事例紹介

株式会社ニフコ×GXsport株式会社の導入事例

「経営者視点での考え方を学ぶことができ、ベンチャーのスピード感を体感することができた」(職種:設計開発 留学頻度:週1日、留学時:新卒入社12年目)
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目的
交渉・折衝スキルの向上、エンゲージメントの向上に繋がる学びを得る
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背景
異なる業界や企業を経験できる機会を作り、リーダー人材の育成や外部との協業に関する経験・知見を得て、変革を促進する必要性があった
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効果
・経営者視点の考え方を学ぶことができ、ベンチャーのスピード感を体感することができた
・社外に出ることで所属企業の優れた点・改善点を把握することができた

他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」にインタビュー。留学前、留学中、留学後の想い、そして留学後に何が変わったかについて、体験談を語っていただきます。

今回お話を伺ったのは、株式会社ニフコ。他社留学を経験したのは、商品開発部の石田さんです。留学先はスポーツ総合エージェント事業やトレーニングサポート事業、アスリートキャリアサポート事業などを行うGXsport(ジーエックススポルト)株式会社。留学中は、スポーツクラブ新設に伴う企画立案及び海外スポーツクラブの協賛企業の開拓に参画しました。
所属 株式会社ニフコ
留学先 GXsport株式会社
他社留学期間 週1日/4ヶ月間(2022年11月~2023年2月)
留学した人 商品開発部 ADAS商品開発Unit 石田 匡人さん(留学時:新卒入社12年目)
送り出した人 技術本部 商品開発部 シニアプロジェクトマネージャー 根津 幹夫さん

期待と不安の中、始まった他社留学

——まず初めに、他社留学に参加した背景をお聞かせください。
石田さん(以下、石田) 今回は上司からの指名を受けて参加することが決まりました。当社では2019年から他社留学を実施しており私の部署からもこれまで複数名が参加していました。今年は指名制と聞き、年次的にも自分が選ばれるかもしれないという気がしていました。いざ指名されてみると、プレッシャーはなかったものの、現職が忙しい時期と重なるため大丈夫だろうかと思いました。また、留学先に貢献して何かを持ち帰らないといけないと強く思いました。社外での経験というと、学生時代2社でインターンをした経験がありましたが、あとは新卒から当社におりますので、新しいことにチャレンジできるという楽しみな気持ちもありました。
——他社留学にはどんなことを期待して参加したのですか?
石田 他社留学に参加することで、交渉・折衝のスキルを向上させたいという思いがありました。私は所属企業で設計を担当していますが、自動車メーカーに対して新製品の提案も行っていますので、私自身のスキルを向上させることでより多くの受注に繋げたいと思っていました。
また、エンゲージメントの向上に繋がる学びを得たいという思いもありました。私自身、設計という好きな仕事ができているものの、皆忙しいこともあり、社内でのコミュニケーションが十分にできていないと感じていました。私自身がより楽しく仕事をするためにも、仲間との繋がりを深め、会社に対する愛着心を盛り上げていきたいと思ったので、そのためのヒントを得られることを期待して参加しました。

GXsport株式会社 http://gx-sport.com/

——留学中は具体的にどのようなことをしたのでしょうか?
石田 今回の他社留学は、週1回実地にて業務を行いました。主に、モーターサイクルスポーツ普及のための施策検討、スポンサー企業をみつけるための企画書やプレゼン資料の作成、スポーツジム開設に向けての準備などを行いました。週1回ペースで後藤社長とざっくばらんにディスカッションをしながら進めていきました。

留学を通しての気づき・学び

——留学を通してどんな学び・気づきがありましたか?
石田 所属企業では自動車部品の設計をやっているのですが、今回の留学先はスポーツ関係ということで、全く異なる環境で異なる業務にチャレンジしました。留学中は社長と一緒に活動させていただいたので、経営者視点での考え方を学ぶことができました。それ以外にも、業務の進め方、顧客へのアプローチの仕方、企画書の作り方など色々勉強させていただきました。そんな中で当社と一番違うと感じたのは、行動のスピードです。一つ一つの企画もそうですし、それに伴う判断のスピードも早かったです。
——社外に出て気づいた所属企業の良い点、課題点はどんなことでしたか?
石田 そうですね、まず良い点については自動車メーカーの設計者と一緒に仕事ができる点です。当社の開発品をダイレクトに提案することができますし、一緒に製品を作って世の中に出すことができるという楽しさがあります。一方で課題点については、まだまだ紙の資料が多く、はんこ文化が残っておりアナログな仕事の仕方をしている点です。いきなり変えるのは難しいので古いやり方が続いていますが、今後はよりデジタル化を進めた方がいいと思いました。
(石田様:写真右)
——留学先の後藤社長の印象を教えていただけますか?
石田 後藤社長はとにかく多忙でいらっしゃり、非常にエネルギッシュで行動力のある方だと感じました。自ら会社を立ち上げて経営されていますので、雇用されている会社員とは働き方が全く異なりました。私はこれまで経営者と一緒に何かを進めた経験がなかったので、色々気づくことも多く、自分のキャリアについて改めて考える良い機会になりました。一般的なキャリアとして定年退職した後は働かずに老後を楽しむこともできますが、後藤社長のように自分で起業すれば定年はないので、60代、70代になっても働くことができますよね。
——定年後のキャリアについても考える機会になったのですね。
石田 そうですね、新たな生き方の選択肢を得ることができたこともあり、定年退職後、何歳になってもできるような仕事に繋がる趣味を今のうちから徐々に見つけていきたいと思うようになりました。当社では設計という自分が好きなことを仕事にできています。仕事は人生において多くの時間を使うので、定年後も好きなことを仕事にして楽しく生きていきたいです。ただ、好きな仕事をすると言っても、100%好きということはないと思うんです。好きな仕事でも嫌いな部分や大変な事もありますし、本当に好きなことをやっていても嫌いになってしまうこともありますよね。定年後もできる限り好きな仕事ができるよう、今から準備できることを進めていきたいです。
——今回、社外で設計とは異なる業務にチャレンジされましたが、改めて気づいたことはありましたか?
石田 設計自体はやはり好きな仕事だと思いました。今回は設計以外の業務を異なる組織で進めたということもあり、組織としての違いも感じることができました。留学先は規模が小さい分、スピーディに進めることができましたが、当社の場合は規模が大きい分、会社のルールや仕組みがしっかりと整備されており、手順に沿った進め方が求められます。また、大企業ならではの文化・企業風土があることも強く感じました。
(写真:石田様)

留学後の変化と今後への想い

——留学後、変化のあったことはありますか?また、今後に向けて考えていることはありますか?
石田 留学後の変化についてですが、経営的な視点を取り入れようとマクロでは経営方針や財務状況を改めて確認し、ミクロでは部署や製品群、製品ごとの売上や粗利をより意識するようになりました。
今後に向けては、今回の留学の目的でも話したとおり、エンゲージメントの向上に貢献していきたいと思っています。社外に出ることでニフコの優れた点・改善点がわかりました。今後ニフコの優れた点をさらに伸ばしていけるよう、私が学んできたことを同僚や同年代の社員に伝えることから始めて、バラバラだったマインドを一つにしていけるよう発信していきたいと思っています。そして、より多くの社員にそれを広げていきたいです。また、経営層に近い立場の方々に私が活動してきたことを伝えて興味を持ってもらえれば、さらに広がっていく可能性があると思っていますので、活動を進めているところです。
それから、システム環境の整備も進めていきたいと考えています。図面の管理において問題だと感じたり、不便だと感じたりすることも多いので、整備していきたいです。
今回の留学は4ヶ月で終わりましたが、学んだことをすぐに活かせる場面もあると思いますが、時間が経ってからでも後輩や世の中に対して価値を生む経験に繋がる可能性もあると思っています。留学が終わっても留学先との関係は続きますので、数年後に一緒にビジネスをする可能性だってあります。そう思うとワクワクしますね。
——今後、ニフコをどのような会社にしていきたいですか?
石田 そうですね、自動車産業が過渡期にあるので、現状のままお客様に言われたとおりに開発していくだけでは厳しい状況になってしまいます。私を含め、一人一人の社員が経営者目線を持ってニフコをどうしていくのか、と考えていくことが非常に大事です。また、仕事を楽しむこともとても大事なことだと思います。リーダーがワクワクしたら、部下にもそれが伝わり、ワクワクを広げていくことができます。自分のポジションが上がれば上がるほど、その影響範囲を広げていくことができますよね。
当社の社員は、設計や車が好きで入社している人が多いですが、忙しいと余裕がなくなって「好き」などと言っている場合ではなくなってしまいます。心の余裕があれば好きな仕事をワクワクしながら進めていくことができますので、そういった部分はマネジメントに期待したいです。
——では最後に、他社留学に参加してみて、他社留学に向いている人はどんな人だと思いましたか?
石田 今の仕事から何か一つステップアップしたい人がいいと思います。何か新しいことをやりたい人や成長したい人が自ら手を挙げて、自らの状況を変化させるために他社留学に行くのがいいのではないでしょうか。そういう人の方が、積極的に行動して色々な経験をするので、多くの気づきが得られるはずです。また、目の前の仕事に忙殺されて余裕がない人だと留学を続けられなくなってしまうので、組織としてよりしっかりとした体制を整える必要があると思います。
<留学先からのコメント> ~GXsport株式会社 代表取締役 後藤様より~
4ヶ月間ありがとうございました。石田さんのお人柄に加え、サッカーやモータースポーツなど共通の趣味があったこともあり、良い関係を作ることができました。石田さんは非常に優秀な方で、理解力があり柔軟な発想ができる方だと感じました。また、大企業に勤めるビジネスマンの多くが経営の話が難しいのに対し、石田さんは自然と経営の話ができる点が素晴らしいと思いました。会社での自組織やご自身の立ち位置、会社・自分の将来像を自律的に深く考えており、その考え方のベースとなる価値観についてもしっかりしている印象を持ちました。
プロジェクトへの取組みに加え、石田さん自身が経営者マインドを潜在的に持っているが故に、一緒にプロジェクトを進めることで多くの刺激や学びを得ることができたのではないでしょうか。今回のご縁をきっかけに今後一緒にビジネスをする可能性もありますので、これからも良い関係性を続けていきたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
会社名 株式会社ニフコ
業種  工業用プラスチック・ファスナー及びプラスチック精密成形部品の製造・販売
URL https://www.nifco.com/