事例紹介

株式会社ニフコ×Milk.株式会社の導入事例

「留学先でリセット&チャージ―良い循環を生んだ半年」(職種:知的財産、留学頻度:週1日、留学時:新卒入社21年目)
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目的
周囲と協力しながら業務を遂行し,モチベーションが高い人の考え方を知る/異なる分野の業務を経験することで新しい考え方を知る
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背景
異なる業界や企業を経験できる機会を作り、リーダー人材の育成や外部との協業に関する経験・知見を得て、変革を促進する必要性があった
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効果
・周囲と協力しながら業務を進める中で、モチベーションの高い人の考え方や行動の特徴を理解できた
・異なる分野の業務を経験することで、多様な視点や考え方に触れ、思考の幅が広がった
・多様性や目的意識の重要性を実感し、柔軟かつ俯瞰的に物事を考える力を身につけた
・「効率性」だけでなく、自分のやりたいことを重視して行動する価値を体感できた
他社留学を終えた「卒業生」にインタビュー。留学前、留学中、留学後の想い、そして留学後に何が変わったかについて、体験談を語っていただきます。

今回お話を伺ったのは、株式会社ニフコ。他社留学を経験したのは、知的財産部の稲葉さんです。留学先は、「ハイパースペクトルカメラ」という特殊なカメラ技術を強みとする、最先端の技術系スタートアップ、Milk.株式会社です。留学中は、イベント運営のサポートやスペクトルカメラの市場調査や新市場開拓の可能性の探求等に携わりました。
6所属 株式会社ニフコ
留学先 Milk.株式会社(Milk.Inc)
他社留学期間 週1日/6ヶ月間(2024年11月~2025年4月)
留学した人 知的財産課 稲葉 藍子さん(留学時:新卒入社21年目)
送り出した人 開発本部 エグゼクティブ・エキスパート 根津 幹夫さん

留学前の想い

——初めに、他社留学に参加した背景をお聞かせください。
稲葉さん(以下、稲葉) 社内で公募があり、応募した結果、参加が決まりました。最初のきっかけは担当者から声をかけていただいたことでした。その時は「今年は忙しいし、どうしようかな」と迷っていたのですが、周りから他社留学の話を聞く機会が増えていくうちに「やってみたら面白いかもしれない」と思うようになりました。また、以前から職場環境とコミュニケーションの活性化を通じて、チーム全員が働きやすい環境を作りたいと思っていました。そのヒントを得たいと考えていたこともあり、思い切ってチャレンジすることにしました。留学前は自社での仕事との両立について少し心配もありましたが、基本的に楽しみな気持ちの方が大きかったです。
——他社留学でどのようなことを学びたいと考えていましたか?
稲葉 新卒から同じ会社で働いてきたため、他社の働き方や価値観に触れ、自社の“常識”と世間の“常識”の違いを実感したいと思っていました。また、周囲と協力して業務を進めるための方法や、課題に向き合う人たちのモチベーション・考え方を学びたいと考えていました。さらに、新しい視点を取り入れたいという思いもありました。
——稲葉さんは普段どのような仕事をしているのですか?
稲葉 入社以来、自動車用部品の設計・開発に従事してきましたが、2019年に現在の知的財産部へ異動しました。現在は、新規開発品などの特許出願の検討や、開発品に関する特許侵害の有無の調査を担当しています。

良い循環が生まれた半年間

——どのような企業へ留学したのでしょうか?
稲葉 私が留学したMilk.株式会社は、宇宙技術であるハイパースペクトル技術を、医療・食品・インフラなど多様な分野へ応用する、ディープテックITベンチャーです。2019年に創業され、医療分野では病変の早期発見や病気の原因分析、食品分野では品質評価、インフラ分野では劣化診断など、社会課題の解決に向けた幅広い技術開発を進めています。また、自社技術の活用にとどまらず、スタートアップ企業の支援や、新しいビジネスアイデアの発掘にも積極的に取り組んでおり、教育事業の一環として「YARD」プロジェクトを進めています。
——半年間どのようなプロジェクトに携わったのでしょうか?
稲葉 イベント運営のサポートやスペクトルカメラの市場調査、新市場開拓の可能性の探求等を行いました。 イベント運営では、下見や会場スタッフとの調整から始まり、当日は資料準備、会場設営、参加者の受付・案内など、留学先企業メンバーの手が回らない部分を幅広くサポートしました。特にプロレスとのコラボイベントでは、進行や動画配信以外の会場内の采配をほぼ一任され、現場運営の中心的な役割を担うことで大きなやりがいを感じました。
ハイパースペクトルカメラに関しては、特許出願をベースに出願動向や着眼点の調査・報告を行いましたが、特許にこだわりすぎて広い視野を持てなかったことが反省点です。ただ、広い視野を持つことの重要性を改めて認識できたと感じています。

Milk.株式会社:https://invisibleworld.co.jp/

——半年間の留学を一言で表すと、どんな時間でしたか?
稲葉 「学びが多くとても楽しく、それでいて単なる楽しさにとどまらない半年間」でした。週に一回、留学先へ向かうたびに“遠足前のワクワク”のような気持ちになりました。そして、自社の仕事に戻ったときに、「あのプロジェクトをもっと良くするにはどうすればいいか」「やり残している業務を早く進めたい」という前向きな気持ちで取り組むことができました。留学先企業で刺激を受けることで、気持ちのリセットができ、仕事へのモチベーションを高められたと感じています。
——“遠足前のワクワク”というのは、どのような気持ちだったのでしょうか?
稲葉 最初はとても緊張していました。ドキドキ・ワクワクしながらも、「不安や心配はあるけど、やってみよう!」という前向きな気持ちだったと思います。そして実際に行ってみると、皆さん本当に楽しそうに仕事をしているんですよね。その姿を見るだけで、「仕事ってこんなに楽しくできるんだ」と気づかされました。留学先で仕事をすると、私自身も自然と“楽しい仕事モード”になり、そのままの気持ちで会社に戻るので、自社での仕事にも楽しさが加わる。そんな良い循環が生まれている感覚がありました。
——自社の仕事にも良い影響を与える、充実した時間になっていたのですね。
稲葉 そうですね。普段の仕事では、思い通りにいかず気持ちが重くなることもあります。留学は、それを「洗い流してデトックス」してくれる場所であると同時に、新しい刺激を「充電できる場所」でもありました。新しい知識や経験をチャージして帰ってくる感覚です。毎日同じことの繰り返しではなく、日々新しいことに触れ、新しい発見がある。まるで新しい学びの学校に通っているかのような感覚で、毎回多くの学びを得ることができました。また、楽しく仕事をすることで、他の業務も効率的に進められる感覚があり、前向きに考えられるようになるのを実感しました。
(稲葉様が運営に携わったピッチイベント『第19回 YARD Meetup』(スタートアップ×プロレス)

留学を通しての気づき・学び

——留学を通して、どのような気づき・学びがありましたか?
稲葉 今回の経験を通して、仕事に対するモチベーションが高いとはどういうことか、自分なりに捉えられるようになりました。特に、モチベーションは自分だけでなく周囲にも波及するものであることを実感しました。モチベーションの高い人は、自分で考えて行動し、やりたい・楽しいと思えることに積極的に取り組み、相手の意見を否定せずに自分の考えと結びつけ、前向きな雰囲気を職場全体に広げていました。仕事や会社に対して否定的な発言が少なく、“自分事”として主体的に取り組む姿勢も印象的で、そのスピード感が組織の強みになっていると感じました。
また、人脈の重要性や、直接仕事に関係のないつながりが結果として仕事に影響すること、デジタルコンテンツの活用など、多くの新しい視点を得ることができました。さまざまな経験を通して、自分の考え方の幅も大きく広がったと感じています。
——イベント運営を担う中で何か学びや気づきはありましたか?
稲葉 多様性と目的意識の大切さに気づくことができました。今回、初めてピッチイベントを知りましたが、スタートアップやベンチャー企業が想像以上に多く、多様な考えを持って挑戦している人たちがいることに驚きました。運営の裏側に関わったことで、メンバー全員が「なぜこのイベントをやるのか」を理解し、同じ方向を向いて動いていることも印象的でした。また、異業種を排除しない柔軟な姿勢や、“新しい何か”を積極的に取り込む文化が、このイベントをより魅力的なものにしていると感じました。
——自社と留学先の環境の違いについて、印象に残った点は何ですか?
稲葉 一番大きな違いを感じたのは、個々の裁量に基づき、自由に業務に取り組める点です。否定されることなく、「いいね、ちょっとやってみてよ」と背中を押してもらえる感覚がありました。社内では新しいことに挑戦するには、説明やプレゼンを重ね、意義を示して承認を得る必要があります。そのプロセスで考えを深められる反面、承認までに時間がかかることもあり、情熱が薄れてしまうこともあります。一方、留学先は人数が少ないため、一人ひとりに裁量が与えられていました。社長も自由に挑戦することを後押ししてくれるので、挑戦しやすい雰囲気があります。その環境こそが、思い切って行動できる理由だと思いました。
——社長が自由に挑戦できるよう後押ししてくださっていたのですね。
稲葉 「やりたいことをやらないと仕事は楽しくない。だからまずやってみて」と社長が言っていました。最初聞いた時は、「それで会社が成り立つのか?」と思ったんです。しかし、日が経つにつれ、やりたいことに取り組むほど主体的な気持ちが強まることに気づきました。私自身、最初は受け身で始めたことでも、進めていくうちに「どうにか実現させたい」という前向きな姿勢へと変わっていきました。
——仕事では効率が求められることも多いですが、やりたいことを重視した進め方をしたとき、パフォーマンスにはどのような影響があると感じましたか?
稲葉 もっと効率的に進められるはずの仕事でも、あえて遠回りをしているように見える場面がありました。しかし、その過程も含めて前向きに進んでいる姿が印象的でした。どんな経験もどこかで必ずつながるという考え方のもと、社員が「やりたいこと」に挑戦できる環境が、多様な仕事や事業を生み、別のプロジェクトへとつながっており、新たな成果を生み出していました。たとえば、一度交換した名刺をずっと大切に持っているように、小さなつながりも丁寧に育てる文化が根づいており、効率だけでは測れない価値があると実感しました。
——他にも留学先の文化や制度で、印象に残っているものはありますか?
稲葉 企業理念がしっかり浸透しており、社員一人ひとりがまず行動に移す文化がある点も印象的でした。仕事の幅を限定せず柔軟に動ける雰囲気があり、意見を率直に伝え合いながらも相手を否定しない風土が職場全体の前向きなエネルギーにつながっていました。私自身、意見を求められて出した内容が自信のないものであっても、一旦きちんと受け止めてもらえる経験を通じて、「どうすればもっと良くなるか」と自然に前向きに考えられるようになりました。もし最初の段階で否定されてしまえば、思考が止まってしまい「もういいや」と感じてしまうと思います。こうした環境があるからこそ、より良いアウトプットを出したいという気持ちが湧くのだと体感することができました。
(稲葉様が運営に携わったピッチイベント『第19回 YARD Meetup』(スタートアップ×プロレス)

留学後の変化

——留学後、どのような変化がありましたか?
稲葉 コミュニケーションにおいて「否定的な言葉を使わない」ことを意識するようになりました。同僚や後輩とのやり取りでは自然にできるようになってきたと思います。上司や先輩との会話でも自然にできるよう、前向きな言葉で伝えることを心がけています。また、目の前の作業を「その先にどんな価値があるか」という視点で捉えることで、作業内容に左右されることなく、モチベーションを高く保てるようになりました。そのため、チーム内でこまめな情報共有や目的の再確認を行い、最終的に何を目指しているのかを共有することを意識しています。
——留学中に学んだことで、取り入れたことはありますか?
稲葉 留学先で学んだ「楽しく仕事をすること」を部署内で伝えています。「楽しく働こう」というのは雑談を増やすことではなく、留学先で体験した“本当の意味での楽しさ”を指しています。自分自身が楽しく働く姿を示すことで、その価値を周囲に伝えるようにしています。
——今後に向けて考えていることはありますか?
稲葉 よりクリエイティブで、オープンで明るい組織にしたいと考えています。ただ「変えましょう」と口で言うだけでは変わらないと思いますが、越境経験を持つ人が一人いるだけでも、組織は少しずつ動き始めるはずです。今後さらに上司や同僚を巻き込みながら、より良い組織づくりに取り組んでいきたいです。
また、フットワークを軽く、スピード感を持って効率的に、そして楽しみながら仕事を進められる環境へと変えていきたいとも考えています。情報発信やコミュニケーションにはまだ改善の余地があり、部署内に限らず、さまざまな部署と直接話しながら、活発に情報共有できる場をつくっていきたいです。私自身も、楽しく働きながら周囲と積極的にコミュニケーションを取り、組織全体で成果を上げられるよう貢献していきたいと思っています。
——他社留学を他の方に勧めたいと思いますか?
稲葉 私自身、実際に留学して非常に楽しかったですし、貴重な経験にもなったので、ぜひ多くの方に留学をお勧めしたいです。他社のプロジェクトに参画するとなると大変なイメージがあるかもしれませんが、実際に参加してみると、多くの学びや刺激があり、自分の成長につながる、とても楽しい経験でした。ぜひ多くの方に他社での経験をしてもらい、仲間を増やしていきたいです。
——どのような人に留学の参加をお勧めしたいですか?
稲葉 個人的には、あまり若い年次で経験するよりも、ある程度経験を積んでからの方が良いのではないかと思います。あまり早いと、自社のことも十分に理解できておらず、自分自身、何ができるかわからないまま進んでしまう可能性があります。社内に染まりすぎず柔軟な発想を持ちながら、ある程度の経験を積んでからの方が、自分の中で整理もでき、より意味のある挑戦になるのではないでしょうか。逆に、年次の高いマネジメント層が留学するのも良いと思います。組織全体の視野を広げ、新しい知見や経験をチームに還元することで、より良い組織作りにつなげられると思います。
<留学先からのコメント> ~Milk.株式会社 代表取締役社長 中矢 大輝様より~
今回の留学では、非常に円滑に業務を進めていただくとともに、自律的に主体的に取り組んでいただきました。その背景には、こちらの意図を正確に汲み取り、自分の中で咀嚼して理解したうえで行動に移す力や、プロジェクトを自ら組み立て、関係者を巻き込みながら進めていく高い推進力があったからこそだと感じています。
また、周囲との関わりにおいても、同年代のメンバーが不在だった中で、稲葉さんの存在が良い刺激となり、お手本にもなっていました。スペクトルカメラの市場調査や新市場開拓の可能性探索、並びにピッチイベントの運営サポートにご尽力いただき、深く感謝しております。
スペクトルカメラのマーケティング支援に関しては、プロダクトも市場もまだこれからの段階であるからこそ、稲葉さんの取り組みが確かな貢献につながっていると強く感じました。半年間ご一緒させていただき、ありがとうございました。
会社名 株式会社ニフコ
業種  工業用プラスチック・ファスナー及びプラスチック精密成形部品の製造・販売
URL https://www.nifco.com/