「最も実践的な研修だと感じて参加した」東京電力パワーグリッド株式会社の海老原さんのプロボノ活動体験談

プロボノとは、主に大企業に勤める社員が、自身の仕事上のスキルや知識を活かして行う社会貢献活動です。

近年、幅広い職種や年齢層で広がりを見せるプロボノ。弊社のプロボノプログラムでは、参加者と受入れ先とのマッチングのうえ、多種多様な業種からのメンバーで形成されたチームをつくり、約40日間のプロボノ活動に取り組みます。
 
今回は東京電力パワーグリッド株式会社に勤めながら、プロボノの活動に参加された海老原 麦さんにプロボノの体験談を語っていただきました。
多くの魅力を感じて始まったプロボノ活動

——最初に自己紹介をお願いします。

海老原さん(以下、海老原)
 私は2020年に中途採用で東京電力パワーグリッド株式会社に入社しました。前職は設計や人財開発、省庁関連の社団法人で主査をしておりました。現職では、東京南地域の施設管理グループに所属しておりまして、貸付や用地活用、外販、予算管理、環境法令管理、施工管理など幅広い業務を行っております。

(出典:東京電力パワーグリッド株式会社)

——今回なぜプロボノに参加したのですか?

海老原
 当社の選択式研修の中にエッセンスのプロボノ研修がありまして、最も実践的な研修だと感じたためです。他社の考え方や業務手法を知ることができる点、他社の社員と協力して課題を解決するプロセスに魅力を感じました。また、業務時間外に参加できる点も非常にいいなと思い、参加を決めました。

——どのような企業のプロジェクトに参加したのですか?

海老原 今回私がアサインされたのは、兵庫県神戸市にある株式会社シィメスでした。大阪ガスの代理店で、社員数約120名の創業から70年を超える長寿企業です。ガス事業以外にもリフォーム事業やメガソーラー発電事業などを行っています。これからも地域と一緒に成長する 100 年企業でありたいという想いから、社内変革のためにプロボノの受け入れを決めたそうです。

(出典:株式会社シィメス)

——プロジェクトでは、どんなメンバーとご一緒したのですか?

海老原
 シィメス社側のメンバーとしては、ビジョン実現室に所属される20代から50代の方々がご参加されました。プロボノメンバーとしては、私以外にIT関連、情報通信、不動産といった異なる業界で、さらに年齢や経験も異なる4名のメンバーが集まりました。

ビジョン実現に向けて

——プロジェクトの内容について具体的に教えていただけますか?

海老原
 自社のブランド力と社員の当事者意識の向上を目指したい、というお話しをいただきました。具体的には、
・ビジョン実現室で行うSDGsの活動の認知度アップ、そのための魅力的な企画の提案・実行をしてほしい
・チーム以外の人も含めた社員一丸となって、100年企業を目指せるような当事者意識を持つためのマインドセットをしたい
・社内の意見交換のみで考えが凝り固まっているため、新しい風を入れてほしい
などのご要望をいただきました。

そこで、プロボノメンバーで話し合いを行い、「社内意識の醸成×シィメス社の強み×地域課題の解決」を掛け合わせた取り組みがいいのではないかということになり、具体的なビジョンの実現のために何をすればよいのか全員でディスカッションを進め、ご提案いたしました。


——受け入れ企業に対してどのようなご提案をされたのですか?

海老原
 長年地域で活躍している企業である点を活かして、積極的に地域交流の機会を持つこと、それに掛け合わせる形でSDGs活動を行うこと、特に以前からシィメス社は神戸市や明石市の海岸で社員向けビーチクリーンイベントを行っていたので、それをより広範囲で行うことができるように参加のハードルを下げるような検討を行い、ご提案いたしました。

また、社内の方向性の統一を図るために、じっくりと社員の意見を聞いて対話して、とことんバイネームの関係に落とし込めるような研修や座談会の企画・提案も行いました。それから、SDGs活動が社員にとって身近な業務につながるようなストーリー作りと、社員を巻き込んでのブランドイメージの可視化、体験や経験の共有によって、より社員が当事者意識を持てるような活動を行うための企画・提案も行いました。

——提案した結果、成果に繋がったものはあったのでしょうか?

海老原
 5月にビーチクリーンイベントを開催されたそうですが、私たちが提案した内容を反映して行っていただいたところ、以前は20数名の社員だけの参加でしたが、今回は多くの方にご興味を持っていただけて、結果的に100名以上の方に参加していただけたそうです。明石の海岸はウミガメの産卵場所なので、今後も清掃活動を続けていきたいという話も聞いています。このように目に見える形で成果を残すことができたのは非常に良かったです。

(出典:株式会社シィメス)

社内では得られない貴重な経験に


——プロボノに参加してどのようなことを感じましたか?

海老原 ルールや前例にとらわれることなく、違う視点から物事を考えることで、斬新なアイデアが生まれることを知りました。もちろん、自由であるということはゴールや一つの答えを出しにくいということにもなりますが、メンバーが各々積極的に意見を出し合うことでプロジェクトを自走させていく重要性を強く感じました。

——これからプロボノに参加される皆様へメッセージをお願いします。

海老原 他社の方と同じ目線、同じ立場で一つの目標に向かってアイデア出しをしていく経験は、通常の社内業務では巡り合うことができない貴重な経験だと思います。プロボノはプライベートな時間を使うことになるので負担もあるかもしれませんが、機会があれば是非多くの人に挑戦してもらいたいです。