事例紹介

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社×ガレージバンク株式会社の導入事例

「自分らしさを再認識し、挑戦の一歩を踏み出した3か月」(職種:CX推進、留学頻度:週1日、留学時:新卒入社7年目)
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目的
他業界のCX・DXの取り組みやCX向上の重要性を伝えるスキル、課題発見力、企画提案力の向上を目指す
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背景
異なる業界や企業を経験できる機会を作り、リーダー人材を育成する必要性があった
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効果
・他業界のCX・DXの取り組みを学び、留学先で実際に課題を発見し、改善提案を行う経験ができた
・自分の強みが明確になり自己肯定感が高まるとともに、市場価値を客観的に見つめ直すことができた
他社留学を終えた「卒業生」にインタビュー。留学前、留学中、留学後の想い、そして留学後に何が変わったかについて、体験談を語っていただきます。
今回お話を伺ったのは、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社。他社留学を経験したのは、CX推進部の金兒さんです。留学先は、モノ資産の管理・活用アプリ「cashari(カシャリ)」を開発・運営するスタートアップ企業、ガレージバンク株式会社です。留学中は、自社での業務経験から顧客視点でアプリやHPのUI/UXの改善に携わりました。
所属 SMBCコンシューマーファイナンス株式会社
留学先 ガレージバンク株式会社
他社留学期間 週1日~2日/3ヶ月間(2025年1月~2025年3月)
留学した人 CX推進部 金兒 沙織さん(留学時:新卒入社7年目)
送り出した人 CX推進部 グループ長 若林 弘輔さん

自分の価値を見つめ直すために

——初めに、他社留学に参加した背景をお聞かせください。
金兒さん(以下、金兒) 会社からの指名を受けて参加することが決まりました。上司からは、「ベンチャー企業はスピード感が異なり、最先端の取り組みを学べる良い機会だから、ぜひチャレンジしてほしい」と背中を押していただきました。私自身も、同じ部署に3年ほど在籍する中で、次のステップとして新たな環境で自分の力を試してみたいという思いが強くなっていました。また、自分の価値を見つめ直したいという気持ちが以前からあり、異なる環境に身を置いてみたいという思いが強くなったため、参加する決断をしました。

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 https://www.smbc-cf.com/

——留学先はどのような企業だったのでしょうか?
金兒 今回ガレージバンク株式会社様に留学させていただきました。同社は、2020年に設立された、モノ資産の管理・活用アプリ「cashari(カシャリ)」を開発・運営するスタートアップ企業です。「モノの価値を、みんなの"できる"に。」を企業ミッションに掲げ、個人が所有するモノの価値を簡単に確認し、必要に応じて資金化できる仕組みを提供しています。「cashari」は、スマートフォンで写真を撮るだけでモノの価値を短時間で確認でき、必要に応じて資金化できるサービスです。

ガレージバンク株式会社  https://www.garagebank.co.jp

——留学中は具体的にどのようなことをしたのでしょうか?
金兒 主にアプリやHPのUI/UXの改善に携わりました。具体的には、お客さまから寄せられるお問合せ内容を分析し頻出する項目を一覧化しました。その上で、自身も一利用者としてアプリを使用しながら気付いた点なども加味し、改善案を検討・提案させていただきました。提案内容は、システム開発担当の方に協力いただきリリースまで実現しました。その他にも、問合せ内容の分析結果を基に、Q&Aページの情報の充実化を企図した改善提案を行うなどCX向上に取り組みました。

留学中の気持ちの変化

——留学前や留学初期はどのようなお気持ちでしたか?
金兒 始まる前はとにかく緊張していて、「自分に何ができるのだろうか」と不安でいっぱいでした。実際に始まって最初の1、2回は、留学先の皆さまのこれまでの経験や持っている知識、話し方などに圧倒されました。率直に「すごいな」と感じて、まずはそのレベルの高さに驚かされた、というのが初めの印象でした。
——留学回数を重ねる中で、気持ちの変化はありましたか?
金兒 「自分に何ができるのだろう」という不安はしばらく続きました。しかし、留学先の方と、比較的早い段階でスケジュールを立てて、「何か一つ改善提案をする」という明確なゴールを設定しました。留学開始後1ヶ月経たないうちに、一度改善提案を行ったのですが、その際に「顧客志向の視点が素晴らしい」と高い評価をいただくことができました。また、「これは気づかなかった」「金兒さんならではの視点だね」と言っていただけたことで、自分でも顧客志向が強みかもしれない、と思えるようになりました。それが大きな転機だったと思います。
——その後はどのように進んでいったのでしょうか?
金兒 少しずつ自信がついてきた頃、新たな業務にも関わることになり、毎回いただく前向きなフィードバックが大きな励みになりました。「自分だからこそできることで貢献したい」という想いが強まり、それが高いモチベーションの源になっていたと感じています。後半には、“プラスアルファで何かを返したい”という意識も芽生えました。留学先の皆さまからいただいた温かい言葉や感謝の気持ちは、自分にとって大きな支えであり、「もっと皆さまのために力になりたい」という想いを持ち続ける原動力にもなりました。この経験を通じて、自信を持って留学期間をやり遂げ、自己肯定感も大きく高めることができました。
(写真:金兒さん)

さまざまな経験を積んだ3か月

——留学中、特に印象に残っている場面や瞬間があれば教えてください。
金兒 一番印象に残っているのは、開発部に初めて改善提案をしたときのことです。提案後、最初にかけられた言葉が「素晴らしい!」という反応で、ホッとしたのを覚えています。社長が真っ先に「素晴らしい」と言ってくださったこと。その一言をきっかけに、周囲の皆さまからも前向きな言葉が次々に飛び交いました。その瞬間、「やってよかったな」と率直に思えた出来事でした。今回はリモートでの提案だったため、現場の空気感までは直接感じることはできませんでしたが、それでも言葉だけで十分に嬉しく、今でも強く印象に残っている瞬間です。
——留学中、苦しい・しんどいと感じた瞬間はありましたか?
金兒 苦しいとは少し違いますが、初日はとても緊張しました。いろいろと話を聞いてくださる場面もあり、「同じ金融業界同士として、金兒さんはどう思いますか?」と質問していただいたのですが、自分の回答があまり的を射ていないように感じて、「大丈夫かな…」と不安になったのをよく覚えています。さらにその後、別の方がご意見をお話しされたときに、その話し方やロジックの組み立て方がとても洗練されていて、「すごいな…」と、圧倒されてしまいました。初日は本当に、不安と心配、そして圧倒される感覚が一気に押し寄せてきたような時間でした。
——始まってからは、それほど大きな壁にぶつかったり、悩んだりするようなことはありませんでしたか?
金兒 そうですね。一人で悶々と悩む時間はもったいないと思っていたので、とにかく前に進めることを意識して、「これで合っていますか?」と積極的に確認しながら進めました。できる限り自分で考えたうえで、きちんと質問することを心がけていましたが、時間も限られているため、その点は割り切って取り組みました。「壁打ちをしながら進める」というスタンスで、効率的に進めることができたと思います。
——留学中、何か挑戦したことはありましたか?
金兒 最初は少し遠慮していた部分があったのですが、伴走者のアドバイスもあり、中盤から後半にかけては、思い切って行動に移すようにしました。知らない環境に飛び込んだこともあり、これまではどうしても遠慮が先に立ってしまうことが多かったのですが、今回は自分にとってチャレンジする機会だと捉え、積極的に動きました。実際には、自分が思っているほど周囲は図々しいとは感じていないのだと実感できたことは、私の人生においても大きな収穫でした。環境が変われば、また似たような場面に出会うことがあるので、今回チャレンジしてみて良かったです。
(写真:金兒さん)
——伴走者からの助言が、前向きに行動するための大きな励みになったのですね。
金兒 伴走者の方から「過度な遠慮はいらないんですよ」という言葉をいただいたことがありました。私は新しい環境に入ると、つい遠慮がちになってしまう“悪い癖”のようなものがあり、それが少し顔を出し始めていると自分でも感じていた時期でした。でも、伴走者と話した瞬間や、「意外と人って、良い意味でそこまで細かく見ていないんですよ」という言葉を思い出すと、不思議と気持ちが楽になりました。そうやって少しずつ肩の力を抜いて、自分らしくいられるようになったのだと思います。また、留学後すぐに異動がありましたが、他社留学というまったく異なる環境に身を置けたことで、異動に向けた良いシミュレーションができ、今となっては大変貴重な経験だったと改めて実感しています。

他社留学を通しての気づき・学び

——今回の経験を通じて気づいた自分の強みや、社外でも通用すると感じたことがあれば教えてください。
金兒 「顧客志向の考え方」です。留学先に対して行った改善提案に対し、皆さまから良いフィードバックをいただけたのは、顧客志向の視点に立った具体的な提案ができたからだと思います。今回の経験を通じて、自分の顧客志向が他社でも通用する強みであると改めて認識できたことは、大きな収穫でした。
——今回の留学で自分の価値を見つめ直したい、と最初に話されていましたね。
金兒 そうですね、異なる環境の中で自分なりに貢献できたことは、自分の価値を実感する良い経験になったと感じています。自分の市場価値を少し離れた視点から客観的に見つめられた、貴重な時間だったと思います。ただ、今でも自分の強みである顧客志向は定性的な要素について説得力を持って伝えることの難しさを感じてモヤモヤすることがあります。それでも、留学先の皆さまからいただいた言葉が、今の自分を支える糧になっています。
——留学先企業の良いと感じた環境や文化はどのようなものでしたか?
金兒 皆さまが前向きな言葉を積極的に使っていらっしゃる様子から、会社全体に前向きな雰囲気があると感じました。会議の場でも、まず「いいね」「やってみよう」といったポジティブな言葉が最初に出てきます。その後で、「実際にやるなら、もう少し考えたほうがいいね」といった建設的な意見が続くため、何かを提案する際にもとても良い雰囲気があり、発言しやすい環境だと感じました。
また、経営者の姿を間近で見る機会もありました。こうした経験はベンチャーならではのもので、私がこれまであまり触れてこなかった世界だと感じ、大きな違いを実感しました。連日さまざまな方とお会いし、時には難しい局面に直面しながらも、常に真摯な姿勢で取り組まれており、その様子を同じフロアで間近に拝見することができました。だからこそ、社員一人ひとりが「私たちも頑張ろう」と自然に感じ、互いに協力し合い、肩を組むような一体感が生まれていました。それがとても素敵でした。

モノ資産の管理・活用アプリ「cashari(カシャリ)」 https://cashari.jp

——今回の留学のタイミングもそうですし、留学先の皆さんのポジティブな雰囲気もあって、金兒さんにとって素晴らしい経験になったようですね。
金兒 はい。他社留学は誰もが経験できることではありませんし、今回は会社から指名を受けて、巡り合わせもあってガレージバンク様に留学することができました。本当に運が良かったと言えばその通りですが、ガレージバンク様が大変気を遣ってくださったことも大きかったと思います。社内外の関わってくださったすべての方に感謝しています。

他社留学後の変化

——留学後、変化はありましたか?
金兒 自分の中で変わったことは、新しい環境に身を置いたときの心の持ち方だと感じています。留学後に新たな部署へ異動しましたが、以前は「大丈夫かな?」といった不安が先立っていました。しかし今回の異動では、不安を感じながらも「これは自分のいつもの反応だ」と達観して捉えられるようになっていました。不安を感じるのは当然としても、そこからどう動くかを前向きに切り替えられるようになったことが、これまでとの大きな違いだと感じています。
当社ではメンター制度があり、先輩社員と一対一で対話をしながらキャリアについて考える機会が設けられています。そのメンターとの面談記録を見返してみると、留学前は「自分に何ができるのか不安です」といった発言が多かった私が、留学を経て「こういうことができました」「苦手と思っていた企画業務もチャレンジしてみたい」といった前向きな言葉を口にするようになっていることに気づき、自分自身の変化を客観的にも実感することができています。
また、何かあった際に、まずポジティブな言葉を第一声にすることや、意見を伝えるときに前向きな表現を意識するようになったのも、この数ヶ月での大きな変化です。これは、自分の中で「できるようになったこと」の一つであり、より良いチームづくりや人間関係の構築にもつながっていると感じています。
——留学終了後に、他の企業の留学生と一緒に事後研修にご参加いただいたと思いますが、いかがでしたか?
金兒 短時間の「ミニ他社留学」をさせていただいたような感覚がありました。自分を外部の環境に置いたり、社外の方とお話ししたりすることが他社留学の大きな目的だと思いますが、事後研修でも全く異なる異業種、異職種の皆さんと研修に参加させていただいたので、貴重な経験ができました。皆さんの考え方が非常にスマートで、「なるほど」と気づかされることが多かったです。改めて、社外の方とお話しすることは毎回とても意義深く、大きな気づきを得られるものだと実感できたので、参加できて良かったです。
——今後のキャリアについてどのようにお考えですか?
金兒 先輩や上司の方々が一貫して「どこに行っても通用する人材を育てたい」という想いを持って接してくださっていることを感じており、私自身もその期待に応えるべく、どの環境でも活躍できる人材を目指したいと思っています。そのために、「どこに行っても素直に挑戦することと、「自分が感じたことや考えたことをきちんと伝えること」をキャリアの軸に据えています。
<留学先企業からのコメント> ~ガレージバンク株式会社 中尾様より~
限られた時間の中で、アプリ改善や照会内容の分析、QAの改善提案など、多くの取り組みを行っていただき感謝しています。「顧客志向」「顧客視点」に基づいた改善提案は非常に優れており、ユーザーの多様な立場に立った分析と提案は、学びにもなり、実際の業務にも大きく貢献していただきました。また、現職での取り組みも共有いただき、会社にとって有益な知見を多く残していただきました。
謙虚さは金兒さんの持ち味の一つなので、これからも大切にしてほしいと思います。一方で、今回の留学で学んだ「伝えるべきことはしっかり伝える姿勢」を新しい環境でも活かして、自信を持って進んでください。また、多方面で頼りにされている方だからこそ、必要に応じて依頼を断る判断や勇気も大切だと思います。これからも「顧客視点」を武器に、臆せずチャレンジを続けてください。3か月間本当にありがとうございました。
会社名 SMBCコンシューマーファイナンス株式会社
業種  貸金業・保証業
URL https://www.smbc-cf.com/