事例紹介

株式会社ニフコ×株式会社アスソラの導入事例

「進化を遂げた半年間、事業開発のヒントも得られた」(職種:事業開発 留学頻度:週1日、留学時:新卒入社12年目)
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目的
事業開発のヒントを得る/価値観や危機感、スピード感の違いを自分に取り込む
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背景
異なる業界や企業を経験できる機会を作り、リーダー人材を育成する必要性があった
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効果
・事業開発のヒントを得てプロジェクト化することができた
・異なる環境に身を置くことで、新たな知識が身に付き、人を巻き込む上で必要なことや、とにかく手足を動かす習慣が身に付いた

他社留学を終えた「卒業生」にインタビュー。留学前、留学中、留学後の想い、そして留学後に何が変わったかについて、体験談を語っていただきます。

今回お話を伺ったのは、株式会社ニフコ。他社留学を経験したのは、プラットフォーム事業部の山田さんです。留学先は、太陽光発電、風力発電など再生可能エネルギーの導入支援、事業開発を行う、株式会社アスソラです。留学中は、営農型太陽光発電所の開発(用地探索等)に携わりました。
所属 株式会社ニフコ
留学先 株式会社アスソラ
他社留学期間 週1日/6ヶ月間(2023年10月~2024年4月)
留学した人 プラットフォーム事業部 山田 翔慧さん(留学時:新卒入社12年目)
送り出した人 開発本部 エグゼクティブ・エキスパート 根津 幹夫さん

事業開発のヒントを得るために

——まず初めに、他社留学に参加した背景をお聞かせください。
山田さん(以下、山田) 社内で募集があったので自ら希望して参加しました。以前から他社留学に興味はあったのですが、数年前から他社に出向していたのでタイミングを見計らっていました。昨年、自社へ帰任するタイミングで事業部の新事業構想チーム公募に応募し無事採用されたのですが、留学先の色々な経験が新規事業を考える際に役立ちそうだと考えて、他社留学にも応募しました。事前に経験者から話を聞き、大変そうだと思いつつもこれまでにない未知の経験が出来そうで面白いとも感じたので、非常に楽しみでした。
——他社留学にはどんなことを期待して参加したのですか?
山田 「価値観や危機感、スピード感の違いを自分に取り込むこと」、「事業開発のヒントを得ること」を期待して参加しました。実際に留学してみないと、自分のどの能力が役に立つのか分かりませんでしたが、少しでも役立ちそうなものを提供しながら、良好な人間関係、信頼関係の獲得に努めたいと思っていました。上司からは、異業種交流を図り、全てを吸収してきてほしい、自身の成長と新事業創出に役立つことを期待している、と声をかけてもらいました。

株式会社アスソラ https://www.earthsolarinc.com/

他社留学を振り返って

——今回の留学を、一言で表現するとしたらどんな言葉になりますか?
山田 自分の進化です。変化というよりは進化だと思います。所属企業では経験できなかった、未知の経験を多数得ることができました。これまで全く接点のなかった分野で、実際に働いている方たちと色々な話ができて、新たな人脈もでき、これまで培った自分の能力がさらにブラッシュアップされたり、新たな知識やスキルが加わったりしたように思います。
——留学先はどのように選んだのですか?
山田 私は元々カーボンニュートラルに強い関心があって、CO2削減に具体的に取り組んでいる企業を希望して、株式会社アスソラに留学先を決めました。社長は再生可能エネルギー発電の新規事業を開発した方で、他の皆さんも業界に精通したプロフェッショナルな方ばかりでした。本当に貴重な経験をさせていただけたと思います。
——留学中は具体的にどのようなことをしたのでしょうか?
山田 太陽光発電の中でも農地を活用した営農型太陽光発電の用地取得に関わらせていただきました。営農型太陽光発電とは、田や畑、果樹園などで農業を行いながら、その農地の上などに太陽光発電パネルを設置して発電するものです。売電収入または土地の賃料により農家の所得向上へ繋がったり、後継者不足による耕作放棄地の再生に対しても期待されている手法です。
留学当初、営農型太陽光発電のことは詳しく知らなかったので、留学後は手探りばかりでした。通常、太陽光発電所の開発は大まかに①候補地選定/②地権者の了解/③設計、許認可/④売電先・施工会社選定、接続契約/⑤プロジェクト資金調達/⑥工事・運転のプロセスに分かれます。今回の留学ではその途中までを経験させていただきました。また、留学先からは候補地リストアップ等に加えて、営農型太陽光の抱える課題抽出や対策立案もミッションとして持つこととなりました。
——留学中、現地訪問をしたという話も聞きました。
山田 そうなんです、営農型太陽光発電の候補地探索などをしていく中で、私自身が営農型太陽光発電所の実物を一度も見たことがないのは問題ではないか?営農型太陽光発電の課題抽出の為にも何としてでも一度は発電所実物を見ておきたい、と思うようになりました。
そんな中で、社長の山崎さんから業務提携先の千葉エコ・エネルギー株式会社主催の忘年会があるから参加しないか?とのお誘いをいただきました。私は二つ返事で参加を決め、その忘年会で発電所運営者を紹介してもらい、無事、小田原市の合同会社かなごてファームと千葉市の千葉エコ・エネルギー株式会社の営農型太陽光発電所を見学に行くことが出来ました。そこで見た内容を踏まえて営農型太陽光発電はどうやったらもっと広がるのかについて考え、道半ばの状態ながらも一定の方向性を報告することが出来ました。

(千葉エコ・エネルギー株式会社 営農型太陽光発電設備 https://www.chiba-eco.co.jp/)

——週4日所属企業で仕事をしながら、週1日留学するのは大変でしたか?
山田 時間配分という意味ではそこまで大変さは感じませんでした。というのも、私の場合は通常業務が外へ出て行っての新領域探索なので、大きく捉えれば他社留学自体もその一環であり、比較的シームレスな感覚でした。留学先で役立つ内容を普段の業務にも関連付けることは多少意識していました。例えば、電力系統調整力としての蓄電池についてなどであれば双方に意味がある内容ですし、所属企業で得たものを留学先ですぐに活かせたり、その逆もあったりしたので、進化の度合い、スピードがより高まったのかもしれないです。

留学を通しての気づき・学び

——今回の留学で「進化した」とお話いただきましたが、特に進化したのはどのような点ですか?
山田 現場感を含めた、カーボンニュートラルへの理解が進んだという点です。私は製造業で仕事をしているので、これまではモノを作る立場、電気を消費する立場でしか議論することができなかったんですね。電源を再生可能エネルギーにしたいと思っても、現状は全くわからなかったんです。しかし、今回、エネルギーを作る側に留学することで、リアルな現状を知ることができました。そのため、自社に電源を導入しようとした時に、誰にどのような相談をすればいいのか、また導入にあたっての負の側面を理解した上で、どうすれば問題なく導入できるのか、ということを考えることができるようになりました。自分たちにマッチした「あるべき姿」を考えられるようになったのは、大きな成長だと思います。
それと同時に悩みも深くなりました。クリーン電力を調達する側は、今後は益々取り合いの様相を呈していくと思いますが、乱開発は避けねばなりませんし、変動電源に対する調整力や電力系統の容量も足りません。明確に「こうすれば良いんだ」と言い切ることが難しい点は未だに非常にモヤモヤします。
——今回の経験を通じて、新たな気づき・学びはありましたか?
山田 普段の業務に限らず、留学中も色々な人を巻き込むために、積極的に声かけを行っていたのですが、人によって反応が分かれる体験をしました。キーワードに対して反応するセンサーがあるかどうかは、人によって異なるようです。巻き込む側も、最大限相手に刺さるような言葉を選んで話すのですが、そういった情報に触れた時に、自分が普段やっていることや、これからやりたいことと繋がるかもしれない、という勘が働くかは「想像力」があるかどうかに関わっているように思いました。そのため、想像力があまりない方も含めて多くの人を巻き込むためには、直感的に「なんか面白そう」と想像してもらえる仕掛け作りが大事なのだと気づくことができました。
(山田様:写真中央)
——今回の経験を通じて、新たに獲得したスキルはありますか?
山田 スキルというか習慣なんですが、動いてみる習慣が身に付いたと思います。例えば、社長の山崎さんからお誘いいただいた提携先の忘年会にしても、まず行ってみて、そこで紹介してもらったり知り合った方と後日ミーティングをしたり、実際に発電所を見に行ったり、とにかく動いてみることを意識していました。場合によってはニフコからも何人か同行してもらったり、とにかく使えるものは何でも使うというスタンスだったと思います。何が成果に繋がるかわからない中で行動していましたが、普通に仕事をするだけでは絶対に繋がらないような繋がりができていくのは面白かったです。
——この半年間で新規事業のヒントは得られましたか?
山田 はい、得られました。新規事業を立ち上げるには「何か繋がらないかな」という目線で常に見続ける必要性があることを感じて、実践していました。最後の数ヵ月で事業としてできることがありそうだ、継続的に進める価値がありそうだ、というものが見えてきたんです。「取ってつけたような話」なのですが、でも「取って付けられるかどうか」は大事ですよね。とは言っても、あくまでも取っ掛かりを見付けただけに過ぎないので、より解像度を上げていきながら実現していきたいと思っています。
——「取って付ける」ですか、面白いですね。
山田 結局やってみないとわからないので、まずは行動するしかないんです。人に聞いてみて初めてわかることもあるし、話してみたら想定していたところと違うところが繋がったりすることもありました。「使えるものを何でも使っていくスタンス」が、結果として思わぬ方向から自分を助けることもあると実感でき、行動してみることの大切さを改めて認識できました。
留学開始当初から、一見するとムダにも思える脇道にそれたことを色々やっていたのですが、終盤での軌道修正の際に、課題抽出やそこへの方策を考える際に、それらが全て材料として活きてきたんです。まず動いてみることとその積み重ねが重要だと強く感じましたし、その前提としての知識や情報も必要なので、調べる力も非常に大事だと思いました。

(千葉エコ・エネルギー株式会社 営農型太陽光発電設備 https://www.chiba-eco.co.jp/)

他社留学後の変化

——留学後、何か変化はありましたか?また、留学先の良いと思ったことで何か取り入れたことはありますか?
山田 行動に移すのが早くなりました。あとは物事の関連性、「取って付けられるか?」をより意識するようになったと思います。留学先で良いと思ったのは、常に地域側に立って話をされている点です。私は様々な人と会って話す機会が多いのですが、自分のやりたいことだけを話すのではなく、相手側の目線で何を話すべきか考える意識を強く持つように変わりました。
——今後に向けて考えていることはありますか?
山田 漠然とした話でカーボンニュートラルからも少しずれますが、プラスチックへの風当たりの強いこの時代だからこそ、弊社はプラスチックのプロとしてプラスチックのあるべき姿を提示していく責任があると思っています。プラスチックであるからこそ成立している領域は多々あります。例えばこの画面を見ている人が使っているスマホやパソコンはプラスチック無しでは考えられません。総量を減らすだけでなく、いかに循環させるかということも重要です。弊社内でもその領域の取り組みは色々進んでいますが、私もそこに関連した事業を「取って付けられる」ように動いていきたいと思っています。カーボンニュートラルもここに密接に関わる要素なので、今回の留学で得た経験も活用していきたいと考えています。
——山田さんは熱い想いを持って仕事をしているように感じましたが、ご自身が仕事をする上で大事にしていることは何ですか?
山田 世界をもっと良くするが自分の行動理念であり、自分の中のエンジンです。世界はもっと良くできると信じているし、それを今回の他社留学でリアルに体験できました。あとは、三方よしも大事にしています。関わる人全員にとって良い状態になることが重要なので、これからも常にそれを意識しながら仕事に取り組んでいきたいです。
(山田様:写真右)

これから他社留学に参加される方へ

——他社留学を充実させるには、どのような点が大事だと思いましたか?
山田 業種・タイミング等にもよりますが、留学までに事前知識をある程度入れておくこと」、「元々持っている知見で使えるものはないか考えることだと思いました。私の場合は、留学前に例えば、電気の基礎、電力事業の概略・ビジネスモデル、再エネの基礎などをインプットして臨みました。ただ、それでも法的な部分や系統接続、単価算出など初めて知ることも多く、付いていくだけでやっとというのが正直なところでした。事前知識ゼロだったらもっと大変だっただろうと思います。それから、普段の業務で得た蓄電池の知識も役立ちました。事前インプットだけでなくそれまでに身に付けた知見で活かせるものはないかと考えることも大事だと思います。事前知識については好みの問題でもあると思うので、これから留学される方は、自身の特性に合わせて選択されると良いかなと思います。
——留学前からできることをやっておくことが大事だということですね。では、留学を進める上で大事なポイントは何だと思いますか?
山田 他社留学は会社に在籍しながら全く異なる環境に留学し、そこでの学びだけでなく飛び地での人との繋がりを作れる点が素晴らしいと思います。ただ、自分が留学して満足するだけでは意味がなくて、会社に戻って周りにどう影響を与えるか、留学先と自社をどう「取って付けられるかというのが非常に大事なことです。すぐに出来なくても、そこを考え続けることが大事だと思います。未知の環境で全く異なる人や考えに触れて大いに刺激を受けるのは良いのですが、参加して良かったなと思って終わりだけだと正直勿体ないです。
自分の周囲や組織にどうやったら還元出来そうか?ということを、出来れば戻ってからではなく留学に行く前、行ってる間から意識しておくとより有意義になるように思います。
日常業務と留学先の環境が違えば違うほどにハレーションも大きくなるかもしれませんが、他社留学によってしか得られないものもあると思うので、ぜひ得たものをどう「取って付けられる」かを考えてみると良いと思います。
<留学先からのコメント> ~株式会社アスソラ 佐藤様より~
半年間ご一緒させていただきましたが、常に課題を見つけて自ら工夫し、積極的に調査や情報収集をされており、アグレッシブな姿勢が素晴らしかったです。当社メンバーと積極的にコミュニケーションを取りながら、常にトライして、適時軌道修正も的確に行っていました。
当社の取引先との情報共有にも積極的にアプローチされていて、今後の新規事業への道筋を見出すべく動かれていたのは見習うべきところだと感じました。次につながるテーマも見つけられたようなので、今後の活躍を楽しみにしています。今後とも互いの成長と向上を図る交流が継続できれば幸いです。半年間ありがとうございました。

会社名 株式会社ニフコ
業種  工業用プラスチック・ファスナー及びプラスチック精密成形部品の製造・販売
URL https://www.nifco.com/