「大変充実していたので、終了後しばらくは“プロボノロス”状態でした」株式会社ニフコの石井庸介さんのプロボノ活動体験談

プロボノとは、主に大企業に勤める社員が、自身の仕事上のスキルや知識を活かして行う社会貢献活動です。
近年、幅広い職種や年齢層で広がりを見せるプロボノ。弊社のプロボノプログラムでは、参加者と受入れ先とのマッチングのうえ、多種多様な業種からのメンバーで形成されたチームをつくり、約40日間のプロボノ活動に取り組みます。
 
今回は株式会社ニフコに勤めながら、プロボノの活動に参加された石井庸介さんにプロボノの体験談を語っていただきました。
プロボノ参加にあたって
——最初に自己紹介をお願いします。

石井さん(以下、石井)  新卒で入社して以来36年間、設計・開発業務に携わってまいりました。自動車をはじめ、家電、オフィス家具、住宅設備、アパレル、掃除用品など、多岐にわたる製品の設計に従事し、「設計一筋」のキャリアを築いてきました。また、海外関連子会社での勤務や連携、品質部門での経験も有しており、品質と設計の両面から組織に貢献してきました。

——今回、なぜプロボノに参加したのですか?

石井 以前から社内で本プログラムの募集が行われていることは知っていましたが、昨年、同年代の社員が参加しているのを知り、自分も挑戦できるとわかったため、今回応募を決めました。また、興味を持っている企業があり、自分にも貢献できる部分があると感じたため、参加を希望しました。参加前は不安よりも楽しみの方が大きく、どのような経験ができるのかワクワクしていました。

株式会社ニフコ https://www.nifco.com/

(写真:ニフコ名古屋工場技術開発棟)

——どのようなことを期待して参加しましたか?


石井 当社とは異なる価値観や文化を持つ組織のプロジェクトに参加し、どのように活動方針を定め、どの程度のスピードで進め、成果につなげていくのかを学びたいと考えていました。また、長年の業務で凝り固まった思考をリフレッシュし、新たな考え方を取り入れるとともに、異なる文化を持つ参加者の発言や行動からも学びたいと思っていました。
充実しすぎてプロボノロスに⁈
——プロボノに参加しての率直な感想を教えてください。

石井 とても楽しく、参加して本当によかったと思っています。普段触れることのない外の世界に触れ、実際に行動することで、自分の力が社外でも通用することを確かめることができ、貴重な経験となりました。また、異なる文化に触れることもでき、自分自身も成果を得られ、受け入れ企業のダモンデ様にも価値を提供できたと感じており、大変有意義な経験となりました。機会があれば、ぜひもう一度参加したいです。

——とても充実した時間を過ごすことができたのですね。

石井 そうですね。終わってしばらくは「プロボノロス」になるほどでした。活動していた曜日になると、「毎週この時間はみんなとオンラインで話していたのに、もうその時間がないのか」と思うと、とても寂しく感じました。

——石井さんはどのようなプロジェクトに参加したのですか?

石井 私が参加したのは一般社団法人ダモンデ様のプロジェクトでした。同法人は、2015年より愛知県新城市にて春と秋の年2回、トレイルランニング大会を開催しています。また、大会を軸に様々なイベントを企画・運営し、スポーツを通じて地域の新たな活力となるコミュニティづくりを行っています。今回取り組んだのは、「DA MONDE TRAILを通じたスポーツ×森林空間の新たな価値の創出・提案プロジェクト」です。

一般社団法人ダモンデ https://trail.damonde.jp/
愛知県新城市に残る大自然を満喫できるトレイルランニングレース

(写真:DA MONDE TRAIL会場の様子)
——具体的にどのような内容だったのでしょうか?

石井 このプロジェクトのミッションは、ダモンデ様が運営するトレイルランニング大会「DA MONDE TRAIL」を持続・循環させるために新たな価値を創造することでした。新城市が持つ自然環境や人的資源を活かす新しい方法を考えることで、大会を通じた集客やコミュニティづくりに加え、単なる集客以上の価値を生み出すことを目指しました。こうした取り組みによって、スポーツ本来の価値を引き出すことにもつなげたいと考えていました。

——なぜこちらのプロジェクトを希望されたのですか?

石井 奥三河エリアの自然や地域の魅力をよく知っており、大好きなことから、イベントの開催や運営の改革・進化に貢献できると考えました。また、愛知県での人脈を広げながら、地域の魅力を活かしたイベントづくりに関わり、活動終了後も継続的に関与できる点に魅力を感じ、参加を希望しました。

——プロジェクトはどのように進めたのですか?

石井 チームメンバーは4名で、業種・職種、年齢もさまざまなメンバーで構成されていました。初回のミーティングでは、受け入れ企業からインプットを受けました。2回目には現地に赴き、大会を視察したうえで、さまざまな案を検討し提案を行いました。最初は全く知らない分野だったため、受け入れ企業の説明を理解するのが難しいと感じることもありました。しかし、意見交換を重ね、自分の言葉に置き換え整理することで徐々に理解を深めることができました。最終的には、他のメンバーとともにコンセプトを整理し、ストーリーを作り上げ、無事にまとめることができました。プロジェクトは終了しましたが、来年またみんなで集まれることを楽しみにしています。
(写真:DA MONDE TRAIL競技中の様子)
強みを発揮しチームに貢献
——プロボノに参加して、学びになったことはありましたか?

石井 活動期間が区切られていたことで、スピード感を持って取り組むことができました。また、凝り固まった思考をリフレッシュし、新たな考え方を取り入れることができ、同時に、これまでの自分のやり方が正しかったことも確認できました。

——他のメンバーと協働しながらプロジェクトを進める中で、何か気づいたことはありましたか?

石井 異なる文化を持つ参加者の発言や行動から多くを学ぶことができました。話し方ひとつをとっても各社で違いがあり、穏やかで淡々と話される落ち着いた方もいらっしゃいました。人との出会いも大きな収穫で、エッセンスの担当者の方も含め、非常に有意義な経験となりました。

——プロボノで、どのような強みを発揮することができたと思いますか?

石井 私は、物事を多方面・多角的、客観的に観察・考察し、検討したうえで結果を導き出す力があると思っています。これまでの仕事や人生で培ってきた経験・知識・知恵を活かし、単に自分自身が学ぶだけでなく、受け入れ先企業や他の参加者に新しい視点を提供できたと思います。また、顧客折衝やコミュニケーションの経験を活かし、率先して発言したり話題を振ったりすることで、円滑な対話を促すことができました。さらに、新しいアイデアや取り組み方を考える力も発揮し、コンセプト策定にも貢献しました。

(写真:自然に囲まれた大会会場〈愛知県民の森〉)

——活動後、キャリアプランに変化はありましたか?

石井 活動前に描いていたキャリアプランに大きな変更はありません。しかし、このプログラムを通じて、定年退職後にどのような形で社会貢献できるかという具体的なイメージを持つことができました。さまざまな価値観や経験を持つ参加者や企業の取り組みを間近で見ることで、今後の人生設計にも新たな視点を加えることができたと感じています。

——では最後に、プロボノに参加する方へメッセージをお願いします。

石井 プロボノへの参加で、自身にとって何かしらの成果が得られるのか?受け入れ企業に価値を提供できるのか?と不安に思う方もいるかもしれませんが、そんな心配は無用です!成果が得られるかどうか、提供できるかどうかにかかわらず、それはそれで結果です。どんな形でも結果を踏まえて次に生かすことができるはずです。まず、参加することが第一歩です。活動の中で理解できないこと、悩むことが多々発生すると思いますが、それを乗り越えることこそ、プロボノ参加の本質、意義があるのではないでしょうか。躊躇せず積極的に参加して、楽しんでいただけることを願っております。
【受け入れ企業からの活動後コメント ~一般社団法人ダモンデ様より~】
石井さんには今回のプロボノ活動で本当に多くの学びをいただきました。大切なことと知りながらもやはり、同業種、類似環境下にて構成されたグループなどにおいては「当たり前」を「当たり前でない」ということ、「わからない」を「わからない」ときちんと口に出すことは大変難しいものです。
しかし、今回石井さんが「わからない」ときちんと口に出してくれたことで「どこがどうわからないのか」「どうしたら伝わるのか」など言葉選び、そもそも話している前提や階層の見直しなど、物事に一本の源流を見つけ、そこに骨子となる筋道を立てていくプロセスの重要性を見ました。
また、それを見直す際に自分の中では一見理解しているつもりのものが、きちんと整理できていない、きちんと源流から筋道が引けていないことに気づくなど、プロジェクトやビジョンの本質、根幹の部分に大きな気づきをいただくことが多くありました。石井さんが投げかけてくださった本質的な石が、最後に一本の筋道を通し、全体の納得へつながった気がします。
石井さんの本質を突き詰める力、物事を分解し整理、組み立てする力、率直に言える力から、本当に多くの気づきをいただきました。ご参加いただき、誠にありがとうございました。