事例紹介

横河電機株式会社 ×株式会社センシンロボティクス様の導入事例

「プロジェクトの企画段階から関わることで、デザインサイクルを短いスパンで回すことができた」(職種:デザイナー、留学頻度:週1日、留学時:新卒入社5年目)
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目的
アジャイル開発プロジェクトで果たすべきデザイナーの役割を知り、自社のプロセス改善につなげる
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背景
現状デザイナーとしてできることが限定的であることから、よりユーザー視点を高め、自社では携わることができないことを経験してもらいたい
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効果
デザイナーがプロジェクトの企画段階から関わることで、デザイン作業のサイクルを短いスパンで回すことができた。段々と確度を高めていくデザイン案の提出方法が開発プロセスに与えるメリットを感じることができた
他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」にインタビュー。留学中、留学後の想い、そして「留学後に何が変わったか」について、体験談を語っていただきます。
今回お話を伺ったのは、横河電機株式会社。他社留学を経験したのは、マーケティング本部エクスペリエンスデザイン部 郭 暁健さんです。留学先は、産業用ドローン等を活用した業務用ロボティクスソリューションの提供を行うベンチャー企業、株式会社センシンロボティクスです。留学中は、プロダクトのUI改善案の作成プロジェクトに関わりました。
所属 横河電機株式会社
留学先 株式会社センシンロボティクス
他社留学期間 週1日/6ヶ月間(2021年4月~2021年9月)
留学した人 エクスペリエンスデザイン部 郭 暁健さん(留学時:新卒入社5年目 )
送り出した人 エクスペリエンスデザイン部長 高野 直人さん
――まずは今回の留学先を選んだ理由を教えていただけますか?
郭さん(以下、郭) 今回の留学で他社のデザイナーがどのように他部署と関わり、どこまでを業務範囲にしているか、ということを知りたいと思っていました。そこで、留学先としては、BtoB業界でデザイン部署がある会社、かつデザイナーが技術と協力したり、企画の上流から関わったりしている組織を希望していました。今回選定させていただいたセンシンロボティクスは「Robotics×AI×Design」で社会課題の解決を目指す企業であり、技術だけに留まらず、デザインにも力を入れている会社ということで参画させていただくことにしました。
――留学中は具体的にどのようなことをしていたのですか?
 「SENSYN360」というプラントの現場情報管理アプリケーションのWeb版UIリニューアルを担当しました。SENSYN360は360度カメラで撮影したパノラマ画像を現場の図面に登録し、さらに写真にコメントやファイルを添付することで混雑するプラント現場の情報をリアルタイムで見えるようにするアプリケーションです。発売後、実際のお客様から上がってきた要求を新機能や改善としてどのように情報の流れ、画面の配置をすればよいのかをSR社のプロジェクトマネージャー、デザイナー、現場担当者と一緒に考えていきました。週1でデザイン案を提示し、それをみんなで見ながら修正を重ねていきました。
――今回の留学でどのようなことを学びましたか?
 そうですね、一番の気づきは「デザイナーとしてのプロジェクトへの関わり方」ですかね。今回、プロジェクトの初期段階(企画・仕様決め)からプロジェクトマネージャー(以下、PM)と一緒にプロジェクトを進めることができました。これまで所属企業ではプロジェクトの初期段階から関わる経験はしたことがなかったので、今回の留学でそういった経験もしたいと思い、参画させてもらいました。初期段階からプロジェクトに関わらせてもらった結果、アウトプットのスピードや質が上がるということが実感できました。プロジェクトの関わり方次第でもっと自分にはできることがあるということがわかったので、所属企業でもPMと一緒に動いてけるよう推進していきたいと思うようになりました。
――留学先のPMと初期段階から一緒に関わらせていただくことで、大きな気づきがあったのですね。
 はい。今回ご一緒した留学先のPMは、デザイナーと働くことに慣れていて、デザイナーをうまく動かすことができる方でした。今回のプロジェクトでは、PMとデザイナーが一緒にデザイン思考のサイクルをきっちり回すことができていたように思います。3ヶ月で新しいプロジェクトを生み出すような感じで、本当に色々な人を巻き込み、週1で仕様を決めていました。短いサイクルをちゃんと回していて、すごいなと感じました。ぜひこの進め方を当社でも取り入れたいと思いました。
――それは所属企業でもすぐに実現できそうですか?
 そうですね、すぐに実現というのは難しいかもしれません。まずは、リソースの問題があります。私が所属しているデザインの部署が、会社規模に対してあまり大きくないという現状があります。また、これまで他の部署に対して、私たちデザイナーは「これができます」というのをアピールしてこなかったというのもあります。今後は、今回の留学での事例を元に、「私たちはこういうことができるから、こうやって使ってください」というのを社内の他の部署に対して伝えていかなければならないと思います。
(郭さん 写真右から2番目)
ーー他にも何か違いを感じたり、気づいたりしたことはありますか?
 PMからのデザイナーに対するインプットに関しても違いを感じました。留学先では、PMからのインプットがしっかりなされており、早い段階でお客様の情報やPMのイメージなど、メンバーに必要な情報を共有していただくことができました。当社では、色々な事情により初期情報が足りない場合もあって、そういったときは毎回お客様のフローがどうなっているかなどを探るのに時間を取られてしまいます。
従来だと最初に仕様を理解する時間があって、画面構成を考える工程に移っていくのですが、膨大な仕様を理解するにはどうしても時間がかかってしまうため、作り出すまでに時間がかかります。留学中は「理解→考える→UIを作る」というサイクルを短いスパンで回していたので、初動が速くなり、同じ時間でも確度を上げることができ、PMと一緒にプロジェクトを進めるメリットを感じることができました。
ーープロジェクトの進め方が大きく違ったのですね。
 そうですね、関わり方がやっぱり違いますよね。留学先のデザイナーは基本的に色々な部署から依頼を受けて動くのですが、プロジェクトが終わった後でも、そのプロダクトがある限り関わり続けるんですね。しかし、当社ではプロジェクトが終わった後は依頼がない限り動くことはありません。というのも、当社の場合、製品数が多いため、プロダクト1つにつきデザイナーが張りつくということは現実的に難しいんです。留学先では製品の数がある程度限られているからこそ、ずっと関わり続けることができるのだと思います。デザイナーとして働く上での前提条件が大きく異なるということにも今回気づくことができ、貴重な体験をすることができたと思います。
また、留学先のデザイナーがWeb業界やコンシューマー向けサービス出身の方が多かったこともあり、私が産業機械業界のデザイナーとして特徴があるという体験をすることができました。人間工学に対する考え方など自分自身に知見があることがわかりました。社内にいるとみんな知見を持っているのでわかりませんでしたが、社外に出たからこそ気づくことができたんだと思います。
ーー今回の留学を通しての気づきや学びを今後どのように活かしていきたいですか?
 今回の留学を通して、短期間で学び、成長するためには「場数」が必要であることが分かりました。場数とは、「フィードバックの数」「関わったプロジェクトの数」「試行錯誤の回数」のことを言っているのですが、所属部署においても場数を増やしていくような取り組みに向けて同時期に留学していた仲間と準備しているところです。今回、6ヶ月間、週1日の参画だったので、トータル約20回、1ヶ月くらいの短い期間での留学でしたが、この短期間でどのように私が学んだのかを部署のメンバーに共有することで、フィードバックをもらい、場数を増やすための取り組みに参加・協力してもらえるよう進めていきたいと思っています。
また、先ほども申し上げましたが、デザイナーが企画の早い段階から入ることができるよう社内に対してアピールしていきたいと思っています。デザイナーが最初から入れば、企画段階でビジュアル化されるため、全体の工数が減ると思います。
あとは並行してデザイン批判に対する教育なども進めていきたいと思っています。これまでは同じプロジェクトに関わらない限り、他のデザイナーがどういったデザインをしているか何も知らないし、それに対して議論をする場もありませんでした。今後はどうやって他のデザイナーのアウトプットに対して議論してくのか、そういった場を含め教育できる環境づくりから進めていきたいと思っています。そうすることで、デザイナー自身の説明スキルの向上、能力向上につなげていき、組織全体としての向上を目指したいと思っています。
<留学先責任者からのコメント>
~株式会社センシンロボティクス 高橋様、海老澤様、坂田様より~
限られた時間・インプット情報の中で自分なりの理解・仮説を持った上で、期待以上のアウトプットを出していただきました。また、そこから関係者と適切なコミュニケーションを通して質を高めていただくこともしていただきました。インプットからアウトプットまでのプロセスも早く、とても優秀な方だと感じました。
受入れ当初、業務のキャッチアップは大変ではないかという心配もありましたが、全くの杞憂で、完全に戦力化していました。一方で、週1日の稼働だったため、開発の一連の経験をできなかったのは残念でした。もっと時間があればプロジェクトも変わったのではないかと思います。
また、当社と所属企業の違いなども発言いただき、当社としても気づくことが多くあり、大変感謝しております。半年間ありがとうございました。
会社名 横河電機株式会社
業種  制御・計測機器等の販売、保守サービス、電気計装工事、トータルソリューション展開及びエンジニアリング事業
URL https://www.yokogawa.co.jp/