岡本さん（以下、岡本）　今回の他社留学は、上司からの指名を受けて決まりました。昨年度ニフコから他社留学に参加したメンバー数名を知っていたこともあり、留学は大変そうだけど面白そうだなという印象を持っていました。留学にあたっては、新たなことに挑戦することへの抵抗や苦手意識を無くしたい、情報の展開や共有方法、ワークフローの問題点の見つけ方などを学びたいと思い、参画しました。

岡本　今回私が留学したのは、マルチバリューデータベース技術を持つシマント株式会社です。マルチバリューデータベース技術というのは、色々なデータ形式を一元化する技術のことを言います。留学先としてシマントを選んだ理由は、シマントのデータベース技術を活かしてニフコに還元できるものがあるのではないかと思ったからです。ニフコ内では図面データや測定結果、量産などの様々な情報が色々な形式で色々な場所に存在しており、以前から改善することができるのではないかと感じていたので、留学することを決めました。

岡本　私としてはニフコの中にある情報の伝え方や共有の仕方をシマントから学びたい、シマントとしては、製造業の中で今持っている技術が活かせる場を見出したいという想いがあり、お互いWin-Winの関係を築きたいということで今回のプロジェクトがスタートしました。留学中は、新規事業の調査とマーケティング、製造業の領域でのマーケット模索などに携わりました。ニフコのデータの流れや強み・弱みなどを留学先の代表取締役である和田さんと共有した上で、シマントの技術をどう活かしていけるかディスカッションを進めました。

岡本　留学先で困ったときに、周りの方を巻き込みながら相談する難しさを感じました。今回全く異なる環境に留学したので、自分の中でどうしていいかわからないことを誰かに聞かなければいけなくなったことがありました。その時、周りの人に迷惑をかけるのではないか、自分の中で解決しないといけないのではないかと、気後れしてしまい止まってしまったことがありました。今思えば、深く考えず、周りの方々ともっと積極的にコミュニケーションを取って、わからないことはどんどん相談していけばよかったと思います。

岡本　まず他社留学での学びとして、シマントを起業した際のリアルな経験談を聞くことで、これまで学んできた企画創出の知識と結びつけることができたというのがあります。ニフコでは2016年から企画創出の仕組み作りを進めており、様々なワークショップを開催しています。私も企画創出ワークショップに参加していたのですが、そこで企画創出に関する知識を色々学ぶことができました。ただ、実際に自らが企画創出した経験がなかったために、知識の習得に留まっていました。

岡本　もう一つ学んだことは「言葉にすることの大切さ」と「自分を知ることの大切さ」です。実際の他社留学の経験やエッセンスが行う越境関係者が集まったワークショップに参加させていただく中でいつも実感していたのが、自分の中にある感情や考え方を言葉にするのが得意ではないということです。自分自身のことがわかっていない状態で仕事やワークショップに臨んでいることに気づかされたのがすごく大きな気づきでした。

伴走者との面談の中で、「言葉にすることは大切なこと」「自分の気持ちを言葉にすることによって、今まで自分の中にしか存在しなかったものが外に出るので自分のことをより深く知ることができる」という話を聞きました。確かにそうだなと思いました。自分が何をしたいのか、自分が何を考えていて、何に不安を持っているか、言葉にすることで明確化して自己理解が進みました。さらに、そうすることで安心が生まれ、心にも余裕ができました。

自分を知ることが自分自身を動かす力、周りを動かす力になって、そして周りを巻き込むことに繋がるということを学びました。これが他社留学を通して得ることができた一番大きなものです。

岡本　今後のニフコにとってどんなことが必要なのかを考えたときに、今回私が学んだ「自分をもっと理解していく」ことが重要ではないかと考えました。これは今後も自分自身続けていきたいことですし、社内の色々な方々にもぜひやってもらいたいです。先ほども申し上げたとおり、自分のことがわかることで自分を動かす力、周りを巻き込む力になり、さらに自分がわかってくると色々なことを言葉にすることが出来て、さらに自分のことがわかり・・・というプラスのサイクルに入っていくことになります。そうすれば、ニフコで働いている社員が今以上にもっとアクティブになり、さらに魅力的な会社になっていくはずです。

また、自分自身のことだけではなく、ニフコそのものを言語化していくことも必要だと感じています。今回の留学中に、ニフコのことを全く知らない外部の方に説明しようとしたときに明確に伝えられないことがありました。これからイノベーションを起こしていくために、まずは自分たちの会社や個人個人の自己認識を高めるために言語化していくことが重要だと感じています。そういったことを社内で伝えていきたいと思っています。

岡本　そうですね、「社内のコミュニケーション」に関することで考えていることがあります。まずは職場のコミュニケーションに関しては、進捗報告だけに留まらず、今何に困っているか、どういうことに不安を感じているかなどを安心して語れる場を作ることが必要だと思っています。1on1をやるにしても、お互いの信頼関係がないと安心して相談して深い話をしていくことは出来ないですよね。役職に捉われすぎず、普段からお互い気軽にコミュニケーションを取ることで、職場で気楽に話せる雰囲気作りを進めていくことも大事ではないでしょうか。

また、ニフコでは部署を超えてのコミュニケーションはあまり機会がないように思います。組織が大きいために、他の部署が何をやっているか、なかなか把握しづらい環境にあります。もっと社内全体で部署を超えた繋がりの機会を多くすることで組織としてさらに発展させていきたいです。私自身もそのような組織作りに貢献していきながら、個人としては周りにどう思われるかを気にせず、自分のやりたいことをしっかり見据えて、楽しく仕事していきたいと思います。

今回、岡本さんが弊社を留学先として選んで頂きましたことに感謝申し上げます。既存業務がご多忙な中でも時間を捻出していただき、信頼関係を作りながら取り組んでいただきました。当初想定していたテーマや取り組みから変更があった場合も柔軟に対応していただきました。時間的な制約がありましたが、弊社としても様々な気づきや学びがあり、刺激となったプログラムでした。