事例紹介

株式会社テレビ朝日×株式会社CREAVEの導入事例

「大企業にいるからこその甘さに気づき、多角的な視点を得ることができた」(職種:総合編成 留学頻度:週5日、留学時:新卒入社6年目)
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目的
これまで培ったスキルや能力が他業種・他社で通用するか試したい。また、社外に出ることで客観的にテレビ業界を理解したい
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背景
異なる業界での経験を通じて多様な価値観や発想、知見、人脈を得るなど、これまでにない形でリーダー人材を育成する必要があった
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効果
・会社へのロイヤリティが高まり、自分の強みや成長課題が明確化し、大企業で守られているからこその甘さに気づくことができた
・業界や所属組織、他者をより多角的な視点で見ることができるようになった
他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」にインタビュー。留学前、留学中、留学後の想いについて、体験談を語っていただきます。
今回お話を伺ったのは、株式会社テレビ朝日。他社留学を経験したのは、総合編成部の大塚さんです。留学先は、株式会社CREAVE(クリーブ)。クリエイターとの共創を通じて、人々の心に温かな繋がりを創り出し、企業の複雑化するマーケティング課題の解決に取り組む企業です。留学中は、新会社設立に伴うHP移行やクライアントワークスのプロジェクトなどに携わりました。
所属 株式会社テレビ朝日
留学先 株式会社CREAVE(株式会社ガイアックス子会社)
他社留学期間 週5日/6ヶ月間(2024年1月~2024年6月)
留学した人 総合編成部 大塚 脩平さん(留学時:新卒入社6年目)

留学前の想い

——まず初めに、他社留学に参加した背景をお聞かせください。
大塚さん(以下、大塚) 社内で他社留学の公募があり、参加することが決まりました。私は新卒入社で、他社を経験したことがないので、今回の制度を利用して他社を経験してみたいという想いがありました。留学前は、楽しみな気持ちが強かったです。どんな企業に留学できるのか、テレビ業界で培ったスキルが他の業界で通用するのか、という不安も少しありました。
——他社留学にはどんなことを期待して参加しましたか?
大塚 これまで培ってきた能力や経験が、他の業種や他社では、どのように生かされるのか、もしくは通じないのか、腕試しをしたいと考えていました。また、外からテレビ業界や所属企業を見て気づきを得ることで、視野を広げたいと考えていました。
——大塚さんは、所属企業で普段どんなお仕事をされているのですか?
大塚 総合編成部に所属しており、番組表や番組内容を決める部署にいます。社内の調整業務や資料作成など、デスクワークを中心に行っています。以前は、情報番組の担当として、現場での取材や企画を行い、番組制作に関わっていた経験もあります。

貴重な経験をした半年間

——他社留学に参加して、いかがでしたか?
大塚 留学先の体制変更など色々と変化の激しい時期に留学させていただいたので、大変貴重な経験ができたと感じています。今回初めて社外を経験して、非常に大きく影響を受けました。社外を知ることで、視野が広がったように感じますし、自己本位だったことにも気付かされました。また、今回はフルタイムでの留学だったので、半年ぶりに所属企業に復帰して、会社に対するロイヤリティが高まったことにも気づきました。
——大塚さんはどのような企業に留学したのですか?
大塚 今回私が留学したのは、株式会社ガイアックスの100%子会社である株式会社CREAVE(クリーブ)です。SNSコンサルティング事業やクリエイターマーケティング事業を行う企業です。今年の1月から株式会社ガイアックスのSNSクリエイティブ支援事業を行う部署に留学したのですが、2月に株式会社ガイアックスの完全子会社であるスナップマート株式会社と統合され、「株式会社CREAVE」になりました。私がSNSに関わるスキルを身につけたいということで、希望しました。スキル面で見たらあまり互換性がない企業でしたが、ありがたいことに受け入れていただきました。

株式会社CREAVE(クリーブ):https://creave.co.jp/

——留学中は具体的にどのようなことをしたのでしょうか?
大塚 半年間ほど留学させていただき、大きくはセールスマーケティングのチームとSNS運用チームで主に活動させていただきました。セールスマーケティングチームでは、半年間で約50本の記事を作成しました。これだけの記事を仕上げたことに対して感謝の言葉をいただき、私自身も嬉しくなりました。
SNS運用チームではプロジェクトマージャー業務を中心に取り組ませていただきました。クライアントの期限に対して、デザイナー達に作品を作っていただき間に合わせるというのが自分の役割でした。その過程で、納品物のクオリティーチェックをさせていただき、「テレビ」と「SNS」での観点の違いに気づくことができ、刺激的な業務となりました。その他にも単発で様々な業務に取り組ませていただくことで、所属会社で得られない知見を得ることができました。

留学を通して気づいた自分の甘さ

——留学を通して、ご自身のどのようなスキルや能力に気づきましたか?
大塚 まず、初対面の方とのコミュニケーションでも問題なく対応できると感じました。また、失敗やミスからの軌道修正力もあると感じました。さらに、物事を前向きに捉える能力も高いと感じました。留学中に「もっとプラスαがあることを期待していた」とネガティブに捉えることができることを言われたこともありましたが、落ち込むのではなく、前向きに受け止めて行動しました。
——留学中、新たに獲得したスキルなどはありましたか?
大塚 タスク管理能力です。以前は、報道の部署にいたこともあり、現場に出ることが多く、これまでタスク管理の文化がありませんでした。タスク管理というと、新卒一年目の社員が覚えるような基本的なことかもしれませんが、今回の他社留学で必要になったことで新たに獲得できました。
——ご自身の課題だと気づいたことはありましたか?
大塚 今回の他社留学はフルリモートで行われ、オンラインでのテキストコミュニケーションが中心でした。話すことは得意ですが、ビジネス文章を書くことが得意ではないことに気づきました。また、興味の薄い領域に関して、モチベーションの上げ方やエンジンのかかり方が遅いと感じました。以前、番組制作に関わっていたときは、取材をした内容が翌日に放送されるので、わかりやすいアウトプットがありました。今回の他社留学でも様々な業務を経験させていただく中で、そういったわかりやすい明確なリターンを期待していた自分に気づき、それが自分の甘さであると感じました。
——自分の甘さというのは、どういうことでしょうか?
大塚 今の部署は、ノーミスで資料を作ることが求められる、守りの仕事です。わかりやすいアウトプットが出るような仕事ではないので、モチベーション高く取り組むことができる仕事ではないと勝手に決めつけ、自発的な部分が欠けていたように思います。今回の留学を経験したことで、それは大企業で守られているからこその、甘い期待や考え方だったのだと気づかされました。そのため、今後はどんな仕事に対しても精一杯取り組み、自ら積極的に仕事を取りに行こうと考えを改めることができました。
(留学先とのリモート会議にて)
——留学中、もっとこうすればよかった、という心残りは何かありますか?
大塚 私は“7割”を目標に作業・仕事をしてしまう癖があります。常に全力疾走だと疲弊してしまうので、適度に力を抜くことは社会人として大事なスキルだと考え、これまでは重要なポイントを押さえておけば大丈夫だと思っていました。しかし、それは得意な領域や慣れ親しんだ仕事だからこその考えであり、留学を通して通用しない世界があることを痛感しました。このネガティブな感情も含めて、色々なことをリアルに体感することができたので、すべてが良い経験になりました。
また、今回の他社留学では、自分が学ばせてもらうという受け身の姿勢が強かったことを後悔しています。終わった今となっては、もっと貢献できることがあったのではないかと感じています。それから、他の留学生と留学後にご一緒する機会があったのですが、皆さん留学中に学んだことや気づいたことを資料としてしっかりと纏めて、質の高いプレゼン資料を作成されていました。私も留学先や所属企業での成果報告会に向けて、留学中からもっと念入りに資料を準備すべきだったと感じました。

組織の違いから気づいたこと

——他社留学を通して、自社の優れた点はどんなところだと感じましたか?
大塚 まず、フォローアップ体制がしっかりしていると感じました。社内のルールが整備されており、引き継ぎをするにしても資料がしっかりと作成されていることに気がつきました。また、社員の情報処理能力や環境適応性が平均的に高いことがわかりました。これまで当社はスペシャリストが多いと思っていましたが、ジェネラリストが多く、その上で専門性を高めている人が多いのだなと感じました。
——留学先の仕組みや文化等で、何か取り入れたいと思ったことはありましたか?
大塚 留学先では、Slackに「ハッピーコメント」という“褒め合う”部屋がありました。社員の「グッド」なところを共有する文化を、ぜひ取り入れたいと思いました。褒めるためには、お互いをしっかりと見る必要があります。まずは自部署でトライアルして、社内に広めていきたいと思っています。また、留学先の皆さんは所属組織への誇りを持っていました。謙遜することなく、素直に「本当に私たちの組織、最高だよね」と話されていました。会社への誇り、プライドを形だけではなく、心から思うことも大切だと感じました。
——今回はフルリモートだったと聞きましたが、いかがでしたか?
大塚 元々私はオフラインの方が仕事しやすいと感じていましたが、フルリモートを経験したことで、リモートワークのメリットを実感することができました。今回海外に住んでいる方と一緒に業務を進めました。色々な事情で海外に行くことになっても、リモートワークで仕事が続けられるのは会社にとっても、メリットがあることだと感じました。当社はハイブリッドでの働き方を採用していますが、まだリモートワークに対して消極的な意見もあります。放送事業を行っているため、フルリモートは難しいですが、メリット・デメリットを全員で共有することで、皆にとって最適な働き方を選べるようになるとより良いと思います。
また、リモートワークで仕事をするのであれば、業務量とスケジュールの可視化が必要だと感じました。留学先では、フルリモートでも円滑なコミュニケーションを実現させるために、それらの可視化が進んでいました。当社ではあまり進んでいない部分なので、現場と非現場のミスコミュニケーションや工数削減のためにも、可視化を進めていきたいです。

留学後の変化

——留学後、変化のあったこと、取り入れたことはありますか?
大塚 他社を知ったことで大きな変化がありました。留学前はネガティブな見方をしていたことが、なぜそうなっているのか意味がわかり、多角的な視点で物事を見ることができるようになっていることに気づきました。また、他者をより深く理解できるようになっている自分にも気づきました。
仕事の仕方に関しても変化がありました。タスク管理を行う習慣を取り入れました。また、留学前は、上司とすり合わせを行わずに、自分なりにゴールを決めて、自分の基準で取捨選択をし、力を入れるところと入れないところを決めて進めていました。しかし、留学を通して、上司とすり合わせをしてゴールを設定し、それに向けて行動することの重要性を学びました。戻ってから業務を進める中で、この感覚が全く変わっていることに気づきました。
——色々変化を感じているようですね。
大塚 そうですね、変化を感じたり、新しく取り入れたりすることができたこともあった一方で、難しいと感じることもありました。留学後、スケジュールの可視化をすぐに部署で進めたいと考えていましたが、テレビ業界の特性上、イレギュラーな対応が多いため、なかなかすぐに進められない状況でした。会社ごとに適したやり方があるということを改めて感じています。
また、褒める文化についても部内で報告をして賛同してもらいましたが、まだ浸透するというところまでは至っておりません。自分に近い範囲で影響を与えることは短期間でも可能ですが、より大きな組織の制度や文化を変えるには、自分のリーダーシップを向上させることに加え、長期的な視点を持って、周りを巻き込みながら取り組む必要があることを感じています。
——社外に出て、テレビ業界に対する見方に変化はありましたか?
大塚 再びテレビ業界に戻ってきたことで、テレビ業界の特殊性と、他業界でも通じる部分・通じない部分の両方が以前より明確に見えるようになりました。テレビ業界の仕事は大変面白く魅力的なので、業界のことだけを考えていたい気持ちになりますが、常に客観的に社会や業界全体、自分自身のキャリアとも向き合っていく必要があると感じました。
——キャリア観にも変化はありましたか?
大塚 今回の留学を通して、自分の市場価値を知ることができたのは良い経験だったと思います。今後は、5年後、10年後の自分をイメージし、常に市場価値を高めることを意識してキャリアを積んでいくことが重要だと思うようになりました。伴走者から、後半の人生でアウトプットを続けるためには、20代、30代でのインプットが重要になると教わりました。目の前の仕事に取り組み、仕事に関わるインプットを続けることだけでもキャリアを築くことはできますが、他の分野でも学び、新しい知識やスキルを身につけることも重要です。他社留学もそうですが、外に出て様々な人と交流して学びを得ることは、多くの刺激をもたらします。それが仕事に還元され、仕事の質も向上させます。新しい分野にチャレンジして、違ったと思うこともあるかもしれませんが、やり直せばいいだけなので、失敗を恐れずに色々なことにチャレンジして、なりたい自分に近づく努力を続けていきたいです。
——もし、再度留学できるとしたら、どんな留学先を選びますか?
大塚 経営層に近い距離でプロジェクトに参加したいです。経営層と接することで、より視座を高めることができると思います。今回とは異なる葛藤に向き合うことになると思いますが、それもまた面白そうでいいと思います。
<留学先からのコメント> ~株式会社CREAVE 澤田様より~
常に意欲高く取り組んでいただき、仕事に取り組む姿勢が素晴らしいと感じました。物事を前に進める力もあり、周りを巻き込みながら業務を進めてくださいました。また、お人柄も素晴らしく、半年間もご一緒したので最終日にはメンバーも寂しそうでした。
当社に対しては、大塚さんならではの知識やスキルをご提供いただきましたし、大塚さんにとっても所属組織へ持ち帰るものが色々できたとお話いただきました。半年間貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
会社名 株式会社テレビ朝日
業種  放送法による基幹放送事業および一般放送事業
URL https://company.tv-asahi.co.jp/