういう意味では誰もが持ち得るスキルであり、何よりこのスキルは通常の事業の現場でも必要であり、一石二鳥にも三鳥にもなると私たちは考えご支援しています。

また、対話型オンライン研修の時に、私は参加者の方にいつもより少しだけリアクションをしていただくようお願いしています。いいねマークを押す、手を上げる、ホワイトボード機能やチャット機能を使う、紙に書いて伝えるなどなど。お互いのちょっとした心がけで精神的距離感をググッと近づけられます。実地で行うと空気感で、「この人今わかってないだろうな」とか何となくわかるのですが、オンラインだと空気を読むことができないのが難しいところで、画面だけだと何が理由で目が止まっているのか分からないようなこともあり、意識してリアクションしてくださいとお願いしています。最初に意図をきちんと伝えると好意的に受け取っていただく方が多く、実際にやってみると結構面白いですので、ぜひお試しください。

オンラインは集中して話せて聞ける、本音で話せるというメリットがありますので、テーマが何であれ、運営事務局側と参加者側双方に十分メリットがあると思います。一般的にオンラインだと双方向型はやりにくいと思われがちですが、そうではないとはっきりお伝えしたいです。

オンライン研修導入の3つのステップ

まず大前提として、現状のコロナ対策の社会状況や事業環境を考えたときに、経営として事業成果と戦略に関して変更する可能性が高い、つまり予算の見直しが入る可能性があります。この前提があるので、人事の方は経営者としっかり話し合ってください。

上記の前提を踏まえて、第1ステップ。
今までの研修をオンラインにする方法ももちろんあると思いますが、予算投下の観点から、研修系とか販促面は優先順位が落ちやすいので、何に予算を使うかを見定める必要があります。その上で、研修体系の中で①絶対に必要なこと、②やった方がいいこと、の区別・優先順位をつける必要があります。

オンラインへの切り替えの第2ステップは、上記予算投下の優先順位付けをしっかり行なった上で、オンラインで出来ること/出来ないことの優先順位をつけながら見定めていくことです。オンラインでは代替できないものがある場合には、各企業の意志やビジネスカレンダーに沿って、いつ実施するかを決めておくことが必要です。これらの作業を行い、経営者を含めた必要なステークホルダーとしっかり対話した上でオンラインに切り替えていきます。

オンラインへの切り替え最後のステップは通信・セキュリティ環境の整備です。例えば、福利厚生としてタブレットを支給したり、インターネット回線の補助、通信のスピードや容量のグレードを上げる、なども良いと思います。会社によっては通勤費や研修費など一部費用や予算が使われていないこともあると思いますので、その分の予算を充てて通信環境や在宅ワークの推進をサポートすることも大事な検討事項だと思います。

これら3つのステップでオンラインへの切り替えを行っていきます。

オンライン採用・研修導入支援の事例

現在ご支援している企業は、コロナの影響により採用や研修をオンラインに切り替えることにしました。経済の先行きが見通しにくい中で、企業は事業のチャンスメイク、ワーストシナリオの両方を考えなければならない時期に来ています。ですので、経営者や事業部長クラスと今後の具体的な施策について考え、ディスカッションし、事業の方向性について話し合っています。

また他の企業では、例えば外勤が多いMRや保険の個人営業、店舗業態で働いている方、また建築や建設業の方など、今働きたくても働くことができない業種や業態の従業員や管理職の方に、自分たちが提供している価値がアフターコロナ、ウィズコロナでどう変わるのか、について考え話し合う研修などもオンラインで提供しています。普段は自分の意識が目の前のタスクやオペレーションに集中しているため、自分の仕事の社会や会社の中における価値を考えたことがない方も多く、この研修は個々の主体性やエンゲージメントを高めるという意味で非常に良い機会となっていると感じています。

上記2つには共通していることがあります。
それは、研修という機会を通して、自分たちの価値やお互いのつながりを確認できる、相互承認をベースとした安心安全の効果があるということです。コンテンツは工夫次第で如何様にでもできますので、こういう時期だからこそオンラインで集まって研修をやる意味を、人事がしっかり発信していくことは、とても重要だと思います。

ーオンライン研修を導入するとき、企業の抵抗感はありましたか?

抵抗は全くありませんでした。オンライン研修に切り替える際に、私が取り除かねばならないことは、オフラインからオンラインに切り替える時に生まれる「経営者・人事担当者の不安」です。

しかし突き詰めて考えると、オンラインに切り替えることへの不安というのは、今までの研修を実地で行っていた、つまり成功体験が実地研修だったから、という理由だけなんです。

「本当に実地でやらなければならないことは何か?」と考えた時に、想像しているよりも多くのことはオンラインで代替出来てしまうことに驚く方もいらっしゃいます。そういう意味でこれからは、実地研修でなければいけない意味を今まで以上に考える必要があると感じています。

オンラインは本当にやってみた方が良いと思います。この時期だからこそ何か研修という場を通してやらなきゃいけないと思っている企業や人事の方がいましたら、まずグループコーチングをおすすめします。アフターコロナ、ウィズコロナにおける事業機会の創出とリスクヘッジ、自分の仕事の価値など、時世に沿ったテーマ設定と適切なファシリテーションがあれば、効果はかなり高いです。
私自身も行なっているのですが、グループコーチングの開始前と開始後では参加者の事業や自分の職責に対する主体性がはっきりと上がります。オンラインに慣れている講師と一緒に行なうことで、事務局や参加者の方もオンラインへの抵抗感が薄れると思います。

オンライン採用・研修導入支援のきっかけ

私がオンライン導入の支援を始めたきっかけが2つあります。

1つ目は、採用においては以前から、実地からオンラインに切り替えていく潮流がありました。特に新卒採用に関しては、企業が交通費を出して地方の学生が東京へ面接に来ることに、個人的にもかなり前から懐疑的に思っていました。実際オンラインに切り替えてやって暫く経っていますが、採用のオペレーションやクオリティーには全く問題がありません。

例えば学生からすると、企業の雰囲気を知りたい・訪問したいと思うこともあると思います。ただこの社会状況の中で絶対に今やらなきゃいけないの?と考えた時に、別の時期でも良いよね、となるので、新たにオンラインで採用や選考活度をスタートされるクライアントもスムーズに運営しています。

現在、大手企業は軒並み選考の延期が続いています。その影響もあって私たちが主にご支援しているベンチャー企業やオーナー企業では、例年より多い応募が来ています。実際学生さんからもオンライン選考があることで感謝されることが圧倒的に多いです。認知度が高くない企業にとってはチャンスです。大企業の採用活動が再開する前に、積極的に人材市場にプレゼンテーションしていきましょう。

2つ目、研修領域においては、オンラインにすることで①一気に多拠点で展開できる、②研修を受ける方の移動時間の節約、③運営側は会場設営の手間が省ける、といった運営サイドのメリットもあげられます。私たちもこのメリットを考え、2年くらい前からオンラインでも研修を提供しています。

実地なら膝をつき合わせられますが、オンラインだと顔を突き合わせられるので、「○○さんはどうしたら前向きになってくれるかな?」「○○さんの理解を深めるにはどうしたらいいか?」「○○さんと△△さんの関係性がイマイチそうだから、しっかり話してもらおう」とかコミュニケーションの細かい部分に人事の担当者や私たちが今まで以上に意識と時間を向けられると感じています。実地研修のあるあるなのですが、会えばなんとかなる、集まればなんとかなるという運営チームの期待感があります。もちろんそういう部分もありますが、オンラインではコミュニケーションのプランをより精緻にできます。

講師やファシリテーターとして注意すべき点は、実地研修以上に参加者とのコミュニケーションの頻度を上げるということです。繋がっている感覚をいかに作るかが大事なので、私も講師をするときは、テレビ番組のアナウンサー並みに参加者に話を振って発言してもらうように心がけています。そうすると自分が思っている以上に参加者の方から反応があり嬉しくなります。裏を返せば1人1人考えていることはあるわけで、それを人事としてしっかり受け止めるチャンスだと思います。

経営者、人事担当者に向けたメッセージ

今回のお話を通して私がお伝えしたいことは、こういった社会状況を契機と捉え、自社の人材開発にとって絶対必要なことは何かについて考えてほしい、ということです。

やったらいいこと=不要不急なものが多いので、事業のキャッシュフローと関連づけながら人材開発や組織開発における優先順位を見直してみるいい機会だと思います。その上で、オンライン研修でできること/できないこと、このタイミングでやるべきこと、を考えてほしいです。

経営者の皆さん、一緒に勝ち抜いていきましょう!

人事担当者の皆さん、コーポレート部門はいま大変な状況だと思います。すごくストレスフルな状態になりやすいと思いますし、自分たちだけでは対応できないこともあると思うので、経営者としっかり話し合って優先順位を決めて実行することと、自分たち自身のメンタルケアを第一にしてもらって、この時期を乗り越えていきましょう!

\冨田晋作 氏に"無料"相談が出来る/

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