事例紹介

株式会社テレビ朝日×株式会社マチルダの導入事例

「リーダー像やパーパスなど、マネジメントや事業、サービスのレベルアップに必要なことを学ぶことができた」(職種:営業企画 留学頻度:週2日、留学時:新卒入社14年目)
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目的
・新規事業に繋がるヒントを得る
・他業種を経験することで新たな知識の習得・情報収集を行う
・急速に成長しているサービスを牽引する経営陣とリーダーシップ、そのマネジメントや事業ビジョンを間近で感じる
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背景
異なる業界での経験を通じて多様な価値観や発想、知見、人脈を得るなど、これまでにない形でリーダー人材を育成する必要があった
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効果
・リーダーシップの重要性を感じることができた
・他業種の知識や情報を得ることができた
・他業種において、自分が培ってきた経験等をどう生かすか、考え実行する機会をいただけた
・新規事業のイメージを作る際の、必要な情報やマインドを知ることができた
他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」にインタビュー。留学前、留学中、留学後の想いについて、体験談を語っていただきます。
今回お話を伺ったのは、株式会社テレビ朝日。他社留学を経験したのは、ソリューション推進部の寺田さんです。留学先は、家庭料理のテイクアウトステーション「マチルダ」の開発及び運営を行うベンチャー企業、株式会社マチルダです。留学中は、主に顧客の継続率向上策を考えるプロジェクトに携わりました。
所属 株式会社テレビ朝日
留学先 株式会社マチルダ
他社留学期間 週2日/3ヶ月間(2022年12月~2023年2月)
留学した人 セールスプロモーション局 ソリューション推進部 寺田 祐樹さん(留学時:新卒入社14年目)

自己成長を目指し、楽しみな気持ちで始まった他社留学

——まず初めに、他社留学に参加した背景をお聞かせください。
寺田さん(以下、寺田) 会社で他社留学の公募制度があり、応募して決まりました。応募理由は、同時期に会社で新規事業企画の募集があり、自分も応募していた状況で放送以外の事業に関して学べる機会だと思ったことがまずあります。また、テレビ朝日でも、ジョイントベンチャーに出向した経験があり、そこで得られたマネジメントや戦略作り、経営の観点などは自分を成長させてくれたと感じており、再びそういった環境で学び、成長したいと考え、参加させていただきました。
——他社留学にはどんなことを期待して参加しましたか?
寺田 他業種のプロジェクトに参加することで、他業種の企画に対するアプローチの仕方や業務自体の内容、体制作りなど情報収集ができたらと考えていました。また、労働市場において、どのような需要や考え方があり、どのような人材がいるのかをリアルに感じたいと思っていました。加えて、社外から見ることで「テレビ局」がどう見えるか、どういった特徴があるのか、ということを感じてみたいと考えていました。
——他社留学前はどんな気持ちでしたか?
寺田 社外の方との仕事やプロジェクトに参加することはこれまでもあったので、他業種、他社に参加させていただくことに不安はありませんでした。まったく知らない世界に飛び込ませていただくので、得るものしかないと思っていましたし、「3ヶ月でできることをやろう」と前向きに考えていました。これまで会社で様々な部署に所属してきましたが、どの部署やチームでも自分で目標を設定し取り組むことで得られるものが多かったので、今回も新しいチャレンジからどういった経験ができるのか、非常に楽しみでした。

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成果物を残すことを意識した3ヶ月

——留学中は、実際にどのようなことをしたのでしょうか?
寺田 3ヶ月あっという間に終わってしまったのですが、自分にできることを探して実行しました。マチルダのビジョンとして、サービスの拡大を目指すというフェーズだったので、拡大が進む中で必要となることは何かを考えました。そのひとつとして、ユーザーとのタッチポイントであるステーションでのコミュニケーションの質を、ステーションの数が多くなったとしても、どこでも一定のレベルで提供できるようになることが重要なのではないかと考え、マニュアルを作成しました。
また、これまで実施してきたイベントの振り返りと整理をし、年間のスケジュール表を作成しました。これによって、どのシーズンにどういったイベントを実施するか、昨年はどういった結果だったのか、運営をどのようにするか、など、組み立てられるようにしました。これらの作業から、業務のある程度のマニュアル化、資料化、目にして確認できる環境の整理は大切で、業務効率を改善することにつながると実感しました。
——今お話いただいた内容はどのように進めていったのですか?
寺田 サービスに従事されている方は皆さん、日々の業務対応で大変なため、「こういうの必要ですか?」と聞くよりも、現在無さそう、こういった資料やルールがあったら効率があがりそう、というような資料をまずはラフでも作ってみて、そこから相談、確認をさせていただきました。そうすると「あり、なし、ここはもっとこうしたほうがよいかも」というリアクションをいただけるので、そこから作業の精度を高めていきました。
——どんなことを意識して業務を進めていったのですか?
寺田 意識していたのは、与えていただく一方ではなく、自分がしっかりと成果物を残して貢献するということでした。留学先に貢献して初めて他社留学が成立すると思っていたので、「何かを残さないと」とずっと考えていました。すぐに成果を残す、効果を出す、ということは、正直、私のスキルや経験では難しいと感じたところもあったので、今後マチルダが成長していったら必要になると思うことをイメージして、業務を進めました。また、資料は作りっぱなしで風化してしまわないよう、今後の資料管理者、更新担当者のイメージもあわせて、作成して共有させていただきました。

難しさを感じながらも留学先に貢献

——留学先に貢献できたなと感じたことはありましたか?
寺田 留学先の経営チームにも言っていただいたのですが、チーム、立場関係なくコミュニケーションが取れる部分を評価いただけました。マチルダは大きく3つの部門に分かれていましたが、それぞれの領域で対応している業務が異なっており、プラスαのコミュニケーションによってサービスや業務の改善ができる余地がありそうだなと感じることがありました。私はそれぞれの領域の方たちとコミュニケーションを取る機会をいただけたので、色々な方たちと話をさせていただいて、その中で聞いた話を他の部門の方に伝えるなど、“つなぎ”をしたところが、そう言っていただけたのではないかなと。
全然関係のない業種から来た外部の人だから、どこの領域にも知識があるわけでもなく、先入観がなかったので、できたということもあるかもしれませんが、どのような業種、仕事でもコミュニケーション」は重要であると感じさせられた経験でした。
——他にも貢献できたと感じたことはありましたか?
寺田 すぐに成果を出しているわけではありませんが、クリエイティブ領域に関しての考えや意見は少し貢献できたかと思っています。期間内で動画編集をさせていただく機会があったのですが、動画が持つメッセージを伝えるパワーを感じていただけたことで、サービス訴求や説明の際に動画を用いたらどうか、という議論が生まれました。また、キャラクターの2次展開によるユーザーの方とのコミュニケーションやビジネスの拡張案なども、キャラクター、IPビジネスに携わる会社での経験から、提案できたものかと思っています。
——難しさを感じたことはありましたか?
寺田 期間内でたくさんのことを学ぶことができましたし、3ヶ月の中でやれることやったつもりですが、業種や現在のマチルダの規模を理解するにつれて、自分のこれまで培ってきた経験やアイディアを落とし込むことの難しさを感じたこともありました。留学前にCEOの丸山さんから「これまで寺田さんが携わってきたビジネス、クライアントとは状況が違うので、その中でなにができるか」と言われたのですが、ピンときていませんでした。ただ、いざ留学が始まると丸山さんが言っていた意味がわかりました。
留学前はテレビ朝日で取り組んできたビジネスやクリエイティブの経験を生かして貢献できることを、と考えていたのですが、マチルダはそういったことを落とし込むことは、まだ状況的にタイミングではないとわかりました。具体的には、マスメディアとして多くの方にコンテンツを届け、広告主様のコミュニケーションに貢献するテレビ局のサービスと、特定のエリアでコアターゲットを定めてアプローチしているマチルダの性質の違いを、実際に参加することでリアルに感じました。自分が普段携わっているビジネスの特徴や規模を感じるとともに、いざ普段携わっているビジネスの手法を落とし込む状況ではないとなったところから、どういったことで貢献するかをかなり考えました。
——留学先の経営陣の印象はいかがでしたか?
寺田 代表の丸山さんとCOOの福沢さんが2人で経営をリードしていたのですが、お二人は全然違ったタイプで、それぞれ非常に魅力的なリーダーでした。お二人とも情熱がベースにあったうえで、丸山さんのロジカルな力と、福沢さんの企画力などがマチルダの推進力になっていると強く感じられました。お二人とも、節目節目でこれからのビジョンや夢を情熱的に伝えていたのですが、こういった琴線に触れる発信は非常に大切だなと思いました。リーダーの発信でメンバー、チームの動きが変わるのを見ることができたんですよね。人が人を変えるというのを強く感じました。

他社留学を通しての気づき・学び

——留学を通してどんな気づき・学びがありましたか?
寺田 労働市場を感じるという点に関しては、業務に参加されている方たちの参加の形が多岐に渡っており、普段の自分の業務環境とは違い、学びのあるところでした。サービスを構成しているのが社員だけではなく、投資家、副業、アルバイトなど、さまざまな形でサービスに参加されている方がいて、そういった働き方、働いている方の考え方などを感じさせていただく機会になりました。自分が新規事業に携わる機会があった際には、チームを形成する上でイメージする際に必要な観点や考え方を得られた貴重な機会だったと感じています。
また、毛色の変わった気付きかもしれませんが、見た目も意識すべき点だなと感じました。ユーザーの方との直接のコミュニケーションがあったり、食べ物を提供するサービスであるというところも大きいですが、服装や清潔感など、マチルダにおいてはしっかりと意識すべきポイントと感じました。サービス内容や業種によっては、非常に重要で大切な要素だと改めて感じました。
——異業種に関わったからこその気づきというのはありましたか?
寺田 とにかく色々得ることが多かったです。当たり前ではあるのですが、新規事業をイメージする上では、その分野における必要最低限の知識・文化というものを知っておくことが大切だと感じました。実際に留学をさせていただくことで、そういったものに加え、事業規模やリスク管理といった現場の生きた情報も感じられたこともありがたかったです。
他社留学に参加する前は「主に共働きの子供がいる家庭」をメインに据えているマチルダのサービスはかなりニッチなところを狙ったサービスだと思っていました。ただ、実際に参加すると、需要が供給を大きく超えており、そのサービスに対する期待感、需要感に驚きました。ニーズがある領域を自分が感じ取れておらず、イメージで勝手に「マーケットが限定的で、規模も大きくはない」と思い込んでいたところは、自分の見聞の狭さを感じさせられました。
——留学を通して気づいた自社の優れた点はどんなところでしたか?
寺田 歴史が築いてきたブランドと経験、様々なネットワークは、非常に大きなストロングポイントだと改めて感じました。マチルダの皆さんにもテレビ朝日という名前から興味を持っていただけたところもあったと思い、メディアとしての認知度の高さや話題性というものも感じられました。また、放送だけに限らずイベントやコンテンツビジネスなど、多岐に渡ったビジネスを展開しているところも、マチルダで今後何ができるか、を考える際にはイメージを膨らませる上で活かせたと感じています。

今後への想い

——今後に向けて考えていることはありますか?
寺田 留学先では、必要な際には適宜、1on1ミーティングを設定し、コミュニケーションを行っていました。そういった取り組みは必要だと思うので、自分がマネジメントに携わるようになった際には取り入れたいと思いました。また、個のコミュニケーションに加え、チーム単位でコミュニケーションも大事なので、そういったチーム単位でのコミュニケーションをしっかりとリードできればと思います。ビジョンをしっかりと明示して、そこに向けてどうしていくか、ということの精度を個からチームという単位で高めていければ、業務に対するアプローチやスピード感も効率的になると思っています。
——今後、テレビ朝日をより良い会社にするためにどのようなことが必要だと思いますか?
寺田 留学先では経営との距離感が圧倒的に近く、売り上げや戦略など、経営領域のトピックスに触れる機会も多く、そういった経営領域の情報や理解の重要性を身を持って感じました。ユーザーとの距離も非常に近かったため、求められているもの、改善すべきポイントなども日々感じることが多く、そういった点へのアプローチとスピード感は学ぶものがありました。市場でのサービスの評価や改善に求められるスピード感や、経営的な観点を知る、持つことは個で理解できると業務へのアプローチも変わると感じており、こういったことをより多くの働く人が興味を持ち、知ることによって、チーム、会社の力が増すと感じました。
また、マチルダで印象深かったユーザーの皆さんの言葉として、「ありがとう」「頑張ってください」という言葉があります。ユーザーの皆さんは、お金を払ってサービスを購入いただいていますが、「生活の改善につながっている」「問題を解決できている」ということに対して、一緒になってサービスを成長させる、共に歩むという感覚を持っていただいているのではないかと感じました。ユーザーの方にそう言っていただけるサービスになると強いなと感じましたし、今の世ではそう思われるサービスが選択されるのだと感じました。
——最後に、後輩や同僚に伝えたいことはありますか?
寺田 テレビ朝日の歴史やサービスが積み重ねてきた経験やネットワークの強みなどを感じることがありました。それらは間違いなくテレビ朝日の強みだと思います。歴史や経験はともすれば、スピーディなアクションへの妨げになると発信されることもあるかと思いますが、せっかくのストロングポイントなので、生かすために整理、理解することに努め、どのように生かせるかを考えることも大切ではないかと思いました。できない理由を考えるのではなく、どうすればできるのかを考える方が、健全で建設的で、楽しいので、何事もポジティブにトライしていこう!ということを伝えたいと思います。
<留学先からのコメント> ~株式会社マチルダCOO 福沢様より~
留学当初より、どの現場でも何でもやります、マチルダに何か残します、という積極的スタンスで、精力的にご活動いただき成果を上げていただきました。経営者の背中から何かを学ぼうとしたり、自ら考えて動いたりする姿勢がとても素晴らしく、どこでも活躍できる人材だと感じました。全体として、ご本人の学びにも繋がるとても良い留学をしていただけたと思っています。
キッチンやステーションのメンバーと積極的にコミュニケーションを取ったり、社内イベントに参加したり、現場の業務を一緒に行ったり、信頼関係構築に自ら動いているのが伝わりました。そういったこともあり、短期間にメンバーとも打ち解け、信頼関係の構築にも成功された様子でした。また、スピーディに業務を進めてくださり、話した翌日には資料や叩きを作ってきていただき、非常に助かりました。
今回のご縁を大切に、これからもずっと良い関係性を保ちたいですし、機会があればぜひ一緒に仕事をしたいです。寺田さんが新規事業をする際は応援したいと思っています。3ヶ月間、本当にありがとうございました。

会社名 株式会社テレビ朝日
業種  放送法による基幹放送事業および一般放送事業
URL https://company.tv-asahi.co.jp/