事例紹介

京王電鉄株式会社×株式会社カニカピラの導入事例

「共通点のない環境に飛び込んだ、“学びと気づきと驚き”の3ヶ月」(職種:事業統括 留学頻度:週5日、留学時:新卒入社16年目)

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目的
新たなアウトプットに向けてヒントを得る
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効果
・新しいツールや考え方を取り入れるハードルが下がった
・アイディア出しの新しい進め方を得ることができた
・改めて今の会社が自分の価値観にフィットしていると感じることができた
・部下が働きやすくなるためのマネジメントについて見直すことができた

他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」にインタビュー。留学前、留学中、留学後の想い、そして留学後の変化について、体験談を語っていただきます。

今回お話を伺ったのは、京王電鉄株式会社。他社留学を経験したのは、グループ会社「株式会社京王子育てサポート」に出向中の元井さんです。留学先は株式会社カニカピラ。「デザインでものがたる」をクリエイティブコンセプトに、ブランディング、コンテンツ企画、サイトの制作・構築から解析・運用まで、Webに関わる制作をトータルに行う企業です。留学中は、教育サービスの立上げ支援プロジェクトに携わりました。

所属 京王電鉄株式会社
留学先 株式会社カニカピラ
他社留学期間 週5日/3ヶ月間(2023年4月~2023年6月)
留学した人 株式会社京王子育てサポート出向 元井 寛子さん(留学時:新卒入社16年目)
送り出した人 株式会社京王子育てサポート 代表取締役 岩村 和昭さん(留学時)

今後のキャリアを考えるために

——まず初めに、他社留学に参加した背景をお聞かせください。
元井さん(以下、元井) 社内で他社留学の公募があり、応募して決まりました。現在の職場も6年目になり、在籍期間が長くなってきたことが応募のきっかけでした。年々インプットが少なくなってきていて焦りを感じていました。環境を変えてチャレンジすることで、今後自分は何がしたいのか、何ができるかを改めて考え直す機会になるのではないかと思い、応募しました。留学前は現在の担当業務もあるの中で少し不安はありましたが、楽しみの方が大きかったように思います。
——留学中は具体的にどのようなことをしたのでしょうか?
元井 昨年の秋に立ち上げた教育サービス「Super Diversity Kids(旧Miii)」のプロジェクトに携わらせていただき、PR戦略の立案とファンコミュニティの立上げを行いました。最初はPR戦略立案のためのインプットから始め、その後はサービスサイトとPR手法の関係性の整理を行い、戦略を決定したうえで、6月から運用を開始しました。私は6月末までの留学だったため、まだまだブラッシュアップし続けたい気持ちもありましたが、他のメンバーに引き継いで終了となりました。

Super Diversity Kids―「多様性」と「共感」を切り口に、保護者の方が肯定的にお子さんと関わることをサポートするサービス(https://www.instagram.com/super_diversity_kids/

——留学を終えた今、3ヶ月間を振り返っていかがですか?
元井 毎日「学びと気づきと驚き」の3ヶ月でした、様々な場面で違いを感じることばかりで良い経験をさせていただきました。現在の職場ではマルチタスクで仕事をしておりますが、留学中はいつもと違う環境で一つの業務に集中して取り組むことができました。与えられたミッションをどのように達成するか、とにかく考えた3ヶ月だったように思います。今までの業務の進め方と異なっていたために、これでいいのかな?と思うこともあったのですが、振り返れば収穫も多く、実りある3ヶ月間でした。この経験をどのように現在の職場で活かしていくか、考える日々です。また、3ヶ月ぶりに職場に戻ってみると懐かしい気持ちになり、やはり居心地の良い職場だと感じて、また改めて頑張ろうと思うことができました。
——留学終了後には留学先の方から感謝の言葉をいただいたと聞きました。
元井 私の業務への取り組み姿勢が若い方の刺激になった、と言ってくださったのが嬉しかったです。お互いの共通点があまりなかったので、留学先の皆さんにとっても「こういう人もいるんだ」と参考になったのだと思います。私が留学したことで留学先にとっても何か気づきがあったのであれば、貢献できて良かったと思います。

留学を通しての気づき・学び

——留学先でどんな気づき・学びがありましたか?
元井 多くの気づきや学びがあったのですが、まずは新しいことを怖がらずに、知らないツールや考え方でも取り入れる姿勢が非常に勉強になりました。当社では、事業の特色や会社規模もあり、新しいものを取り入れるスピード感に課題を感じています。幅広い世代の方に受け入れてもらえるかな、と慎重になりますし、変えることによるデメリットもあるかもしれないとなかなか一歩が踏み出せないときもあります。しかし、留学先では自分が調べたツールに関して、まずは使ってみようと抵抗なく受け入れてくださったので、もっと積極的になっていいのだと気づかされました。
また、アイディア出しの進め方についても学びがありました。留学先では何かを検討する場合、各自が色々な事例を事前に調べて、それを持ち寄って意見交換をしていました。なぜ自分がこの事例を持ってきたのかその裏にある考えも併せて聞くことができて、より深い議論になっていました。現在の職場では、事前に調べてくるよりは、フラットな状態で集まって、話をしてその中で気になるものが出てきたら調べるという進め方が主でした。フラットな状態で集まるとその場で自分が持っているネタ以外は出てこないので、留学先のやり方がよりスピーディに、幅広い議論ができて良いと思いました。
ただ、留学当初はそのスタイルに慣れていなかったため、リサーチが大変でした。そもそもどうやって調べるの?と戸惑いもありました。しかし、留学が進んでいくうちに、最初は大変でも必要なプロセスなのだと理解することができました。
——他にも何か気づき・学びはありましたか?
元井 今回私が関わったサービスの中で、公認心理師の先生が監修し、子どもの性格や行動意欲のきっかけを把握するためのツールがあって「5つの基本的欲求」を調べることができるんですね。私自身もこのツールを使って自分自身の基本的欲求を把握したのですが、この考え方を取り入れて自分の仕事観に照らし合わせたところ、新たな気づきもありました。
例えば、「愛・所属の欲求」「力の欲求」で言えば、私自身は「任される」「認めてもらう」ことが仕事のモチベーションになっており、自分自身の承認欲求が思っていたよりも大きかったことに気づきました。また、「生存の欲求」に関しては、「家族が生活するため」ということも働く理由の一つだということを再認識しました。「5つの基本的欲求」自体は誰でも持っているものなので、自己理解を深めて自分の仕事観を理解するのに非常に参考となりました。この考え方は親子間だけでなく、上司・部下の関係などビジネスにおいても幅広く使うことができるものだと思うので、多くの方に知ってもらいたいです。

発見ツールはこちら→https://minnaii.com/login

——社外に出ることで、所属企業に関するプラスの気づきはありましたか?
元井 当社の場合は一つの仕事を複数人で担当することも多いので、助け合う文化があり、お手伝いしましょうか?と声かけをすることもあります。特に現在私が所属している職場が子育て支援事業をしているからかもしれませんが、温かみがあって、受け入れる体制があるように感じます。他社留学を終えて職場に戻ってきたときも「おかえりなさい」と声をかけてもらえて、居心地が良い環境だなと感じました。
また、出向元である京王電鉄株式会社の関係者にも挨拶し、サービスの話をしたときには、興味をもって話を聞いてくださるとともに、会社を良くするためにどう活かせそうか、という話題が当たり前のように出てきました。同じ志を持っている点も素晴らしいと感じて、良い会社に所属していると感じることができました。

留学先との色々な違いに衝撃を受ける

——留学先の素晴らしいと感じた点について教えていただけますか?
元井 留学先はクリエイティブな事業をしているので、自由でチャレンジングな環境でした。クライアントへの提案を検討する際は、あらゆる方向から考えてみようというスタンスで取り組んでいました。また、オーダーされた事だけではなく、+αで提案する姿勢も素晴らしいと感じました。当社の場合は安全が第一ですので、慎重さを求められる環境です。もちろん、お客様に喜んでいただく事を目指して事業を展開していますが、どうしてもリスクの軽減や、関係者間の調整など組織の論理を考える癖があります。事業の質が大きく異なるので同じようにすることはできませんが、型にはまらず多角的な方向性から物事を考えたり、もっと面白いことをしたりしても良いのだなと刺激になりました。
——留学先はどのような特徴があると感じましたか?
元井 プロ集団で、一人一人が自立しており、個を大事にしているように感じました。また、会社の成長以上に、目の前のプロジェクトを成功させるにはどうするかにフォーカスしているようでした。自分のキャリアアップのために仕事をしている方、多様な仕事をしているうちの一つとして関わっている方などもいたので、仕事観も大きく異なっていたように思います。
当社とは大きく異なる環境でしたが、どちらが良い悪いということではなく、自分の価値観にフィットすることが大事なのだと思いました。また、お互いの違いを知ることも大事なのだと気づかされました。
——様々な違いの中で、特に印象的だったことについて教えていただけますか?
元井 「人」ですかね。人の属性といいますか、思考の方向性が違っていたように思います。当社は比較的価値観や思考の方向性が近い社員が集まっている組織だと感じていて、どこかで違う考えを持っているにしても、根本にあるものは同じであることが多いんですね。留学先は、出身もバックグランドも全然違う方が集まっていました。Web系の会社なので、アートやプログラミングなどを学んできた方が多くて、自分との共通点がない人も多くいらっしゃいました。
普段の生活ではなかなか出会うことができないような方々とご一緒させていただいたので、「なぜそのように考えるのだろう」と思うことも多かったですし、逆に「なぜそう思うのですか?」と質問されたり、考えたことがなかったような質問をされたりすることもあって衝撃を受けました。改めて振り返ってみると、私は価値観の近い人が集まる組織に所属していたのだと気づきました。

京王子育てネット(https://www.keiokosodate.net/

——ご自身とは大きく異なる方々とご一緒して驚かれたのですね。
元井 そうですね、本当にカルチャーショックと言いますか、良い意味でショックを受けて帰ってきました(笑)外国籍の方もいらっしゃいました。私自身は日本から出ようと思ったことはないので、なぜ日本に来ようと思ったのだろうと普段は考えないようなことを考えたりもしました。また、20代の方々と話をした時には、今の20代はこんなにも自分と考え方が違うんだとジェネレーションギャップを感じて、ビックリすることばかりでした。
——どのような考え方に驚かれたのですか?
元井 IT業界だからということもあると思うのですが、一社で働き続けることにこだわらず、キャリアを積んでいきたい、という考えにはハッとさせられました。また、プライベートを重視するワークライフバランスも、私のように比較的規模の大きい会社に長く勤め、プライベートの時間を取りながらも仕事を重視してきた考え方との違いに驚きました。
——初めて触れる価値観に驚かれたのですね。
元井 そうですね、20代が皆そのような考え方ではないと思うのですが、比較的規模の小さいIT企業に勤める20代ということで、特に私とは異なる価値観だったのかもしれません。会社の規模によっては20代でも私の価値観に近い方もいるのでしょうが。私も年次が上がっていくにつれて、若手社員と深い話をするのが難しくなっていると感じています。
また、数名の若手社員の方から「今の20代はやりたいことが見つからない世代」とも言われました。若いうちに色々なことを経験してやりたいこと、好きなことを探さないといけない、と焦りを感じているようでした。私が20代の頃は、やりたいことを探さないといけないとは思っていませんでした。まずは良い大学に入って、良い会社に入って、というのがスタンダードな環境にいたこともあり、時代の変化と共に価値観が変化していて、キャリアの多様化が進んでいるのだと感じました。本当に色々勉強になりました。

留学後の変化と今後に向けての想い

——留学後、何か変化はありましたか?
元井 現在の職場ではマネージャー職ですが、留学先では一プレイヤーとして業務に携わっていたので、どうマネジメントされたら部下が働きやすくなるのかを見直す機会になりました。部下が働きやすいようにするための知見を得ることができたので、それを活かして現在マネジメント業務にあたっています。留学先のマネージャーは、私が提案したことに対して良いねと言ってくださり、自分で考えて動いていくと面白いと認めてくださって、常に肯定してくれていました。何かあったら最後は助けてくれる安心感もあり、ありがたいと思いました。こういった点を参考にして、現在は部下のマネジメントをしています。
また、今回の留学目的として今後のキャリアについて考える機会にしたいと思っていたのですが、他社での働き方を見て、改めて私には当社の働き方がマッチしているし、心地いいなと感じているので、新たな気持ちで仕事に取り組むことができています。元々私は好奇心旺盛で一つのことをやり続けることは向かないので、ジョブローテーションがある当社の環境は合っているようです。この気持ちを大切にしながら、今後も頑張っていくつもりです。
それから、私が3ヶ月間不在だった間に、職場のメンバーにも変化がありました。これまでよく私に質問をしていたメンバーたちも、自分たちで考えて動く必要がある環境になったことで、より自立的になってくれていました。職場に戻ってそんな姿を見ることができ、嬉しかったですね。
――今後に向けて考えていることはありますか?
元井 今回ファンコミュニティの立上げに関わらせていただいたので、それを活かし現在の職場でもファンを増やしていけるよう活動していきたいと思っています。積極的にPRを進めるということも大切ですが、活動の内容を地道に伝えることで共感してくれる人を増やし、自然発生的に口コミが広がるようになればいいと思っています。
今回の留学を通して多様な選択肢を知ることで、おおらかになった気がします。元の職場に戻ってきて、これまでなぜそんなことに拘っていたんだろう、と思うことも増えました。マネージャーの立場から、少しずつほぐしていけるといいなと思っています。留学から戻って時間が経つとまた留学前の自分に戻ってしまうと思うので、留学先の方との関係性はこれからも継続して刺激をもらいながら、留学で学んだことを自社に還元してより良い組織づくりに貢献していくつもりです。
<留学先からのコメント> ~株式会社カニカピラ代表 姉川様より~
最後まで周囲と積極的かつホスピタリティ高くコミュニケーションを取っていただきました。スケジュールなども自ら調整されたり、課題を抜き出されたりと、新しく慣れない環境であっても基本行動をしっかり取って、若手メンバーを引っ張っていただきました。業務的な観点でも多大なる戦力となっていただき、一番大変な立ち上げフェーズを力強く推進頂いたことで具体的にプロジェクトが前進し、感謝の念に堪えません。インスタのミッションも当初目標の1.5倍で着地されるなど定量的な成果も残していただきました。
そして、業務上の戦力ということだけではなく、元井さんの業務に向かう姿勢、マインド、スタンスといった面が若いメンバーたちに大いなる学びになっていました。留学当初は環境の変化に戸惑われるところもあったようですが、それも1週間程度でキャッチアップされるなど、その変化対応力の高さ、柔軟性の高さに驚かされました。また、業務スタイルとしても、自主的に弊社のコミュニケーションスタイルを取り入れ、双方向に意見を取り入れながら、「生煮えでも場に出しながら細かいサイクルで修正していく」というスタイルに変化されていたところにも対応力の高さを感じました。こうした自主的な行動修正サイクルの速さにも、とにかく安心してお任せできる方でした。3ヶ月間多くの刺激と成果を本当にありがとうございました。
会社名 京王電鉄株式会社
業種  鉄道事業、土地・建物の賃貸業・販売業など
URL https://www.keio.co.jp/