事例紹介

ピジョン株式会社×株式会社プレイドの導入事例

「自分の強みを明確化することが自信に繋がり、新たに“攻めの姿勢”を学ぶことができた」(職種:サステナビリティ推進、留学頻度:週1日、留学時:新卒入社10年目)
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目的
外の世界を観ることで新しい視座、価値観を培う環境を創りたい
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背景
新しいことにチャレンジでき、スピード感のある人材を育成する必要があった
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効果
留学することで“攻めの姿勢”を学んだ/自分の強みが明確化して自信に繋がった
他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」にインタビュー。留学中、留学後の想い、そして「留学後に何が変わったか」について、体験談を語っていただきます。
今回お話を伺ったのは、ピジョン株式会社。他社留学を経験したのは、サステナビリティ推進室の幸路(こうじ)さんです。留学先は、CXプラットフォーム「KARTE」の開発・運営、CX特化型メディア「XD(クロスディー)」の企画・運営、EC特化型メディア「Shopping Tribe」の企画・運営を行うベンチャー企業、株式会社プレイドです。留学中は、サステナビリティに関する情報開示のためのウェブページ制作と、事業開発組織「STUDIO ZERO」での業務に取り組みました。
所属 ピジョン株式会社
留学先 株式会社プレイド
他社留学期間 週1日/3ヶ月間(2021年10月~2022年1月)
留学した人 サステナビリティ推進室 幸路 歩美さん(留学時:新卒入社10年目)
送り出した人 サステナビリティ推進室 シニアマネージャー 笹田 昌樹さん

多くの学びを得た刺激的な3ヶ月

——まず初めに、他社留学を終えてみての感想をお聞かせください。
幸路さん(以下、幸路) 感想は一言で言うと、本当に刺激的な3ヶ月間で、私のマインドセットが変わったといいますか、仕事の捉え方が大きく変わりました。留学が始まる前は、サステナビリティに関する情報開示に向けた業務と、プレイドが提供しているCXプラットフォーム「KARTE」に関することに携わると思っていたところ、実際は、より高い目線で産業や社会を変えていくことを目指す新規事業開発チームに入りました。今までは、そもそも「産業」や「社会」というとスケールが大きすぎて、「誰かが変える」みたいに思っていたのですが、3ヶ月間を通して、このようにパートナーシップを取って物事を進めていけば、企業の力で産業や社会を変えることができるのだな、と自分事化して見られるようになったことがすごく大きな心境の変化でした。
留学中は、データを活用することで顧客体験価値を高めようとしている民間の大手企業や自治体との商談に同席させてもらったりしました。ピジョンは事業会社で「モノを作って売る」というシンプルなビジネスモデルですが、プレイドのようなソフトウェア会社は色々な会社と組めばどんな課題でも解決していくことができるし「面の広さ」も感じることができました。
——留学前と実際留学してみてのイメージは違いましたか?
幸路 はい、違っていました。留学を始める前は専門知識を補えると思って参加したのですが、3ヶ月間留学に参加してみて、ITへの理解は増えましたが、それよりも仕事の向き合い方やプレイドがスタートアップ出身であるからこその機動力を感じ、会社を俯瞰しての学びが多かったです。
(写真:幸路さん)
——これまで幸路さんは社内異動もご経験されていると思いますが、社内異動と他社留学では違いを感じましたか?
幸路 社内異動の場合は、直接の交流がない仲であっても、なんとなく知っている状態で受け入れてもらうことが多いですよね。他社留学の場合は、大前提として「この留学生は一体誰?」という状態で始まります。今回の留学では、全く業界も異なるピジョンという会社の、しかもコーポレート部門の人を受け入れる、ということで、両者にとってチャレンジングなものでした。この刺激の強さは他社留学に行かないと経験できなかったと思いますね。
また、社内異動であれば仕事の内容がガラッと変わることも多いですよね。しかし、他社留学の場合は「プロボノ」に近いので、ある領域の専門性を持った人が留学するので「助けてくれるらしいよ?」みたいな期待があるように感じました。そのため、即座に成果を出していかなければならないですし、お互いWin-Winの関係にしないといけないので、そこのプレッシャーの大きさは他社留学ならではでした。

プロジェクト内容と成果

——今回の留学では、どのようなプロジェクトに関わったのですか?
幸路 サステナビリティに関する情報開示に向けた業務と、事業開発組織「STUDIO ZERO」での業務に取り組みました。サステナビリティに関する業務では、プレイドの価値創造ストーリーやマテリアリティの特定など、今後もプレイドが持続的な成長を遂げていくための姿勢をどう示すか等、チームで議論を重ねました。ピジョンでも同様に検討した経験があるので、業種の違いはありましたが、私の経験を活かして関わることができました。「STUDIO ZERO」では、事業開発アプローチから新しい事業・価値をいかに創出していくかの議論の場に参加しました。
——今回の留学で何か成果を残すことはできましたか?
幸路 サステナビリティのウェブページの制作にあたり、ワイヤーフレームを作り、掲載する内容の原稿まで指示入れをする、というところまでをやったので、成果として残すことができました。留学後に無事にサイトをオープンしたよ、と連絡をいただき、目に見える形にできたことがとても嬉しいです。

株式会社プレイド「サステナビリティ」ページ:https://plaid.co.jp/esg/

留学を通して得られたこと

——留学に参加して、どんな変化がありましたか?
幸路 私は今年で10年目になるので、ある程度は問題なく仕事ができている状態ですが、仕事をこなしてしまっているようにも感じることがあり、自分自身の甘えから脱却するためにもより厳しい環境に飛び込みたいという気持ちがありました。今回の留学では3ヶ月、週1日という限られた時間ということに加え、業界も違う全く知らない環境に飛び込むという緊張感のある中での関係性構築が求められたため、早い段階で積極的に自己開示して、疑問点の解消や議論に参画する意識付けができ、コミュニケーション力が鍛えられました
また、私は新卒でピジョンに入社したこともあり、自分のスキルが他社で通じるスキルなのか不安を感じていました。今のピジョンでは大丈夫だけど、他社だと全く通じないのではないか、今の働き方で自分のキャリアをちゃんと築くことができているのか、と疑問に思っていました。また、中堅と呼ばれる世代になり後輩を指導する立場になって、私が手本になっていいのか、と自信を持てずにいました。しかし、いざ参加してみると自分の改善点にも気づきましたが、これまでの業務経験は他社でも通じるスキルになっていることや、コミュニケーション力やバランス力はもっと自信を持っていい自分の強みなんだと思える経験となりました。
一方で、今回全く未経験の新規事業開発にも関わらせていただいたのですが、そこでは全くのゼロからのスタートでした。新たなソリューションを作るためにアイディア出しから始めて、他社と共創関係を築いて、、、というビジネスの始まりを初めて体験して、私自身がもっと頭を柔らかくしてコラボレーションの仕方などのアイディアを出せるようになりたい、提案力をつけたい、と思うようになりました。
——今回の留学を通して成長を感じられたのはどんなことでしょうか?
幸路 明らかに自信になったのは、プロジェクトの途中参加であっても、キャッチアップしオンボードすることができるという部分です。1on1などの面談の場を活かし、繰り返して情報を集めることで、全体として何をやっていて自分の役割は何か、を把握してプロジェクトに参加することができました。チームとして色々な案件を抱えていたので、最初の頃はどの案件も「これは何の話だろう」と思いながらやっていましたが、最後の日には「あの会社どうなっていますか?」と対話できるような状態になっている自分に気づきました。複数案件を捌く、途中参加でもやっていけるというのは、留学中に何度も何度も対応する中でそれが訓練になって、最終的には自信を得て帰ってくることができたんだと思います。
——途中参加だとキャッチアップするだけでも大変ですよね。
幸路 そうですね、本当に最初は「?」でした。特に初日は、怒涛の6つのMTGに参加したのですが、聞いているだけで精一杯、みたいな感じだったんです。それを繰り返して実際に現場を見ることで、商談相手、初めての方とのコミュニケーションの仕方や進め方を学ぶことが出来たんだと思います。
(幸路さん:写真左から2番目)
——留学中はどんなことを意識していたのですか?
幸路 今回の新規事業開発チームの責任者の方が、仕事でも人としても非常に尊敬できる方でした。私には持っていないものをたくさん持っていて、色々な経験をされている方だったので、その方から得られるものを全部吸収することを意識していました。ご多忙な中でも瞬時に返ってくるレスポンスには大変助かりましたし、コミュニケーションツールの活用と、それだけに頼らず1on1の時間確保といった対面のコミュニケーションの大切さなど、たくさんの学びをいただきました。とにかく見て真似るところから始めようと思ったので、目の前の良いお手本に3ヶ月間常に食らいついていった感じです。
もちろんピジョンにも尊敬できる方はいます。ピジョンは60年以上ベビー関連の事業をし、経営理念が「愛」である通り温かみのある社風で、人間として尊敬できる方がたくさんいます。それに対して留学先の方は、新しいビジネスにチャレンジしていて、自分から取りに行くアクティブさをお持ちだったので、ピジョンの先輩像とは異なる部分で新たな学びを得ることができました。
今後のピジョンを考えると、これまでの文化を大切にしながらも、攻めていくアクティブさも必要だと思っています。社会は少子化の流れにあるので、このままだと大きな事業成長は見込めません。そのため、どんなふうに私たちがビジネスを広げていくか考えていく必要があります。そういった中で、今回の留学を通して学んだ「アクティブさ」を活かしていけばいいと思いました。
会社の中にはこれまで築いてきた人間関係がありますし、今回の留学で得られたプレイドの縁もあります。先輩の意見がほしいとき、社内で答えが出ない場合はどんどん外の人脈も活かしながら解決していくことができそうです。今回、人脈というのはビジネスの中で一番大事だと思ったので、あまり会社の枠を気にせずに人間関係を作りながら仕事を進めていきたいと思いました。

さらにより良い会社にしていくために

——今回の留学での学びをピジョンでどのように活かしていきますか?
幸路 そうですね、まず一つは育児用品に限らず、社会全体にもっと興味を持ちアンテナを張って、常に「何ができるか」「どうビジネスに繋げるか」「今までのアセットに限らず、どう繋げていくか」という発想を持ち続けていきたいです。自分の目の前に道がなければ「自分でどう道を切り拓いていくか」という思考を強く持っていくのが第一歩です。そうすることで近くにいる人に必ず影響を与えられると思うので、ピジョンに新たな風を吹かせることができるのではないかなと思います。
また、当社には社内公募システムがあって、希望部署に手を挙げることができる制度があります。最近、新たに立ち上がったチームで募集があったのですが、他社留学でマインドセットが変わっていることもあり、「チャレンジしたい」と思い手を挙げました。留学前であれば手を挙げるにしてもすごく悩んでから勇気を出して手を挙げていたと思うのですが、他社留学で新しい環境に飛び込む経験をしていたので、挑戦することが怖くなかったです。プレイドで学んだことがすぐに活かせるならやらせてください、と思える自分に変わりました。すごくタイミングよく、ピジョンで活かせることを学べたと思います。
——今回の留学で組織としても違いを感じることがあったと思うのですが、どんな違いがあったのか、また参考にしたいと思ったことはありましたか?
幸路 そうですね、仕事の振られ方について違いを感じたのですが、当社が組織図に沿ってトップからブレークダウンで落ちてくることが多いのに対し、プレイドは新たなプロジェクトが立ち上がるときに自主的にチームが立ち上がっているように見えました。ボトムアップだと士気が高まって、同じミッションに向かってやるんだ!という一体感もできるので、当社にも取り入れたいと思いました。
また、プレイドではディスカッションする場が多くありました。内容によっては、1on1であったり、複数だったりしましたが、リーダーシップを発揮してくれる中心人物がいて状況に応じて関係者を巻き込みながらディスカッションする場を作っていました。ピジョンでもディスカッションする場が増えるといいと思います。特にコロナ禍で以前より出社が減っていますので、私自身がリーダーシップを取って、後輩を巻き込んで本音で語り合う場などを作っていきたいと考えています。
それから、プレイドは基本中途入社の方が多いので、誰がいつ入社して来ても仕事が成り立つようなシンプルなコミュニケーションスタイルを取っていました。ツールはSlackを使っていて、チャットのスレッドに入れば過去の情報も得ることができました。人の入れ替わりがあっても、ミッションがぶれることはないのが印象的でした。「データによって人の価値を最大化する」というフレーズは留学中に何度も聞いたので、私もすぐに覚えました。可能性が秘められた抽象度が高いミッションなので、プロジェクトを進める際は具体的に落とし込むためにディスカッションする時間を設けていました。色々組織としての気づきはありましたが、ピジョンらしさを大切にしながらも、良いと感じた点は取り入れることができるよう進めていきたいと思います。
(幸路さん:写真左)
——もう一度他社留学の機会があるとしたら、チャレンジしますか?
幸路 そうですね、全然違う会社に留学するのも面白いかもしれないですね。プレイドにまた留学するのもいいかもしれません。ただ、プレイドだったら「留学」という制度にしなくても、私は帰れるといいますか。留学終了時に、一緒にプロジェクトを進めていたメンバーからは「業務時間外においでよ」と言ってもらえたので、これからも繋がれる自信はあります。プレイドとピジョンで一緒に何ができるか考えようね、という話もいただいたので、その点はこれからも引き続き考えたいと思っています。
留学期間中、プレイドでは「ここは見せられない」というのが一切なく、すべて見せてくれた上で一緒に業務を進めました。そのため、私自身も常に対等に、週1日はプレイド社員なんだ、という意識で話せたので、それがあったから3ヶ月後「またね」という終わり方ができたんだと思います。これからもプレイドとのご縁は大事にしたいです。

他者からのフィードバックによる気づき

——他社留学をどういう人に薦めたいですか?
幸路 私は今年で入社から10年経つのですが、同期は転職せずに仕事を続けている人が多いので、行った方がいいと伝えました。ただ、入社10年くらいの人材だと仕事を任されることも多い働き盛りなので、現実的に並行して他社のプロジェクトに関わるのは大変というのもありますよね。
私は学生時代から、あえて多くの知り合いがいない進路を選ぶなど、異なった環境に入るのが楽しいと思うタイプです。人が好きですし、仕事だけというのは嫌なので、趣味の場でサークルに入るなど社交的な性格です。そういった性格も他社留学に向いていたのかもしれません。伴走者の方からも面談時に社交性が私の強みだと言っていただいたのですが、言われて初めて自分の強みだと気づきました。特にこれまでビジネスシーンで社交性を活かせていると感じた場面がなかったので、強みだと言っていただいたのはすごく自信になりました。
——伴走者からのフィードバックが気づきに繋がったのですね。
幸路 はい、留学中に気づくことも多く、とても参考になりました。それに、留学中に常に見てくださっている人がいるというのはとても心強かったです。留学中にいただいたアドバイスから、すぐ本を買ってインプットを増やそうと行動に繋がったこともありましたし、最後の面談では社内人脈の多さや社内調整ができることも私の強みだと言っていただき、自分の武器を再認識することができ、自信に繋がりました。
<留学先責任者からのコメント> ~株式会社プレイド 仁科様より~
受入れ企業として、非常に良い機会でした。限られた期間・日数での参画にも関わらず、かなり真剣にコミットしていただき、本音のコミュニケーションを取ることができました。幸路さんはバランス感覚が良く、素直なお人柄で、早い段階でカルチャーフィットし、信頼関係を築けたと思います。当社メンバーを巻き込みながら最後まで萎えることなくパフォーマンスを発揮していただきました。留学を通して、幸路さんも自信がついたのではないかと感じます。最終日には当社代表からも“双方にとって非常に良かった”というコメントがあり、非常に満足しています。ありがとうございました。
会社名 ピジョン株式会社
業種 その他製造業
事業内容 育児・マタニティ・女性ケア・ホームヘルスケア・介護用品等の製造、販売および輸出入、ならびに保育事業
URL https://www.pigeon.co.jp/