「異なる視点を持つ人々が集まることで点と点がつながり、より具体性のある新たな試みが生まれることを実感した」株式会社ニフコKさんのプロボノ活動体験談

プロボノとは、主に大企業に勤める社員が、自身の仕事上のスキルや知識を活かして行う社会貢献活動です。
近年、幅広い職種や年齢層で広がりを見せるプロボノ。弊社のプロボノプログラムでは、参加者と受入れ先とのマッチングのうえ、多種多様な業種からのメンバーで形成されたチームをつくり、約40日間のプロボノ活動に取り組みます。
 
今回は株式会社ニフコに勤めながら、プロボノの活動に参加されたKさんにプロボノの体験談を語っていただきました。
プロボノ参加にあたって

——最初に自己紹介をお願いします。

株式会社ニフコに中途入社し、自動車メーカー担当の営業職として立ち上げ業務をはじめ、自動車部品の提案活動、各種見積の作成、部品手配などの業務に従事しております。

——今回、なぜプロボノに参加したのですか?

以前から社内で本プログラムの募集が行われていることは認識していましたが、参加者の話を聞く機会があり、興味を持ちました。多種多様なメンバーと一緒にプロジェクトを進める点に魅力を感じ、刺激的で面白そうだと感じました。今回はちょうど業務が落ち着いている時期でもあったことから、応募に至りました。活動前は、通常業務とは異なる新たな取り組みに挑戦できることにワクワクしていました。

株式会社ニフコ https://www.nifco.com/


——どのようなことを期待して参加しましたか?


多様な経歴や価値観を持つ方々と関わる中で、新たなアイデアや各人の強み・スキルに触れたいと考えていました。その経験を通じて着眼点や発想の幅を広げるとともに、今後の業務に活かせるスキルをさらに向上させたいと思っていました。
ウイスキーの魅力を広めたい

——プロボノに参加しての感想を教えてください。


受け入れ先に、趣味でもあるお酒に関わる企業があったことをきっかけに参加しましたが、さまざまな視点で考えながらアイデアを出す過程を楽しむことができ、有意義な時間となりました。また、自分とは異なる意見に触れる中で、「このような考え方や捉え方があるのか」と気づき、「みんな違って、みんないい」ということを実感でき、大変貴重な経験となりました。業務時間外での活動でしたが、取り組みを負担に感じることはなく、前向きに参加することができたと思います。

——参加プロジェクトについて教えていただけますか?

私が参加したのは、島根県のAMA Whiskey&Co.株式会社のプロジェクトです。同社は、クラフト・スピリッツの製造・販売、そしてそれらを通じた地方創生事業を目的として、2024年6月に島根県隠岐郡海士町(あまちょう)に設立されました。バーボンスタイルの象徴的なスペリングである「Whiskey」を社名に掲げ、【Whiskey&Co.=唯一無二のプロダクトをつくり、仲間とともに仲間を増やす】というコンセプトのもと、事業を展開しています。また、静岡県三島市の蒸留所「Distillery Water Dragon」の製造ノウハウを継承・発展させ、これまでになかったジャパニーズバーボンスタイルウイスキーの製造を目指しています。現在は、2026年初夏の第2号蒸留所オープンに向けて準備を進めています。

——具体的にどのようなことに取り組んだのでしょうか?

私たちは、AMA Whiskey&Co.の“オーナーズカスク事業”において、ブランドコンセプトと海士町の地域特性を活かしたマーケティング設計を行いました。“オーナーズカスク”とは、蒸留所製造のウイスキー樽を購入し、熟成後にボトリングする権利を持つ商品のことで、一般的に富裕層・コレクター向けの高価格商品です。

隠岐・海士町は人口約2,300人の離島でありながら、地方創生の成功事例として全国的に注目されている地域です。本プロジェクトでは、この地域の強みを最大限に活かしたマーケティング設計を目指しました。販売対象が限定されやすく、再現性の高い施策が成立しにくい市場であるため、新たな設計が求められました。約40日間の短期でのプロボノ活動でしたが、単なるアイデア提案ではなく、受け入れ企業単独で実行可能な施策レベルまで落とし込むことを私たちの目標としました。

AMA Whiskey&Co.株式会社 https://ama-whiskey.co.jp/

——なぜこちらのプロジェクトを希望されたのですか?

同社の取り組みに強く共感したためです。お酒は私の一番の趣味であり、特にウイスキーは数年前から関心を深めており、旅先での蒸留所見学も楽しみの一つとなっています。島で熟成された唯一無二のバーボンテイストのウイスキーという付加価値と、隠岐・海士町の魅力や観光資源を掛け合わせることで、ウイスキーにまだ関心のない層にもその魅力を届けられると考え、希望しました。

温かいチームメンバーと共に

——プロジェクトは具体的にどのように進めたのですか?


活動は全部で6回実施しました。最初の1,2回目で今後のスケジュールを共有し、進め方を整理しました。その後は各回で議論を重ねるとともに、次回に向けてアイデアを持ち寄り、必要な情報を調査しながら検討を深めました。

具体的には、まずリサーチを行い、得られた情報をもとにオーナーズカスクの価値の再定義を実施しました。続いて、再定義した価値に基づきコンセプトの策定およびサブスクリプションモデルの設計を進め、最後に実施を想定した具体的なアクションまで計画し、終わりを迎えました。

——プロジェクトメンバーはどのような方々だったのでしょうか?

全く異なる業種・職種の男性3名と私、受け入れ企業の2名の社員の方の6名でした。議論は基本的にこのメンバーで行い、自由にアイデアを出し合うことを重視して進めました。他のメンバーからは現実的な視点での意見が多く出されましたが、私はあえて現実にとらわれず、一見的外れに思われるような意見も積極的に出しました。私はウイスキーに関する知見を有していたため、その視点を活かすことができたと思います。

——現実にとらわれない意見を出した際、メンバーの反応はいかがでしたか?

皆さんのフィードバックは非常に温かく、否定されることはなかったので、安心して意見を発信できました。リーダーからも「自由な発想をしてくださる方がいて良かったです」といった言葉をいただき、嬉しかったです。

——現実にとらわれない意見というのは、どのような内容だったのでしょうか?

営業戦略として、未成年を含む若年層にも魅力を伝えていく視点を提案しました。通常は高価格帯であることから年齢層を高めに設定しがちな中で、あえて若年層にアプローチする方向性を示しました。また、サブスクリプション施策の特典としてミニ樽キットを提案するなど、具体的なアイデア出しにも貢献しました。

多くの学びと刺激を得た

——プロボノに参加して、学びになったことはありましたか?


今回の活動を通じて、現実離れしているように思えるアイデアであっても、
異なる視点を持つ人々が集まることで点と点がつながり、より具体性のある新たな試みが生まれることを実感しました。また、自身の好きな分野であったこともあり、この機会がなければ調べることのなかった新たな知識や視点に触れることができ、多くの学びを得ることができました。

——チームメンバーから学ぶことはありましたか?

同じチームのメンバーから刺激を受けたのですが、特にリーダーから大きな刺激を受けました。リーダーはプロジェクトの推進力に優れており、目指す方向性も明確で、全体をうまく統率されていました。自分が同じ立場であればここまで円滑に進めることは難しかったと感じ、その姿勢から多くの学びと刺激を得ることができました。

また、メンバーごとに意見を発表する際、リーダーは資料を使わず口頭で説明されていました。数字を多く含む分かりにくくなりがちな内容であったにもかかわらず、PREP法に沿った構成と話し方により、非常に理解しやすく、すんなりと頭に入ってきた点が印象的でした。資料を作成してきたメンバーは、本人は「大したことはない」と話していましたが、構成や見せ方がしっかりしており、完成度の高い報告資料であると感じ、大変勉強になりました。

——今回プロジェクトがスムーズに進んだということですが、なぜうまく進めることができたと思いますか?

各自がアイデアをまとめるにあたり、「何のために行うのか」「対象はどのような人か」といった点を具体的に定義し、最終ゴールを明確にしていたことが、円滑に進んだ要因だと感じます。加えて、認識を揃え、同じ方向を向いて取り組めていたことも大きかったと考えます。また、リーダーが次に何をすべきかを常に明確に示してくれていたことも、スムーズに進んだ要因の一つだと思います。

自身の強みと課題

——プロボノで、どのような強みを発揮することができたと思いますか?


メンバーとは
異なる視点からアイデアを出せた点が、自身の強みとして発揮できたと思います。特に、関心のある分野であったことから、ユーザー視点に立って調査を行い、自分なりの意見を積極的に発信することができました。また、現実にとらわれすぎず、まずはアイデアとして発信することを意識しました。その結果、自分の発言をきっかけに議論が広がる場面もあり、チームのアイデア創出に貢献できたと感じています。

——プロボノを通して気づいたご自身の課題はありますか?

各メンバーの意見の核心や特徴を瞬時に捉え、全体の方向性を決定していく能力がより必要だと感じました。また、自分の考えを分かりやすく伝えるために、PREP(結論→理由→具体例→結論)に基づく伝え方を磨くべきだと思いました。加えて、グループワークを効率的に進めるための方法(前提整理のやり方など)を理解していなかった点も課題だと感じました。

——では最後に、プロボノに参加する方へメッセージをお願いします。

新しい気づき・刺激になる経験ができると思います。特に私の場合は、自分の好きな分野・テーマで活動できたことが大きかったです。現状の仕事とは異なる領域に身を置くことで、思考の気分転換となり、新たな発見ができると思います。
【受け入れ企業からの活動後コメント ~AMA Whiskey&Co.株式会社様より~】
今回、オーナーズカスクのマーケティング施策の検討に取り組んでいただきましたが、蒸留所の開設準備段階で製品や方向性が未確定の中でのスタートとなり、難しいテーマに取り組んでいただいたと感じています。そのような中でも、チームメンバー4名それぞれが異なる個性や得意分野、興味関心を持つ中で、業界の定説にとらわれない自由で多様なアイデアを多く出していただきました。また、限られた活動条件の中でも「これは本当にカスクオーナーにとって魅力的なのか」という本質的な議論を重ね、プロジェクトに着手できる段階まで整理していただきました。

K様は、弊社のブランドテーマである「Playful」をまさに体現するような姿勢で、プロジェクト自体を心から楽しんで取り組んでくださった姿が非常に印象的でした。ご自身の興味や「好き」という純粋な感性を原動力に、既存の枠にとらわれず自由な発想でイメージを膨らませていただけたことは、我々にとっても大きな刺激となりました。
プロボノ活動期間は一旦終了となりますが、引き続き当社の取り組みを楽しんでいただけましたら幸いです。プロジェクトへのご参加、誠にありがとうございました。