新卒採用を全てオンラインで完結させる上で気を付けるべきポイントとは?

パーソルキャリアにて13年間、人事コンサルや人材紹介、自社採用などの経験を持ち、独立後はベンチャー企業の採用や人事制度・オペレーション設計などの支援をする山田 寿志 氏に、新卒オンライン採用についてお話をお伺いしました。

  • 山田氏の現在の活動
  • 会社説明会における大事な4つのポイント
  • コロナ禍で企業はWeb面接を導入すべきか?
  • 採用のミスマッチを防ぐための大事な2つのポイント
  • 内定後のフォローで気をつけたいこと
  • 学生に選ばれるための組織ブランディング
  • 採用担当者へのメッセージ

山田寿志 氏のプロフィール

出版広告会社にて営業に従事した後、インテリジェンス(現パーソルキャリア)に転職。クライアントに対して求人メディア、人事コンサル、人材派遣、人材紹介を行なう。また、自社採用(新卒500名、中途500名、延べ1000名以上の面接)にも携わり、営業マネジャーとしてインサイドセールスの立ち上げ、支社の立ち上げにも従事。

2019年6月に独立し、十数名~300名規模のベンチャー企業やオーナー企業の組織人事、採用コンサルティング、人事制度・オペレーション設計、経営企画の支援を行なっている。

Twitter ID:@growthatworks

山田氏の現在の活動

――山田さんの現在の活動とこれまでのキャリアについて教えていただけますか?

独立して丁度1年経過しますが、スタートアップ~年商30億の大手企業まで、人事顧問・HRBP・オペレーションやリファラル制度設計、ATS運用、ベンダーコントロール、HRテック導入といった人事に関わる上流から下流までご支援しています。

その前は、約13年間パーソルキャリアにて、求人広告、人事コンサル、人材派遣や人材紹介、アウトソーシングなど多岐に渡る営業部門のマネジャーとして業務に従事していました。ただ業務を遂行する上で、所属部門以外のサービスがお客様に案内できないことにジレンマを感じていました。そのジレンマを解消するために、自分の売上にならなくてもお客様が求める他部門のサービスの紹介や、解決案を提案していたことで、結果的にお客様から評価され、自らが総合的な窓口になることが多かったです。

パーソルキャリア退職後は、自身のキャリアに悩んでいたこともありました。転職した会社の子会社社長ポジションも約束されていたのですが、働き方のマインドや価値観が大きく異なる為、早期に退職しました。再度自分自身の今後のキャリアを考え抜き、自分の最も強みである事から挑戦してみようと考えて出た結論が「人事×ソリューション」です。人材系企業時代に培った様々な経験知見を活かして、お客様の状況に合わせた課題解決にこそ価値があると考え、独立することにしました。

会社説明会における大事な4つのポイント

学生は会社説明会を経てエントリーするわけですが、オフライン、オンラインに関わらず会社説明会は、どんな人が働いているのか、楽しそうに仕事しているのか、など顕著に分かるので、学生に選考に進んでもらうためにもしっかり準備をしておく必要があります。ここで会社説明会を実行する上で大事なポイントを4つ挙げておきます。

ポイントの一つ目は、第一印象や目・耳から入る情報をどのような内容で伝えるかです。どの部署の誰が何の仕事をしているのか、どんな表情で語っているかを学生はよく見ています。

二つ目は、独自性があるかどうか。コンテンツを明確にし、動画や参加型を考えている企業は独自性があります。

三つ目は、ロケーションなど、対象者の状況を鑑みた時に、駅から近いのか、分かりやすい場所にあるのか等です。

四つ目は、説明会前後の学生とのコミュニケーションです。例えば、多くの学生が活用しているツイッターなどのSNSで、企業の情報を日々発信し、SNSの中で学生とコミュニケーションを取るなど、世代に合わせたコミュニケーションをとることが大事です。

――説明会となると上辺で綺麗な情報しか聞けないんだろう、と思っている学生も多いかと思うのですが、企業側はどのようにしたら良いでしょうか?

ある程度情報が美化・加工されていることは学生側も認識していると思います。しかし、社員が辛い出来事や大変な事象があった時に、どのようにしてその会社や社員が乗り越えてきたのか、どんなフォローがあったのか、など真摯な姿勢で話すことが大事です。社員が不安になったときにどのようなサポートやバックアップの体制が整っているかも、会社の風土やスタンスに表れてきます。

事実と異なるという印象を受けた時に一番ギャップが大きいので、事実は事実として伝え、それをどう捉えているかを伝えることが重要です。そのほか若年層の活躍の場があるということもアピールしたい重要な要素です。

コロナ禍で企業はWeb面接を導入すべきか?

いまのコロナ禍だと、web面接導入していないと、学生からのエントリー数が減る可能性もありますし、アナログだから入社後もアナログな仕事を進めていなかなきゃいけないのかな、と感じる学生は多いと思います。

また、web面接が増えると企業にとっては人事工数やコストダウンのメリットもあります。首都圏にいても、地方にいる学生を採用できるので、web面接のほうが企業も求職者にとってもメリットが大きいと思います。

よく採用担当の方から、「Web面接は難しいのではないか?」という相談を受けることが多いのですが、難しいわけではなく慣れていないだけ、だと思うので積極的に導入を進めていってほしいです。

Web面接の導入に必要なものは、ツールの準備と通信環境の2点です。ZoomやTEAMS、Skype、Calling、ベルフェイス等色んなツールは出ていますが、どれもサービスとしては大きな差異はありません。導入基準も①接続が途切れることなくコミュニケーションがとれるか、②大量接続した際にサーバーダウンしないか、セキュリティが脆弱でないか、③コスト感はどうか、の3点ですので、Web面接導入のハードルは高くないと考えています。

――最終面接だけは対面実施したい、という企業も多いと聞きますが、最終面接だけでも対面ですべきでしょうか?

Webでも対面でもどちらでも良いと思います。考えてほしいことはなぜ、最終面接が対面じゃないとダメなのか、です。明確な考えがない場合は、前述の通り対面で行なうことはそんなに重要ではないのかなと個人的には思います。対面実施したい方のお気持ちは理解できるのですが、大事なことは最終面接でその学生を採用するかどうかの意思決定を様々な情報や基準から判断することが目的なので、それがWeb面接で達成できるのであれば問題ないと思います。

新しいチャレンジは全て違和感から始まるものです。例えば、LINEも最初は違和感あったのではないかと思います。ITを導入する上で一番大事な事は、仕事が効率化・合理化したことによって何を得られるかを検討することです。企業が時代に目線を合わせていなかったとしたら、「トップダウンだ、新しい事は取り入れない会社なんだ」と思われ、その後のエントリーや選考に影響する可能性もあります。そして企業の方針やスタンスは目に見える形で現れます。

採用のミスマッチを防ぐための大事な2つのポイント

どんな企業であっても採用のミスマッチは防ぎたいと考えていると思います。ミスマッチを防ぐために、面接時に大事にしたいポイントが2つあります。

一つ目は、候補者の「コンピテンシー(行動特性)」、つまり基本的なマインドやストレス耐性、職務遂行能力や再現性を作る行動など、を判断することです。例えば、困難な局面に対峙したときにどのような行動をとるかなどです。これは本人が意識的に行っている場合と、無意識に行っている場合がある為、対象の行動の根幹にある(思考や動機)を顕在化させる事が必要です。

二つ目は、「相手に興味を持つ」ということです。前述のコンピテンシー(行動特性)を、顕在化させるためには、ありふれた質問や、一問一答の構造型の面接で終わってしまっては、コンピテンシーを判断する事は難しいため、発展的にその先の会話に接続する必要があります。そのためには、日常会話と同じように相手に興味を持つことが大事で、それが出来れば面接で相手をより理解できるのではないでしょうか。

採用のミスマッチを防ぐには、面接を通して見えてくるコンピテンシーと自社の採用基準を掛け合わせることが重要になってきます。応募数の多い大手企業や人気のベンチャー企業では、一定のスクリーニングを行うので、書類選考で学歴や経験を判断基準にすることは至極当然ですが、最終選考の合否をコンピテンシーを鑑みずに、学歴や経験だけで決定しないように気をつけて頂きたいです。

採用のミスマッチということに関して、中途採用の話にはなってしまいますが、人材の要件定義の際に考えてほしいこととして、例えば中途採用の求人で営業経験3年以上、といった表記をよく見かけると思います。採用の担当者に営業経験が3年と2年で何が違うのか?を問うた時に、大体そうだから、それ以外の基準が無い、あるいは基礎的なOJTが面倒なので3年に設定している、という答えがよく返ってきます。しかし「何をしてきたか、何ができるか、何故そうしてきたか」が分かれば、経験年数などは本来不問です。SPIもアルゴリズムで算出している推定結果だと考えていますので、その結果次第で合否を出してしまうのは、本当にそれでいいのか?と、一度立ち止まって考えてみてほしいです。

内定後のフォローで気をつけたいこと

面接官は「今、自分が学生だったらどうされたいか?」が、考え方の根幹にあるべきだと思っています。その上で、会社としての採用・内定後の学生へのフォローの方針を定め、どのようにコミュニケーションをとるか、といった手段を詰めていけば良いと思います。

例えば、内定後のフォローや連絡方法を、5W1Hに則してお互いに合意形成を図るのが良いかと思います。つまり、対象のスタイルに合わせる、迎合するのではなく、時代背景や対象者の世代に合わせたコミュニケーションに企業が合わせていくことも大事で、内容は都度アップデートすれば良いかと思います。

学生に選ばれるための組織ブランディング

学生に選ばれる企業になるためには、経営陣や人事だけが頑張るのではなく、選ばれる企業を社員全員で目指す事が大事です。

インターネットが普及し企業の情報は簡単に評判サイトやSNSなどで見れますので、上辺だけ取り繕っていても中身を見抜かれてしまい、情報が隠し切れない状態になっています。ダメな事は変える、良い事は継続させると会社自身が裸になり、その上で取り組んでいる事、長期的に目指している事を明らかにし、学生に選ばれる企業を社員全員で目指しているということが大事です。

組織ブランディングとは、一言でいうと差別化です。差別化とは、市場や競合比較の観点を持ち、何で戦っていくのか、それをどう表現しカタチにしていくかなど、現状を明らかにしそこにプラスアルファの付加価値を見出すことです。人も組織も保有している要素を発揮してこそ意味があります。

中小企業は、大手と比較すると知名度は低いかもしれませんが、特許の取得が多い、海外シェアNo.1、ニッチな領域で表彰されている、もしくは働いている従業員を徹底的にフォーカスし、打ち出していくなど、様々な角度でブランディングしていくことが可能です。もし仮に『自分の会社は何を打ち出していいかわからない』と感じているのであれば、それこそ経営課題である為、私自身が社長や人事のディスカッションパートナーとして組織ブランディングを一緒に考えたりもしています。

採用担当者へのメッセージ

アフターコロナで求人倍率も下がり、買い手市場になりつつあるから企業は何もしなくて良いという訳ではありません。ここ5年で採用の在り方が大きく変わってきていて、この転換期だからこそ企業のスタンスや採用手法、人事の重要度を再考する時期が来ていると思っています。人事戦略こそ経営戦略に紐づけていくことが最も重要です。ぜひ手段や方法、本質的な問題の改善をするにあたり、プロ人材を頼っていただきたいと思います。

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