事例紹介

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社×ナオライ株式会社の導入事例

「新たな仕事の進め方を習得することで、自身の幅が広がった」(職種:広報 留学頻度:週2日、留学時:新卒入社9年目)
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目的
異業種の仕組み・ノウハウの獲得、スピード感のある仕事の進め方および社外と比較した自身のスキルレベルの把握
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背景
異なる業界や企業を経験できる機会を作り、リーダー人材を育成する必要があった
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効果
自身のスキル・所属企業について客観的に知ることができた/新たな仕事の進め方を習得し、選択肢を増やすことができた
他社留学を終えた「卒業生」にインタビュー。留学前、留学中、留学後の想い、そして留学後に何が変わったかについて、体験談を語っていただきます。
今回お話を伺ったのは、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社。他社留学を経験したのは、広報サステナビリティ推進部の久須美さんです。留学先はナオライ株式会社。各地の酒蔵が有機米を原料として醸した日本酒を独自の技術で低温浄溜し、日本酒を原料とした新たなお酒である「浄酎」の製造・販売を行う広島県のベンチャー企業です。留学中は、マーケティング活動の企画・実行プロジェクトに参画しました。
所属 SMBCコンシューマーファイナンス株式会社
留学先 ナオライ株式会社
他社留学期間 週2日/3ヶ月間(2022年10月~2022年12月)
留学した人 広報サステナビリティ推進部 久須美 千夏さん(留学時:新卒入社9年目)

初めての社外経験が始まった

――まず初めに、他社留学に参加した背景をお聞かせください。
久須美さん(以下、久須美) 今回、会社からの指名を受けて参加することが決まりました。最初は「なぜ私が選ばれたのだろう?」と思いました。そもそもこのような制度が社内にあること自体知らなかったんです。ただ、他社を知ることができる機会をいただけるなら是非お願いしたいと思ったので、チャレンジすることにしました。留学前は社内でのプレッシャーは感じていませんでしたが、留学先でバリューを発揮できるのだろうか、というプレッシャーはありました。
――他社留学にはどんなことを期待して参加しましたか?
久須美 私は新卒からずっと同じ会社におりますが、大学時代の友人は転職経験がある人も多いので圧倒的に知識の差があるだろうと思っていました。そのため、今回他社の業務を経験することで、他社の仕事内容や仕事の仕方、文化、風土等全般的に知りたいと考えていました。また、ベンチャー企業の意思決定までのスピード感も体感したいと思っていました。
(写真:久須美さん)
――久須美さんにとってどんな3ヶ月間になりましたか?
久須美 新しい環境で新しいことを学んだ3ヶ月でした。本当に新しい感覚で…社会人として色々なことを学びました。また、大手企業に勤めるのとは全く違うんだなと感じました。自社しか知らない自分にとっては、ベンチャー企業の環境や仕事の捉え方、進め方は、これまでの経験にないものであり、刺激的でした。現業をやりながら、他の会社のプロジェクトにも参画するという普通の社会人では経験できないことを経験することができた貴重な時間でした。
――3ヶ月間の他社留学の満足度に点数を付けるとしたらどうですか?
久須美 そうですね、10点満点だとしたら、7,8点くらいでしょうか。これまで経験していないことを色々経験できたという点は非常に満足しています。また、初めて社外で業務をすることで他の環境でも自分がどれくらい動けるのかがわかり自信に繋がりました。ただ、満点ではないのは自分で少し線を引いてしまったところがあるので、もっと何かできることがあったのではないかとも思います。

迷いの1ヶ月から成果が出るまで

――今回は、ナオライのマーケティング活動の企画・実行に携わったと聞いていますが、具体的にどのようなことをしたのでしょうか?
久須美 今回の他社留学は、週1,2回、フルリモートで参加させていただきました。広報として主にSNSを使った商品サービスのPR、IR資料の作成を担当しました。中でも印象深く残っている仕事は「クラウドファンディング」と「IR資料作成」です。
クラウドファンディングはクラウドファンディングサービス「Makuake」内でナオライの新商品「桜樽の浄酎」を販売しました。多くの方に支援していただけるように、SNSでの呼びかけはもちろんですが、今回人生で初めてYouTubeを使った生配信のPRを実施し、本業では経験したことがないことを体験することができました。
IR資料の作成では、経営方針や将来性に係る情報等の他、ナオライの事業すべてがサステナビリティに繋がる素晴らしい取り組みであることをまとめた資料を作成し、今後の営業等の際に使ってもらえる資料を作成しました。

 ナオライ オンラインショップ https://naorai.myshopify.com/

――3ヶ月間、順調に進めることができたのですか?
久須美 最初の1ヶ月は私が本業でやってきたことがあまり役に立っていない感じがして、自分に何ができるかわからず後ろ向きになっていました。しかし、社長と話をしたときに、私が今までやってきたことを理解していただいた上で「本業でやっていることを活かしてこういうモノを作ってほしい」「当社にはこういうところが足りていない」と言っていただきました。
それがきっかけで自分がエネルギーを注ぐもの、貢献する領域が明確になりました。元々目的が明確であれば達成するために動いていくのは得意な方なので、必要なことを実行してアウトプットすることで留学先に貢献することができました。最終的には留学先の皆さんや外部の関係者の方からもお褒めの言葉をいただき、留学後も使っていただけるものを作ることができました。
一方で、求められているものはここまでだろうと察して、自分で線を引いてそのレベルで納めてしまったような気もします。振り返ってみると、もう少し貪欲に動けたのではないかと思う部分もあります。
――自分で線を引いてしまったのはなぜでしょう?
久須美 最後まで「他社の人」という感覚が抜けなかったんです。また、ありがた迷惑になってしまったら嫌なので、ここまで作っておけばあとは用途によって上書き・修正してもらった方が留学先にとってはいいのでは、と考えていたからだと思います。私はずっと留学先にいることはできないですし、会社のことを根底まで知らないというのもあるので、自分から線を引いてしまったのではないかと。
大手企業でかつコーポレート部門にいると「+α」をやることが出過ぎたことになってしまうこともあります。これまでは周囲の期待を理解した上で責任感と使命感を持って自分の枠の中で堅実に仕事をすることを優先していました。それが今回の留学でも出たのだと思います。しかし、今後コーポレート部門で新しい取り組みを始めたり、ビジネス部門に異動したりすればリミッターを外して仕事をすることが必要になるかもしれないので、状況に応じて線を引かずに動けるようにしていきたいです。
(YouTubeでの生配信PRの様子)
――もう少し時間があったら、やりたいことはありましたか?
久須美 私はお酒が好きなので今回の留学先としてお酒の会社に決めました。もっと長期間ご一緒させていただけるのであれば、東京で貸店舗を使って関係者を呼んだイベントがやりたかったです。広島本社の会社なので、もっと東京のお客様にも広げていけるといいなと思っていました。3ヶ月だと時間が足りなかったです。
――留学先の三宅社長の印象はいかがでしたか?
久須美 とにかく全部すごいと思いました!(笑) マインドや生き方が違いすぎて、全てを尊敬の眼差しで見ていました。知識量も豊富ですし、お話も面白いですし、人から好かれるお人柄でした。また、事業に対するマインドも素晴らしかったです。お金儲けではなく「日本はこうしていくべきだ」という純粋で明確な志があるので、お人柄も相まって周りの皆が支援したくなるのだろうと思いました。講演に行っても情熱的に話をされていて、仕事が大好きなのが伝わってきました。普段話すときでもすべてが仕事と関連していて、プライベートと仕事が一緒なので最初はビックリしてしまいました。

他社留学での気づき・学びとその後

――他社留学を通して気づいた自社の優れた点、反対に課題だと思われた点はありますか?
久須美 優れた点は、会社が大きいので何かが起きたときにフォローしあえるほど多くの社員が在籍しているところだと思いました。自分が休んでも絶対に誰かが助けてくれるという安心感があることに気づきました。
課題だと思った点は、会社の危機を自分事化し、一人ひとりが自覚して行動していくことがより必要だと思いました。私自身も含めてですが、自分の業務以外への関心が薄い気がしています。当社の場合、金融業界なのでルールが厳しく、かつ期日通り進めることが求められる環境です。そのため、組織全体を見て、線で考えるというよりは、目の前の自分の業務を正確に責任感を持って行うことにフォーカスする社員が多いと思います。組織に属しながらも個人事業主のように仕事している人が多いですが、それだと会社に所属している意味はなくなってしまいますよね。
留学先では稼働できるメンバーが限られているので、仕事の量も責任も全く違っていました。全員が会社のことを自分事化して「頑張らないと明日はない」という意識で仕事に向き合っていました。また、一人ひとりが自身の仕事に責任を持ちながらも組織全体を考えて動いている印象がありました。そのため、当社においても自分の担当業務と関係する業務や部門にも関心を持ち、点ではなく線で俯瞰して見た上で課題を見出した方がいいと思いました。
(写真:久須美さん)
――他社留学後、変化のあったこと、取り入れたことはありますか?
久須美 何かを作り始めるとき、以前であれば自身が納得できるところまで整理して資料に落とし込んで6,7割出来上がってから周囲に相談して意見をもらっていました。そうでないと相手の時間を奪ってしまうと思っていたんですね。しかし、留学先では1,2割の段階でも周りに相談していて、自分以外のマインドを持った方から早い段階で多角方面から意見をもらうことで、より良い成果に繋げていました。これまでと異なるやり方を経験することで、早い段階で人に意見を求めることで選択肢が増えるということを身を持って学ぶことができました。
ただ、当社と留学先では組織の大きさも業界も異なりますので、そのまま取り入れることは難しいです。また、ある程度ゴールが決まっているような、考えればわかるような領域のものだと「もっと考えてから来て」と言われてしまうと思ったので、相手もゴールが見えない、答えを持っていないような場合にのみ早い段階で相談するようにしていて、状況を見て使い分けるようにしています。
――新しい仕事の進め方を習得して、ご自身の幅が広がったのですね。
久須美 そうですね、全く異なる環境に飛び込むことで新しいやり方を学ぶことができました。それと同時に、自分は思ったより完璧主義であることにも気づきました。私は新卒入社で9年目ですが、環境に慣れてしまってそのことに気づいていませんでした。ある程度のことは自分で調べればわかるので、留学先で企画を進めるときにも自分で8割作りこんで落としどころを決めてから留学先に提案するということを当たり前のようにやっていました。自分の当たり前が当たり前ではないことに気づく良い機会になりました。
――他にも何か取り組んでいることはありますか?
久須美 今回の他社留学を通じて当社の社員にもっと危機感を持って働いてほしいという思いがより強くなりました。私は広報におりますので、他の部員と協力して今回の他社留学での学びや当社と他社との違い、私自身が感じた危機感などを記事化し、Web社内報へ掲載しようと準備を進めているところです。当社の場合、大企業で安定していて良い会社なので長く勤めあげる社員が多いです。外部を知らない社員にも私が得たことを還元することで危機意識を持ってもらい、話し合う機会を持ってもらえたらなと考えています。
私の事例に加え、他の他社留学参加者やグループ会社の出向者などの意見なども記事化できれば、社外の声が聞けると面白がって読んでくれる人はいると思うんです。会社をより良くしていくために一人だとできることは少ないですが、仲間がいればできることは増えていくと思うので、仲間を増やすためにも発信を続けていきたいです。
(写真:久須美さん)
――広報としてできることから始めているのですね。
久須美 そうですね、今回の記事化に関しては先ほど申し上げた留学先で学んだ新しい仕事のやり方を取り入れて、後輩とともに進めているところです。留学が終わって所属企業に戻ってから、すぐに留学前の自分に戻ってしまった感覚があってそれだと意味がないと思ったので、同じことの繰り返しをしないためにも新たなやり方を試みています。
個人の成長という観点でいえば、今は広報としてWeb社内報などを担当することでシステム的な知識がどんどん増えて成長できているという実感があります。知らないことを知ることが楽しいですし嬉しいです。今後のキャリアについてはまだ明確にこうなりたいと言えるわけではありませんが、会社をより良くするために、会社を成長させるために使命感を持って自分にできることをしていきたいと思います。
――再度他社留学に参加する機会があるとしたら、チャレンジしたいですか?
久須美 そうですね、条件を変えて参加したいです。今回は週2回3ヶ月間という条件で参加しましたが、次があるなら半年間で週2,3回参加したいです。3ヶ月だと短すぎて歯がゆかったです。もっとコミットできるよう期間・頻度を増やしてチャレンジしたいですね。
――これから他社留学に参加する方に対して何かアドバイスはありますか?
久須美 とにかく「自分次第だよ」と伝えたいです。今までやってきたことを全部捨てて、ゼロベースで今目の前にある課題に向かって自分に何ができるかを考えてほしいです。とにかく後ろ向きに考えずに、向きに前向きに考えていけば楽しくなるはずです。あとは状況にもよると思いますが、できるだけオンラインではなく、実際に留学先のオフィスに行くことをお勧めします。
<留学先責任者からのコメント> ~ナオライ株式会社 代表取締役 三宅様より~
久須美さんが積極的にナオライに関わってくれたこと、また、スタートアップというこれまで経験したことのない中で「そういうものだ」という驚きを持って普段と違う環境を楽しみ、それに適用しながら活動して頂けたことに満足しています。当社としても、久須美さんと関われたことで、自社や自商品を客観的な目で見たコメントや「であれば、こうしてはどうでしょう」といった提案を随時いただけ、学び・気づきがありました。提供された条件、環境の中で、期待以上の成果を出していただきました。
3ヶ月を通して、久須美さんが何よりもこんな働き方があるんだとご自身の固定観念が外れたことが一番の変化ではないかと思います。はじめのうちは不安もあったようですが、ご自身の中で受け入れ、柔軟に環境にアジャストし、楽しんで取り組んでいただけたと思います。
久須美さんの強みとしては、自身の発言したことを着実に実行し、形にして、その仕事振りが周囲への信頼にもつながる点、ご自身の内にやりたいこと“芯”がある点だと思いました。
今後は、より視野を拡げてゼロから関係を作ったり、物事の根本から考えたりできるとさらに充実した人生を送ることができるのではないでしょうか。与えられるのを待っていても何も変わらないので、自分が真にやりたいことでエネルギーを注げば変えられるものがあるはずなので、それを自ら探し続け変えていかれることを期待しています。3ヶ月間ありがとうございました。

会社名 SMBCコンシューマーファイナンス株式会社
業種  貸金業・保証業
事業内容 育児・マタニティ・女性ケア・ホームヘルスケア・介護用品等の製造、販売および輸出入、ならびに保育事業
URL https://www.smbc-cf.com/