事例紹介

京王電鉄株式会社×株式会社ガイアックスの導入事例

新規事業の考え方や事業価値の見方、投資判断軸、多様な働き方を学ぶことができた (職種:デジタル推進、留学頻度:週5日、留学時:中途入社9年目)
京王電鉄株式会社×株式会社ガイアックス 
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目的
大企業とスタートアップの協業検討、インキュベーションの組織づくり・仕方を学ぶ
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背景
会社として、デジタル施策をスピーディーに企画することや、外部との協業に関する経験・知見を得て、グループの各事業のデジタル変革する必要性があった
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効果
新規事業の考え方や事業価値の見方、投資判断軸、多様な働き方を学ぶことができた
他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」にインタビュー。留学中、留学後の想い、そして「留学後に何が変わったか」について、体験談を語っていただきます。
今回お話を伺ったのは、京王電鉄株式会社。他社留学を経験したのは、新規事業、デジタル推進に関わる中嶋さんです。ソーシャルメディアサービス事業、シェアリングエコノミー事業、インキュベーション事業を行うベンチャー企業、株式会社ガイアックスへの留学を経験しました。留学中は、デジタルな新規サービスの検討・プロダクト開発、新規の企画検討プロジェクトに関わりました。
所属 京王電鉄株式会社
留学先 株式会社ガイアックス
他社留学期間 週5日/4ヶ月(2020年10月~2021年1月)
留学した人 経営統括本部デジタル戦略推進部 中嶋 英仁さん(留学時:中途入社9年目)
送り出した人 デジタル戦略推進部部長 虻川 勝彦さん
――今回、他社留学に行くことになった経緯を教えてください。
中嶋さん(以下、中嶋) 他社留学は、社内の異動の公募とセットで募集されていました。これに自分で応募し、異動し、他社留学が決まりました。留学先の選定に際し、個人的にスタートアップとの協業・出資がこれから必要になると思っていたのですが、当社には知見があまりなかった。そこで、今回の留学を通してその知見を学びたいと思っていました。
会社からは、事業を立ち上げ、育てることを得意とするような会社で具体的なデジタル施策をスピーディーに企画することや、外部との協業に関する経験・知見を得て、グループの各事業のデジタル変革を牽引する立場になってほしいとの期待がありました。また、留学後は得られた経験を元に、留学先やその関係先との協業の可能性検討まで発展させることを期待されていました。
-―そんな会社からの期待がある中で、実際に4ヶ月の他社留学を行っていただきました。終えた今、一言で他社留学を表現するとどんな言葉で表現したいですか?
中嶋 この4ヶ月とても楽しかったです。新しいことにチャレンジしていたので、スムーズにいかないこともありました。日々の中で多少は悩んだり考えることはありましたが、すごく悩んで辛かった、という感じではありませんでした。
(写真 感性AI空間 FUWAKIRA)
――社内で初の他社留学ということで、プレッシャーもあったのではないですか?
中嶋 僕自身は感じていませんでした。京王としても今回の仕組みを使うのは初で、どちらかというとすごく失敗はしないでほしいという観点と勝手に解釈していて、プレッシャーは感じていませんでした。ただ、留学先のガイアックスに対しては、感じる部分がありました。ガイアックスには、副業で入っているプロフェッショナルの人もいたので、自分がその人たちほど貢献できていないと感じる部分がありました。自分が推進していたインターンの募集企画については、企画・募集・採択の一連の流れで、一定程度は貢献できたと思います。飛び抜けたパフォーマンスを出せたわけではありませんが、(中嶋さんが)いてくれてありがたかった、という雰囲気は多少はあったように思うので、それはよかったと思います。
――この4ヶ月で、どのようなプロジェクトに関わったのでしょうか?
中嶋 上述したようなインターンの企画の具現化・募集・面談といった一連の流れを一通り携わらせてもらいました。報酬が50万円というインターンの企画は中々ないと思うので、その分採択のハードルも高いのですが、そこがガイアックスならではだと感じました。
あとは、スタートアップスタジオに属する人は、基本みんな新規事業を創っているので、僕自身も新規事業の検討もしたりしていました。最初は京王に関係ない視点で考えていたのですが、思い描いていたサービスと同様のサービスがあるのが分かり、そのサービスを使ってみたりもして、一旦自分が実現したい世界観はここでできているなと思ったので、方向転換して途中から京王でも使えそうな視点で検討したりもしていました。
また、他の新規事業を検討推進する起業家のMTGにも複数参加していて、スタートアップとしての純粋な事業アドバイス視点では、前述したようなプロの副業の方ほどのアドバイスはできていなかったのですが、一部、僕のこれまでの経験を活かした観点でのアドバイスや関連する人・リソースの紹介はできたのはよかったです。
――留学先の受入れに関しては、いかがでしたか?
中嶋 留学先には、温かく受け入れていただけたと思います。ガイアックスという会社全体もそうですし、留学責任者である佐々木さんの基本スタンスもそうなのですが、「自由にやっていい」という雰囲気だったので、それがお互いにとって良い結果につながったのだと思います。
――他社留学中には、ご自身でVCの人と話す場を設けたり、社内のいろいろな人と話をする機会を作ったりしたと聞きました。
中嶋 単純にそういうのが好きだから、という感じです。同じことをしているのに興味がなくて、新鮮な話、面白い話が聞けるのが純粋に楽しいと思う方で、成長したいからというより、好奇心というのが大きいかもしれません。
知り合いのVC、CVCなどにも話を聞きながらより学びを深めたことによって、より幅広い視点で見ることができました。僕が学びたいと思っていたスタートアップ投資・協業の視点は、ただ留学先の人と話しているだけではだめで、やっぱり能動的に動くのは重要だと思います。一方で、ガイアックスに留学しないでVC、CVCと話していても手触り感はなかったと思うので、少しでも現場に近いところを経験できたのはすごくよかったと思っています。
始める前は、留学先はVCの方がいいのでは、と思っていました。実際、投資実務という点ではVCの方が学びが多いと思いますが、新規事業の考え方やいろいろな働き方、実際にサービスをいろいろと運営している会社としての視点を学べたという意味ではガイアックスに留学できてよかったと思っています。VCでも楽しむことはできたと思いますが、より投資と協業に絞られた視点になっていたと思います。
――今回、所属企業と留学先との協業を目的に参画していただきましたが、結果的に素晴らしい成果を挙げたと聞いています。その成果につながった理由をご自身ではどう考えていらっしゃいますか?
中嶋 素晴らしいかはわかりませんが、京王・ガイアックスで取り組む事例がつくれたのはよかったです。答えになっているかわかりませんが、こういうものに対して好きな人が携わったのが良かったのではないかと思います。以前、社外のいろいろな人たちが関わるプロジェクトに参画したことがあるのですが、大企業の人って最後のプレゼンをゴールにしている傾向があるように思いました。それ自体は理解できるのですが、知らない人が集まって、大企業の人やそれ以外のいろいろな属性の人たちがいるのに、その状況を楽しもうよって思う人は少なかったです。最終的にそのプロジェクトをイベントでもいいから具体化したのはそう多くはなかったです。自分が好きなことだからやる、興味範囲だからやれるよねっていうのはあると思います。多様性を楽しむこと、好きなことをやる、この2つが具体的な取組につながった理由でしょうか。
――大企業にもいろいろな人がいますよね。
中嶋 そうですね、当社にもいろいろな人がいると思います。自分のやりたいことを実現するために入社する人もいますし、安定を求めて入社する人もいます。僕自身も安定を求めていない訳ではないですし、ただその中で、好きなこと、やりたいことをやった方が楽しいと思っています。でも、新しいことをやるのではなく既存のものをしっかりと守りながら、安定を求める人がいてもいいと思うんです。
コロナ禍やDXが謳われるこれからにおいては、ビジネスモデルも変わっていかないと生き残れないと思うので、新しいことにチャレンジする人が必要になると思います。一方で、当社のようにインフラを支えるような事業を行う会社においては、既存をしっかりと守れる安定志向の人が必要で、そういった人たちが会社を支えてくれることも重要だと思います。自分自身が新しいことにチャレンジするのが好きなので、新しいことをやる方がいいというバイアスがあることに今回気づきました。これからは、今まで以上に多様性を受け入れてお互いをリスペクトしながら共に働いていくのがいいのかなと思います。
(写真 東京多摩エリアにおけるMaaS「TAMa-GO(タマ・ゴー)」実施の様子 2021年1月~2月)
――今後について聞かせていただけますか?
中嶋 具体的な話でいうと、引続きガイアックスと接点を持って、ビジネスプランコンテストもその一つですが、やっていけたらいいなと思っています。オープンイノベーションに関しては、ガイアックスと組むパターンだけじゃないと思いますが、それ以外との協業であってもガイアックスで得た経験値を活かしたいというのはあります。組織的な関わりについては、キャリア開発の部分で貢献していきたいと思う気持ちがあります。若手の人からキャリアに関する相談を受けることがあって、そのような部分でも自分にできることはあると思っています。
新型コロナウィルスの影響を受けてリモートワークが増え、コロナ前と同じ状況ではいられなくなりました。このままでいいのか?と疑問に感じている人もいます。個人としてキャリア開発をしていくことが必要な時代であるとも感じています。
ガイアックスの社内では、1on1をやっていましたが、当社ではそういった機会があまりありません。今回の他社留学でも佐々木さんや社内コーチング、伴走者との面談を通して自分の経験を語ることで気づくことがありました。1on1じゃなくても、社内コーチングなのか、社外の人とのキャリア面談なのかはわかりませんが、話をする場というのがあってもいいのではないかなと思います。新規事業を進めながら、キャリア開発につながる環境づくり、場作りなどにも取り組んでいきたいと思っています。

関連記事: 

〇「36歳で社会人インターン?京王電鉄社員がガイアックススタートアップスタジオにやってきた」
留学後1週間で感じたことをご本人が投稿したガイアックスのブログ記事
https://www.gaiax.co.jp/blog/startupstudio-internship-from-keio-corporation/

〇中嶋様 留学中インタビュー(1ヶ月経過時)
http://nanasan.essence.ne.jp/release/2910.html

 

会社名 京王電鉄株式会社
業種  鉄道事業、土地・建物の賃貸業・販売業など
URL https://www.keio.co.jp/