事例紹介

株式会社電通テック×株式会社Schooの導入事例

自ら発信をしていくことの重要性や周囲とのコミュニケーションの取り方が大きく変わった (職種:人事企画、留学頻度:週4日、留学時:中途入社14年目)
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スピード感をもって自らが考え、意思決定を行える自律型人材を育成する
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自組織内では、スピーディに自律型人材を育成することが難しい環境にあった
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行動変容が起こり、発信・コミュニケーション力やスピード・推進力が飛躍的に上がった
他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」と「送り出した人」にインタビュー。「留学前」「留学中」「留学後」のそれぞれの想い、そして「留学後に何が変わったか」「留学先で学んだことがどう活かされているか」について、体験談を語っていただきます。
今回お話を伺ったのは、デジタルを起点としたプロモーション領域全般の課題解決を担う株式会社電通テック。同社で人財開発担当を務めている船越由布子さんが、大人たちがずっと学び続ける生放送コミュニティ「Schoo(スクー)」を運営するベンチャー企業への留学を経験しました。
所属 株式会社電通テック
留学先 株式会社Schoo
他社留学期間 週4回/3カ月(2019年9月~11月)
留学した人 人材活用戦略室 船越 由布子さん(留学時:中途入社14年目)
送り出した人 人材活用戦略室 室長 金子 純也さん
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スピード感をもって自らが考え、意思決定を行える自律型人材を育成する
【他社留学 Before】
――他社留学の導入を決めた背景をお聞かせください。
金子さん(以下、金子) これからのビジネスはよりスピードが求められる時代になっており、社員に自ら考え判断し、スピーディに動く社風を作れないかと考えていました。他社留学では、意思決定が速く、社員それぞれがミッションをもって働いているスタートアップやベンチャーで学べるという環境があり、弊社にとってはものすごくプラスになるのではないかと思い、検討を始めました。一言でいうと「早く変わるため」の手段として、他社留学の導入を決定しました。
選抜された船越さんは、他社留学を企画していた担当者でした。当時、彼女から役員向けに他社留学導入の提案をした際にまずはトライアルとして船越さん自身が経験をし、効果を検証してみてはどうか?という話になり、本人が派遣されることになりました。
彼女は一言でいうと非常に優秀な社員。一方で、次のポジションを鑑みるともう一皮むけてほしいと感じていたため、今回の他社留学がまさに良い機会だと思いました。優秀が故に完璧主義な側面があり、失敗や恥をかくことへの強い恐怖感があるように感じていました。今回ベンチャーに行くことで、完璧でなく、多少荒くてもよいから進めるというやり方を学んでくれたらよいと思いました。
人材活用戦略室 室長 金子 純也さん
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自組織内では、スピーディに自律型人材を育成することが難しい環境にあった
-―人材育成や組織において御社のあるべき姿と現状とのギャップはどこにありますか?
金子 弊社の組織ラインでいくと、管理職の階層があり、それぞれに決裁権がありますが、最終的に役員承認が必要となるケースも多くあります。職階への権限移譲がなされていることが望ましいのですが、移譲される側のスキルや経験という意味も含めて現状とのギャップがあると思います。
意思決定を速め、スピーディに進める組織を作ることはすぐには難しいですが、任せるマネジメントを試みなければ、社員が自ら考えて判断する自律型人材にはならないと思います。
今回、船越さんが派遣されてから「自律・自立」について考えることが多くなりました。「自立」は、一人で仕事はできるが周囲を鑑みて進めるまでは至らない状態。「自律」は、一人で仕事を進めることができ、会社の成果に貢献し、更には周囲を鑑みながら業務を進める事ができる状態。「自律」が重要だとよく議論しています。
【他社留学中】
エッセンスからは、複数社の留学先候補を提示。「新規事業に携われ、これまで経験のあるHR領域での腕試しもできるベンチャーであり、電通テックでも大切にしているコミュニケーションについて親和性も高く、社に参考となることが多く学べるのでは」との期待から、学びコンテンツを提供するSchooを選ばれました。
Schooで船越さんは法人事業に関わるCR推進ユニットに所属。COO・事業責任者と一緒に新規事業の立ち上げに従事。留学期間中、企画から運用、そしてサービスリリースの為のモニタリング・効果検証までを成し遂げていただきました。その後、Schoo内でも検討を続けたのち、無事、今年の8月にサービスがリリースされ、新規事業の立ち上げに大きく貢献を果たしました。
――留学初期にカルチャーショックを受けたこと、新たな気づきとなったことをお聞かせください。
船越 まずコミュケーションの主体としてオンラインツールのSlackを使っていたことです。弊社では基本、打ち合わせや相談は対面でおこなう文化でしたので、オンラインを中心にコミュニケーションをとっていることに衝撃を受けました。
要件が完結に書いてあり、遅くとも3分以内にはレスが返ってきます。このクイックレスポンスが仕事を止めずに業務を効率化させるコツだと感じました。私自身、そのスピードの速さに追いつくだけでも最初の頃はかなり大変でした。
さらに新たに挑戦してみたいことや実際に取り組んでみたことの報告などが業務内外にかかわらず頻繁にされていたのも新鮮でした。その投稿に対して、周りの社員からもいいね!や、自分の経験のシェアなどの“+more(プラスモア)”のアドバイスをされており、Slack内でのコミュニケーションが非常に盛り上がっていました。
また、やったことを周りが褒める文化がありました。失敗しても成功してもチャレンジしたこと自体を褒める。もし失敗したとしても、次がんばろう!と思える“やる気のシステム”のようなものが確立していて、社員がチャレンジをし続ける原動力になっており、これは見習いたいと思いました。
社長と社員との距離も近く、Slack内で社長が今取り組んでいる取組みや、考えていることを発信し、オフィス内でも社長が積極的に社員に声を掛けているところをよく見かけました。リアルとオンラインの両方を上手く活用して、社員のやる気を引き出しているなと感じました。
人材活用戦略室 船越 由布子さん(留学時:中途入社14年目)
――留学スタート時に意識していたことはありましたか?
船越 最初スタートした頃の1~2週間は、Schooの事業について「知る」、私自身を「知ってもらう」ということを意識し、行動しました。自分が何者なのか、自分が何に取り組んでいるのかを積極的に発信しつつ、周りからもSchooのことを教えてもらえるように働きかけました。
人事の方にお願いをして他部署ミーティングへの参加させてもらったり、新規事業で考えているアイディアを社内で発表する機会をいただいたりしました。
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行動変容が起こり、発信・コミュニケーション力やスピード・推進力が飛躍的に上がった
【他社留学 After】
スピード感のあるSchooの仕事文化の中に身を投じることで、これまでの社内での仕事の進め方とは違う方法を試さないといけないと感じ、自分の強みであり弱みでもある、完璧主義な仕事の進め方をガラリと変える経験があったとのことです。
――留学されてみて、大きな学びとなったのはどんなことですか?
船越 留学中、研修部門で携わってきた経験や新規事業に携わった知識やノウハウが非常に役立ち、他社でも通用するスキルを持っていることが分かりました。3ヶ月という短い留学期間の中で新規ビジネスを組み立てて、検証ポイントまでを明確にすることができ、さらに自信がつきました。
一方で、改善が必要だと気づいたことは、これまでの自分の仕事のスタイルです。これまでは、資料を完璧に仕上げたうえで、周囲や上席者に相談する仕事のスタイルでしたが、それではSchooで通用しないということがわかりました。
3ヶ月間で仕上げなければならないというスケジュールの中では、完璧でなくてもディスカッションを繰り返し先に進む必要がありました。トライアンドエラーを繰り返し、進めていくことで、圧倒的に仕事のスピードが上がるということが実感でき、非常に学びになりました。
Schooではもっと生煮えでいいから!一緒にディスカッションして決めていきましょう!壁打ちしましょう!とよく言われました。その言葉自体がとても新鮮で、留学から戻ってきた今でも、社内のあちこちの場面で使わせていただいています。
――以前よりどう自分が変わったと感じますか?または意識していることはありますか?
船越 自分から「発信」することをこれまで以上に意識しています。自分が思っていることや考えていることは声をあげなければ相手に届かない。どんなに良いことをやっていても、発信しなければ誰にも気づかれることなく終わってしまう。これはとても勿体ないことだと思います。自分だけでなく、所属部署や社の取組みもそうです。今後も「発信」を意識したいと考えています。
また、他者との関わり方についても、自分の中で変化があったように感じます。Schooで一緒に仕事をしていた事業責任者の方に、マネジメントとして大切にしていることをお伺いしたことがありました。マネジメントにおいて重要なのは、「自由度」「やりたい事をやらせてあげる」であり、その2つをどうサポートしてあげられるかを考えるのが大事だと聞いて、なるほど!と思いました。
私自身、チームリーダーをやることも多いのですが、これまでは、チームメンバーに対して指示的なお願いごとが多かったように思います。今では、メンバーに自由に仕事を進めてもらうことを意識し、余計な口出しをしてやる気を削がないよう、問いかけを工夫し、メンバーの発信に対して、いいね!やろう!といった応援団のような気持ちで接するように心がけています。実際、チームの士気があがってきていると感じていて、自律的に仕事をすることで業務効率があがる、会社全体でそのような仕事の進め方がもっと広まるといいな、と思っています。
-―留学後の船越さんに、何か変化を感じますでしょうか?
金子 船越さんからの発信の量がかなり増えました。優秀が故に先を読んでなかなか動けないところがありましたが、情報共有の頻度が増え、周囲へのサポートも積極的に行っています。
そして、圧倒的に変わったと感じるのは、周りの意見をより多く取り入れるようになったことです。本人にも、ものすごく話しやすくなったよ!と伝えています。私も船越さんからのアドバイスや意見を聞くことも増え、お互いの信頼関係がさらに強くなったと感じています。
-―今後、船越さんに更に期待している事はありますか?
金子 今後期待していることは、次のポジションを意識して、よりチームメンバーとの信頼関係を築き、チームビルディングの手法や関係構築方法を確立していってほしいです。3ヶ月間の留学で、コミュニケーションの在り方が非常によい方向に変わったと感じています。越境したからこそ、マネジメント・チームビルディングという次の目標が明確になりました。
-―今後、他社留学へ送り出す社員にどんなことを学んでほしいですか?
金子 2つあります。1つは、仕事の進め方です。アジャイルで高速に仕事を進め、失敗も経験しながら、小さな成功を積み上げていくという仕事の進め方を学んでもらいたいと思います。
2つ目は、組織の役割分担やコミュニケーションについてです。本やセミナーから知識をインプットすることはできますが、実際に企業文化の異なる企業においてこれまでの仕事のやり方とは異なる経験を体感することが大切だと思っています。これは社内では限界があるため、外で学び、自社組織に還元してくれる人材を増やしていけたらと思っています。
-―最後にメッセージはありますか?
金子 一時期、この越境学習のスキームを自社でチャレンジしようと検討していました。しかし、結論からいうと実現は難しかったと思います。行先を探すにしても、業務上関係のある会社になりがちで、どうしてもお客様感が出てしまいます。
また、留学期間中のサポートについても、自前でおこなうのは難しかったと思います。留学スタートの2週間あたりは、船越さんも大変辛かったと思いますが、エッセンスさんには手厚くフォローをいただいて、乗り切ることができました。私一人では、どうアドバイスしてよいのかも分からなかったと思います。
留学期間中、上席者として不安はあったものの、こうしたしっかりとしたフォロー体制があったから安心してお任せできたのだと思います。
会社名 株式会社電通テック
業種  広告制作業
URL https://www.dentsutec.co.jp/