Skillnoteの髙橋さんが感じたプロボノでの「テーマ選定の重要性」と「なにを残せるか」

プロボノは、社会人が専門技術や知識を無償提供する社会貢献活動です。近年広がりを見せるプロボノは、企業間の交流や相互のイノベーション促進を目的とした公募型プログラムとしても開催対象が拡大しています。

 幅広い職種や年齢層で広がりを見せるプロボノ。弊社のプロボノプログラムでは、企業が自社社員の自律キャリア意識や事業開発マインドの醸成を目的に申し込み、社内の公募等を通じ参加者を決定します。

 そして、参加者は受入企業の中から希望する活動先をいくつか選びマッチングを行い、約40日間のプロボノ活動に取り組むプログラムです。

 今回は株式会社Skillnoteに勤めながら、プロボノの活動に参加された髙橋 悠さんにプロボノの体験談を語っていただきました。

企業の枠を超えて社会に貢献ができる機会を求めていた

株式会社Skillnoteの髙橋 悠と申します。普段は、製造業・建設業の現場向けスキルマネジメントSaaSでカスタマーサクセスマネージャーに従事しています。今回は、プロボノの活動を偶然Instagramで見つけ、その場で説明会への参加を決めました。
 もちろん、勢いだけで参加したわけではありません。私がプロボノに参加した理由は、企業の枠を超えて社会に貢献ができる機会を探していたためです。

普段働いている企業以外で、外部と関わりを持つ機会が年々減ってきています。そんななか、このプロボノの活動では、さまざまな参加者のみなさんとゴールに向けて共闘しながら進んでいけることに魅力を感じました。また、参加者一人ひとりがなにかしらの価値を発揮しながら取り組めたのが良かった点だと感じています。

 それでは、携わった事業内容を踏まえながら、プロボノの体験談を共有させていただきます。

ゴールは「新規開拓に向けた提案資料を作成」


受入いただいたのは、株式会社アンサーノックス様です。同社は、山梨県に本社を置く、外国人スタッフの派遣事業を営んでいる企業になります。

 今回のプロジェクトゴールは、「派遣先企業の新規開拓に向けた提案資料を作成し、営業活動を促進する」でした。

テーマ選定の重要性と共通目線


  今回のプロジェクトを進める上で重要だなと感じたことは、テーマ選定の重要性です。

 受入先企業・団体側は、「プロボノの参加者に何を支援して欲しいか?」お悩みになられるケースも多いと感じています。しかし、プロボノプログラムは40日間という限られた期間しかありません。

 つまり、どんなテーマを選定し、どういう論点に対して活動していくのかを、最初にしっかりと企業・団体側と参加者ともに共通目線を持つことが鍵となります。今回は、定例会の第1回~2回を事業内容の理解に割きました。派遣業界に詳しくないプロジェクトメンバーが大半であり、事業理解なくして、意味あるご支援は難しいと考えたためです。その結果、アンサーノックス様は、「派遣先企業の開拓数」と「外国人の派遣スタッフ登録数」のいずれも課題感をお持ちとわかりました。複数の論点を整理する中で、40日間という制約やアンサーノックス様の想いを踏まえながらプロジェクトテーマを決めました。

実態を踏まえた上でアセットになるような提案&アウトプット

プロボノ参加によって、どんな充実感を得られるでしょうか?
私が思うに、プロボノ参加の充実感は、プロジェクトの中で「自身がなにかしらの価値を発揮した」と感じることで得られます。受入先企業・団体様によってどんな形であれ、役に立つアウトプットやプロボノ終了後もアセットになるようなことを提案できるかが重要です。

 ここで注意すべき点は、プロボノチームが独りよがりに活動を進めてしまうことです。例えば、一見、合理的な施策・提案であっても、受入先企業・団体側にとって適切ではないこともあります。なにかしらの企画を立案しても、プロボノ後に実行するだけのリソースがない場合、絵にかいた餅になってしまいます。また、利益に繋がるような提案であっても、受入先企業のミッションを考えると適切な施策ではないケースもあります。テーマ選定は、論点を整理しつつ、受入先企業・団体側の存在意義やリソースも加味しながら決めていくと良いと考えています。

 アンサーノックス様は勿論営利を目的として事業を運営されていますが、社会的な課題解決を目指すソーシャル・エンタープライズでもあります。「ドアを叩いてくれた人すべてに応えたい」というミッションを考慮し、そこにそぐわない施策は選択肢から外しました。

 これらの前提に加え、40日間という短い期間のなかで「一体なにができるか?」議論した結果、派遣先企業の開拓に貢献できる「営業資料の作成」という結論に至りました。  

『得たい成果』と『受容』を意識した会議を

プロボノは短期間でプロジェクトチームを立ち上げ、活動を進めます。従って、早期に互いの意見を受入れ、建設的に議論を進める環境を整備するがあります。互いの言いたいことを主張し、平行線をたどった場合、短い期間で何かしらの成果を出すことが困難になってしまうためです。
 
そこで、今回は大橋 禅太郎氏の「すごい会議」という書籍を一部参考にし、会議を運営することにしました。「すごい会議」は、まず会議の最初にメンバー一人一人が「得たい成果」を発表します。その会議で「どんなことをゴールとするか?」全員が意識し、コミットするための儀式です。そして、もう1点がより重要なのですが、誰かが発言した後、他メンバーは必ず「よっ!」と反応します。人は無意識のうちに誰かの意見を否定しがちですが、そうすると段々と意見が出にくくなってしまいます。多様なバックグランドを持つメンバーで構成されたプロボノチームだからこそ、互いの意見に対する「受容」を示すことが重要です。

「すごい会議」方式(書籍:すごい会議 ※大和書房出版 大橋 禅太郎【著】)を取り入れたことで、アンサーノックス様のプロボノチームは早期に互いの意見を建設的に出し合う環境を整備できました。(プロボノチームだけではなく、アンサーノックス様からの参加者含)

プロボノを通してどう貢献できたか?振り返る

 プロボノは勿論アウトプットも大事ですが、活動後にプロセスを振り返ることで気づきや学びを深めることができます。受入先企業・団体側に「プロボノを通じなにを残そうとしたか?/残せたか?」、「そこでどのように活動で貢献できたのか?」、「何が今後の改善すべき点か?」考えることで、自分自身が発揮できるスキルや強みを言語化していく工程です。
 私の場合、例えばプロジェクトマネジメントのスキルはどんな環境でも発揮できることを再確認できました。初めのテーマ・初めてのメンバーで短期間のプロジェクトを立ち上げ、ゴールに向けてプロジェクトを運営するというプロセス。これは過去自身が経験してきたことをプロボノでも再現できるという気づきです。冒頭で、「プロボノ参加の充実感は、プロジェクトの中で『自身がなにかしらの価値を発揮した』と感じることで得られる。」と書きました。こうした気づきは、活動中よりもむしろ、活動後の振り返りで得られることが多いです。
 
 今後プロボノへ参加される皆様には、「自身のスキルを発揮し気づきを得る場所として、プロボノを楽しんでいただきたい」とお伝えしたいです。そして、プロボノ活動で得た学びや気づきを深めるために、活動後にGood&More(良かったこと&改善すべきこと)の振り返りをおすすめします。