「定年後の人生を見据えて、人生の再確認がしたい」株式会社ニフコ管理職Yさんのプロボノ活動体験談

プロボノとは、主に大企業に勤める社員が、自身の仕事上のスキルや知識を活かして行う社会貢献活動です。
近年、幅広い職種や年齢層で広がりを見せるプロボノ。弊社のプロボノプログラムでは、参加者と受入れ先とのマッチングのうえ、多種多様な業種からのメンバーで形成されたチームをつくり、約40日間のプロボノ活動に取り組みます。
今回は株式会社ニフコに勤めながら、プロボノの活動に参加された管理職Yさんにプロボノの体験談を語っていただきました。
定年後の人生を見据えて人生の再確認

——最初に自己紹介をお願いします。


私は新卒で株式会社ニフコに入社し、現在32年目になります。これまで自動車部品の商品設計・開発に従事してきた経験が長く、管理職として多くの社員のマネジメントも経験してきました。

——今回なぜプロボノに参加したのですか?

設計・開発の中で色々なお客様と折衝したり、海外勤務の経験があったり、多様な人と関わってきた経験はありますが、30年以上、同じ会社で同じ職種を担当してきたので、所属企業のことしか知りませんでした。そのため、以前から、自分が社外でも通用するのか、世の中で求められることはあるのか、何ができるのか、知りたいと考えていました。

定年後の第二の人生を見据えて、人生の再確認という意味で申し込んだということもあります。また、プロボノに参加すれば、異業種・異職種、年齢の違う方と交流できますので、自分自身の常識を改めて確認できるのではないかと考え、参加することにしました。

株式会社ニフコ https://www.nifco.com/
ニフコってどんな会社? https://www.nifco.com/company/about.html

写真:NTEC(ニフコ技術開発センター)

——プロボノに参加しての率直な感想を教えてください。


チームメンバーに恵まれて、意見が言い合える和やかな雰囲気で進めることができたので、参加して良かったです。最初の1、2回目は遠慮しがちでしたが、徐々に慣れると社内のプロジェクトチームと同様に、スムーズにコミュニケーションが取れるようになりました。

——どんなメンバーとご一緒したのですか?

メンバーは全部で5名だったのですが、5名とも異業種・異職種で、年齢も異なっていたので、それが良かったです。同じ会社の人同士だと、同じようなバックグラウンドを持っている人が集まって仕事をしているので、思考が似ていて、同じような意見になりがちです。しかし、今回は全く異なるメンバーが集まったので、意見も多様で、刺激になりました。また、皆さん明るく積極的で、意見も活発に出し合えたので、良い雰囲気で進めることができました。受け入れ企業との打ち合わせは5回あったのですが、毎回全員が参加していましたし、それ以外にメンバーだけの打ち合わせも2回やりました。活動自体が楽しくて、遅い時間まで活動したこともありました。

——チーム内で役割分担はあったのですか?

リーダー以外の役割は特にありませんでした。私を含め3名がリーダーに立候補したのですが、今回は若手メンバーにお任せすることになりました。リーダーに引っ張ってもらいながら、必要があれば他のメンバーでフォローして、最終プレゼンに向けて、皆で協力して一生懸命進めました。リーダーが徐々に変わっていく姿を見ることができたのも良い経験でした。

キャディ不足の解消に向けて

——どのようなプロジェクトに参加したのですか?


私が参加したのは、株式会社 GOLKANO.(ゴルカノ)のプロジェクトです。同社はキャディスタッフの育成・手配、ゴルフイベントの企画運営・スタッフ手配などを行う企業です。今回は私たちが取り組んだテーマは「キャディ不足の解消に向けての取り組み」でした。

株式会社 GOLKANO.(ゴルカノ) https://golkano.co.jp/


——プロジェクトの内容についてもう少し詳細を教えていただけますか?


今回GOLKANO.様からは、キャディの登録人数を増やすための施策を検討してほしいというご要望をいただきました。その背景として
・以前は1000万人以上のゴルフ人口がいて、ゴルフ場の専属キャディもいた時代があったが、価格高騰や競技人口の減少などの外部要因により、ゴルフ人口の減少とともに、ゴルフ場の専属キャディも減少し、現在はキャディ派遣がメインとなっている
・コロナ禍以降、ゴルフ人口が再び増加傾向にあることから、キャディの人材不足が課題となっている。契約ゴルフ場の数に対し、登録しているキャディ数が不足している。ゴルフ界の発展のためにもキャディ数を増やしたい
というお話をいただきました。

そこで私たちは、キャディ増加に向けた議論を行い、いくつかの手法を見出しました。その中で、費用対効果や実現性などを鑑みたところ、「他社とのアライアンス事業」を優先的に進めていくことに決まりました。そこからは、提案にあたっての想定課題・検討事項の洗い出しを行い、最終的にアライアンス先への提案資料を完成させ、GOLKANO.様がスムーズに提案していただけるよう準備を整え、活動を終えました。

——準備した提案資料は使用していただけたのでしょうか?

そうですね、私たちの活動が終わった後に、ある企業に対して提案を行ったそうですが、素晴らしい逆提案をしていただき、成功したと聞いています。細かい部分はこれから詰めていくようですが、実現に向けて進めているそうです。40日間という限られた時間内だったので、事業開始まで見届けることができませんでしたし、アライアンス事業以外の手法は取り組むことができませんでしたが、私たちが準備したことを活かしていただき、事業実現に向けて動いている姿を見ることが出来て、嬉しかったです。

キャディとは https://golkano.co.jp/caddy/


社外でも通用することがわかった


——プロボノに参加してみて、一番の気づき・学びは何ですか?


相手の意見をしっかり聞いて、否定しないこと、でしょうか。今回は、異業種・異職種で、年齢も異なる方々と一緒に活動したので、自分とは全く異なる意見に触れる機会が数多くありました。逆に、私の意見が受け入れ先企業や、メンバーから驚かれるということもありました。そのような経験を通して、異なる意見を否定しないで、まず受け入れることが大事だと感じました。社内だと、全く異なる意見に触れる機会は少ないですよね。プロボノは全く異なる人が集まる環境だからこそ、気づきがあったのだと思います。

——プロボノに参加して、社外でも通用すると感じることはできましたか?

これまで培ってきた、発想力やアイデア出し、焦点の見極めや達成に向けたプロセスなど、自身の開発経験が活かされたと感じました。また、違う年代層の方々との会話、コミュニケーショは、自身の業務内の延長線のような形で、違和感なく対応できました。また、プライベートでゴルフをやっていたこともあり、趣味で培ってきた知見も活かせました。活動後には、私のスピード感、行動力、資料作成能力について、受け入れ企業から高評価をいただけました。アライアンス先の調査のために、すぐに現地調査を行い、資料を作成してメンバーに展開したことなどが評価されたようです。

——プロボノに参加して、自身の課題だと思うようなことはありましたか?

社外で通用することが沢山あると認識できた一方で、異業種の方々との交流や会話において、自身の知らない内容を普通に話されている事が色々あり、課題も感じました。自身をもっと成長させる為には、視野の拡大や多様な方々との交流は非常に大切な事だと再認識しました。

——では最後に、どんな人がプロボノに参加するといいと思いますか?

今回、当社からは参加したのは50代のみでしたが、他社のメンバーだと20代の方もいらっしゃいました。どの年代が参加しても学びはあると思いますが、所属企業以外を知らない30代、40代が参加すると、所属企業のことをよく理解していて他社でも通用するスキルを保有している分、より効果的ではないかと思います。