EC販売がなかなか伸びないとお悩みの方へ~EC強化のためのロードマップとは

元楽天ECコンサルタントで、現在は大企業を中心に、企業・商品のブランディングやPR、ECコンサルなどを手掛ける永井 楽心 氏に、これからECを始める、または始めている、新規参入が増えてきてさらに何か手を打たなければと感じている企業が、これからのウィズコロナの時代に、何をしていくべきかについてお聞きしました。

  • 永井楽心 氏プロフィール
  • EC販売強化のためにまずやるべきこと
    • ポテンシャルを最大限に発揮する
    • 出店数を増やし可能性を広げる
  • 商品価値を高め、価格競争に巻き込まれないために
    • ブランドとは?
    • 商品価値を高めるためには?
  • 新しい時代は、新しい意思でつくる

永井楽心 氏プロフィール

株式会社ユニイク代表取締役
早稲田大学卒。2004年株式会社JTB入社。06年2月楽天株式会社入社、楽天市場事業に配属。13年1月楽天グループ総合 MVP第1位受賞。教育先進国オランダへの短期留学を経て、13年9月楽天株式会社退社。

「いいもの持っているのに言語化可視化されていないから価値になっていないことが我慢ならない」と、アウトプット教育を志し、同年株式会社ユニイク設立、PRコンサル・ブランディング・研修・教育事業(こども宣伝部®︎)を行う。一般社団法人多様な生き方と出会う対話の会 代表理事。ポジティブ心理学教職課程修了。

EC販売強化のためにまずやるべきこと

これまで実店舗販売に力を入れてきて、これからECを始める、これまでもECはやってきたけれどさらにECを強化していきたいと考えている場合、まず初めに、短期的にやるべきことが2つあります。

この話をする前に大前提として、まだオンライン上でお店を出していない方は、小さくても良いので1店出店してみてください。楽天やアマゾンのようなモールでも良いですし、STORESやBASEのような自社ECサイトを簡単に作れるサービスを使っても構いません。後者であれば、テンプレートもあるので、写真や商品名さえあれば20分程で簡単に自社のECサイトを開くことが出来ます。今はお店のブランディングや体裁よりもまずはECサイトを開いたということを、まずは身近なお客様からで良いのでFBやLINE@などで発信することが大事です。

コロナ禍の自粛マインドがある間は、実店舗に今まで以上に人が来るということは見込めない、また今後も同じ状態には戻らないと腹を括って、20分でいいので、時間を割いてEC販売を開始する、これは大前提としてお願いしたいことです。

話を元に戻すと、短期的にやるべきことは①ポテンシャルを最大限に発揮する、②出店数を増やし可能性を広げる、という2点です。

ポテンシャルを最大限に発揮する

ポテンシャルを最大限に発揮する、とはすでに持っている商品はとにかくECサイトに出そう(商品登録数を増やそう)ということです。自分がすでに持っている商品をECサイトに載せきれていないということは、せっかくポテンシャルがあるのに、その力を発揮していないということになります。

例えば、倉庫には100商品ある、でもネットショップにはまだ5商品しか載せられていないです、これだとポテンシャルとしては5%しか出せていません。このような場合、まず最優先事項としてやるべきことは、残りの95商品をECサイトに載せることです。

ECの仕事はストック型です。積み上げた分だけどんどん成果が上がるのみならず。楽になっていきます。商品登録というと、写真を登録し直すとか一見面倒くさそうに見えるのですが、一度登録さえしてしまえば、24時間お客様との接点を持ち続けられる可能性が出てくるわけです。投網を広げるイメージですね。これは1日という話ではなく、1年も2年も先まで皆さんを助けてくれる可能性がある。だから今しんどくてもここに時間を使ってください。

あるクライアントさんの場合ですが、卸業として既に4000商品がありましたが、ECサイトには2000商品しか登録していませんでした。外注業者さんにお願いするなども含めて、時間とコストをかけてでも残りの2000商品をできるだけ短期間で商品登録をすべて進めたところ、売上げが3倍くらいまで伸びたという事例があります。時間あたり生産性が非常に高い判断でした。

商品数が少ない企業さんもいらっしゃるかと思います。その場合は、色んな写真で商品を魅せ、お客様がほしくなるような言葉でライティングをし商品の魅力を伝えることでポテンシャルを発揮します。

ポテンシャルを生かし切ると、自分の想像を超えた売上げが上がってくる、この先も長い時間自分たちを助けてくれることになるところがECの面白さだと思います。

出店数を増やし可能性を広げる

ポテンシャルを100%出し切ったとします。では次にやるべきことは、店舗数を増やすことです。

例えば、自社サイトでお店を開いて100商品登録出来たら、次は楽天市場に出店して同じ100商品を登録する、今度はヤフーショッピングに出店して100商品を登録する、さらにアマゾンにお店を出す、このように複数店舗展開していく、これがいいやり方だと思います。既に会員がたくさんいて多数のお客様が流れるように入ってくるモールの力を利用した方が、日本では集客が圧倒的に早いんですよね。SNSでフォロワー数を増やすとか、自社サイトのメールアドレスを増やすことよりも、いろんなショッピングモールにお店を出すほうが、短期的な売上げを上げるという観点からみると結果は出しやすいです。

別のクライアントさんの場合ですが、最初1店舗しかECサイトを展開していなかったのですが、最終的に5店舗まで増やしたところ売上げは7~8倍になりました。5店舗だから5倍ということではなく、いろんなお客さんが見てくれることによって商品も回転し、商品ページの更新頻度も上がることから、うるおいのあるお店になりやすい。ポテンシャルを十分に発揮出来ている方が今やるべきことは複数店舗の展開を進めていくことが非常に有用です。

以前よりも、商品登録したものを新たに出店した別店舗に移行出来るサービスは増えているので、複数店舗展開が簡単に出来る時代になっています。店舗数を5倍に増やしたからと言って、商品登録の手間も5倍かかるのかというとそうではないという状態にもなっています。この辺りはテクノロジーの進歩のおかげで、だいぶ効率化されていると感じます。

以上2点①ポテンシャルを最大限に発揮する、②出店数を増やすことが、これからEC販売を始める、EC販売を強化していく際に、短期的にまずやるべきことです。

商品価値を高め、価格競争に巻き込まれないために

ECをスタートさせる企業は今後も増えていくと思います。実店舗以上に激しい競争原理、特に価格競争には大いに巻き込まれていきます。マーケティングや広告を駆使して売っていくのもありだとは思いますが、中長期的に安定的な収益を確保していくためには、店舗と商品のブランディングは必要不可欠です。

ブランドとは?

アップルがなぜいい商品を出し続けているのか?作れるのか?考えたことはありますか?

すっごく当たり前のことなんですけど、経営陣から社員、関連会社の全員が「いいものを出してやろう、みんなが喜ぶものを、わくわくするものを作ってやろう」と思っているからいい製品が出来るんですよね。これは何かというと、「意思」なんです。自分たちが何を表現したいのか、だれの役に立ちたいのか、だれを喜ばせたいのか、どんな風に驚かせたいのか、このような「意思」がこもっていること。これが何よりも肝要なことだと思っています。言い方を変えると社員が「自社の製品やサービスが好き」で、自分たちで作り上げたものに「熱狂」しているということです。

商品価値を高めるためには?

やりたいことと求められていることが重なったところにのみ商品価値=バリューが生まれます。特に「好き」と「熱狂」を生むためには、意思がすごく大事になってきます。

社員の方が自社の製品やサービスについて嬉しそうに語れるその製品やサービスは不思議と売れていくものです。そしてその製品やサービスは少々高くても買われていくものです。これについて、下図でもう少し分解して話をします。

商品価値には、機能的価値と情緒的価値という2種類があるとお考えください。機能的価値とはまさに機能、スペックのことで便利かどうかといった価値基準が適用されます。情緒的価値とは、感情的に感じる魅力のことで好き嫌いと価値基準が適用されます。商品価値を上げるためには、機能的価値(スペック/求められていること)の上に、情緒的価値(=意思/感情)を乗せないと商品価値が上がらないという時代にすでに入っていることを皆さんご存知のことかと思います。

機能的価値が充足されていることを前提に、作り手や社員の方の一生懸命さや「面白いことをしてやろう」という意思みたいなこと、これを私たちは実は大いに感じ取っているので、他の製品とスペックが同じだったとしても、その中でアップルを選んでいるんですね。「何でアップルを選ぶの?」「だってこのアップルが好きだから」というところに繋がってきます。

実はものづくり大国日本の多くのメーカーさんが不得意な部分でもあります。今まで機能的価値で勝負してきて、他の商品より安く、研ぎ澄まされて機能的に優れている、便利なものを生み出すことに特化してきたために、情緒的価値を乗っけることの重要性に注視してこなかったことが原因なんですね。

私はメーカーさんのブランドコンセプトを作るご支援をさせていただくことが多いのですが、一番時間をかけているところは「我々は顧客に対して何を提供したいと思っているのか」という意思をずーっと聞いて掘り下げていくことに知恵と時間をもっとも使っています。意思と商品コンセプト、意思とマーケットを繋げていくということは第三者的目線がないと自分たちではできないことが多いようです。

余談ですが、ブランドコンセプト策定のご支援をしていると、みんなの意思を出し合うので、そのメンバー間の仲が良くなって、ミーティングを重ねるごとに集まるのが楽しくなっていきます。これはオンラインコミュニケーションであっても変わりません。巻き込む仲間も徐々に増やしていくので、チームビルディングとして最高だと思います。テレワークが増えてきて、メンバーのコミュニケーションが希薄化する中で、ブランドコンセプト策定はテレワークでも出来るのでチームビルディングにはもってこいだと思います。

新しい時代は、新しい意思でつくる

コロナの影響で機能的価値の訴求の競争に歯止めがかかったと思います。良くも悪くも一旦いろんなものがストップできたのではないでしょうか。いまこそ情緒的価値を乗っけて、人々と繋がりながら自分たちの価値を一緒に作っていける人を増やす時代に入ってきました。そういう意味でTogether感や共感を大事にしつつ、自分たちは何をしたいのか、なんで今の世の中に対してこの商品を提供したいのか、という作り手側の意志みたいなものを、言葉や写真や絵で表現して言語化・可視化する、これが今やらなければならないことだと思います。

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