事例紹介

株式会社ニフコ×ガレージバンク株式会社の導入事例

「多様な経験を通じて、能力の幅を広げることができた」(職種:人事、留学頻度:週1日、留学時:新卒入社17年目)
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目的
瞬発力のあるコミュニケーションや業務改善の具体的な手法、プロジェクトマネジメントの実践的な知識を習得し、視座を高める
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背景
異なる業界や企業を経験できる機会を作り、リーダー人材の育成や外部との協業に関する経験・知見を得て、変革を促進する必要性があった
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効果
・人事として業務の幅が広がり、状況判断力や柔軟性が強化された
・自身の課題に気づいたことで、成長に向けた改善目標が明確になった
・実践的で参考になるコミュニケーション方法やプロジェクト管理の事例を見ることができた
他社留学を終えた「卒業生」にインタビュー。留学前、留学中、留学後の想い、そして留学後に何が変わったかについて、体験談を語っていただきます。

今回お話を伺ったのは、株式会社ニフコ。他社留学を経験したのは、人事部の杉山さんです。留学先は、モノ資産の管理・活用アプリ「cashari(カシャリ)」を開発・運営するスタートアップ企業、ガレージバンク株式会社です。留学中は、主にバックオフィス業務に関する業務改善プロジェクトへの参加、サポートを行いました。
所属 株式会社ニフコ
留学先 ガレージバンク株式会社
他社留学期間 週1日/7,5ヶ月間(2024年8月~2025年3月)
留学した人 人事部 杉山 大輔さん(留学時:新卒入社17年目)
送り出した人 開発本部 エグゼクティブ・エキスパート 根津 幹夫さん

留学前の想い

——まず初めに、他社留学に参加した背景をお聞かせください。
杉山さん(以下、杉山) きっかけとしては、会社側から他社留学という制度があるが参加してみないかと声掛けをいただいたことです。社内で他の方が参加しているのは以前から知っていましたが、まさか自分に声がかかるとは思っておらず、最初は驚きました。しかし、元々「少人数の会社の人事はどのようなものなのだろう?」と興味を持っており、外の世界をもっと知りたいという思いや、自分がこれまで経験してきた環境とは全く異なる規模や業種の中で挑戦してみたいという気持ちが、心のどこかにありました。また、社内にいるだけでは視野や視座が広がりにくいと感じていたこともあり、自分に足りないものや、まだ見えていない課題を知るきっかけにしたいという思いもあり、参加を決めました。
——留学前はどのような気持ちでしたか?
杉山 とても楽しみにしている一方で、正直なところ不安もありました。普段は業務を一人で担うことが多かったので、社内の業務が滞らずに進められるかどうか、心配もしていました。
——他社留学でどのようなことを学びたいと考えていましたか?
杉山 今回の参加を通じて、瞬発力のあるコミュニケーション手法や業務改善の具体的な手法、プロジェクトマネジメント手法を身につけたいと考えていました。また、自分の視座を高めることを意識しながら、幅広いスキルを磨くことで、より効果的に会社に貢献できるようになりたいと思っていました。
(写真右上:杉山様)

専門家として挑み続けた7ヶ月半

——他社留学を振り返って、いかがですか?
杉山 私は人事部門で給与を担当しておりますが、給与業務のみに特化した業務内容となっています。そんな中で、スタートアップのように人数の少ない環境に身を置いたことで、これまであまり関わってこなかった領域にも携わることができました。その経験を通して、人事パーソンとしての視野が広がり、対応できる業務の幅も広がったと実感しています。限られた期間ではありましたが、濃い経験ができたと思っていて、やり遂げたという実感があります。
——最後まで全力で取り組むことができたのですね。
杉山 最後までやり切るために留学期間を延長しましたが、中途半端に終わらせることなく、やり遂げる姿勢で取り組むことができました。求められていた内容に対しては完遂できたと感じています。特に、短時間でアウトプットが求められる場面では、その都度、自分にできる最大限の成果を意識して行動しました。総じて限られた期間ではありましたが、先方の業務に対して一定の貢献はできたのではないかと考えています。
——今回の留学でどのような体験をしたのか教えていただけますか?
杉山 私が留学したガレージバンク株式会社は、IT企業と金融が組み合わさった、いわゆるフィンテック領域のスタートアップです。2020年に設立され、モノ資産の管理・活用アプリ「cashari(カシャリ)」を開発・運営する企業で、個人が所有するモノの価値を簡単に確認し、必要に応じて資金化できる仕組みを提供しています。「cashari」は、スマートフォンで写真を撮るだけでモノの価値を短時間で確認でき、必要に応じて資金化できるサービスです。
私は昨年の8月から今年の3月半ばまで、約7ヶ月半留学していました。担当していたのは人事領域、特に労務まわりです。具体的には、「誕生日休暇」の導入や、勤務体系の変更に伴う手続きの見直し・実施、さらに社内規程の変更対応など、労務に関する細かな業務を幅広く対応しました。

ガレージバンク株式会社:https://www.garagebank.co.jp/

——留学先での皆さんとのコミュニケーションは、どのように進められましたか?
杉山 業務を通じて、人事の専門家として頼っていただく場面がありましたし、ランチや懇親会などを通じて従業員の方々とも交流することができ、信頼関係を構築できたと感じています。留学の後半では、外部との打ち合わせや社内向けの説明など、自分が主導して関係者を巻き込んでいくような場面も多くありました。
——持ち前のコミュニケーション力が活かせたということでしょうか?
杉山 私は、自社内では業務を通じてつながったタイミングで業務の会話をするというやや限定的なコミュニケーションが多かったと思います。そのため、最初はコミュニケーションスタイルの違いに戸惑った部分もありましたが、声をかけてくださる方がたくさんいらっしゃり、周りの方に助けられることも多く、本当にありがたかったです。
——留学中の出来事で、何か嬉しかったことはありましたか?
杉山 誕生日休暇を導入した時のことですが、導入してすぐに利用される方がいて、「ありがとうございます」と直接感謝の言葉をいただけたのが、とても嬉しく印象に残っています。普段プラスのフィードバックを直接いただける機会が少ないので、特に心に残っています。
——留学中、大変だったことはありましたか?
杉山 私は社内で主に給与業務を担当しているため、労務全般の業務は大変に感じました。勤怠管理や年金制度など、他の分野についてはほとんど経験がありませんでした。そのため、年金制度に関する質問が寄せられた際は、知らないことも多く、一生懸命調べて回答するという形で必死に対応していました。大変でしたが、社内で経験していなかった分野にチャレンジできる貴重な機会だったとも感じています。
——今振り返ってみて、心残りや後悔などはありますか?
杉山 求められた業務については、概ね完遂できたと考えています。ただし、自発的な提案や、会社を前進させるための将来を見据えた取り組みについては、十分に行うことができませんでした。たとえば、就業規則の修正といった業務は担当しましたが、会社をより良くするための具体的な改善策を自ら提案するには至りませんでした。改善提案に必要な知識や視点がまだ十分に備わっていなかったためです。今後は、積極的に学びを深め、より実践的で効果的な提案ができるよう努めていきたいと感じました。

モノ資産の管理・活用アプリ「cashari(カシャリ)」 https://cashari.jp/

留学を通しての気づき・学び

——留学を通して、どのような気づき・学びがありましたか?
杉山 これまで社内で担当してこなかった労務や勤怠管理、年金制度といった分野の実務に携わる機会があり、人事パーソンとしての業務の幅が広がったと感じています。また、人数の限られた環境での業務だったため、状況の変化に応じて臨機応変に対応することが求められ、結果として自分の状況判断力や柔軟性が強化されたと実感しています。方針が急に変わるような場面でも、なんとか食らいついて対応しました。自社内でもある程度の変化は経験してきましたが、留学先では変化後のアクションをより迅速に起こす必要があり、「のんびりしていられない、すぐに動かないといけない」という感覚が常にありました。
——留学に参加した動機の一つに、ご自身の課題や改善すべき点を見つけたいということがあったと思いますが、気づきはありましたか?
杉山 自分の課題として、潜在的な問題を見つけ出す「課題発見力」がまだ十分ではないと感じました。表面化した問題には対応できますが、自ら課題を掘り起こして提案する力には、まだ伸びしろがあると認識しています。また、主導すべき場面では自分なりに発信できたと思いますが、全体的には様子を見てしまう傾向があり、もっと積極的に関わる姿勢が必要だと感じました。
また、留学先では、皆さんが常に何気ない会話を交えつつ、自然にやり取りされている印象がありました。私も自分なりにそれを少し真似してみました。とはいえ、もっと相手の懐に踏み込む関わり方や、プライベートな面も含めた関係づくりができたのではないかと感じています。そうした意味では、コミュニケーション面においても、自分には更なる成長の余地があると実感することができました。
——留学先の文化やツールで取り入れたいと思ったものはありましたか?
杉山 留学先で感じたのは、「プロジェクト管理がすごくシステマティックに行われている」ということでした。あるプロジェクト管理のツールが使われていて、そこにすべての情報が集約されており、それさえ見れば、プロジェクトの全体像が把握できるようになっていました。実際に、週次ミーティングではそのツールを見て、「何が進んでいて、何が遅れているのか」を確認されていました。
それに対して、当社では情報が分散しており、例えば「過去のメールを探す」といったような手間がかなり発生していると感じています。そのため、もっとツールを効果的に活用し、DXの取り組みを進めることで、業務の効率化や時間短縮につなげていきたいと思いました。
——今振り返ってみて、今回の留学はご自身のキャリアにどんな影響や意義をもたらしたと感じていますか?
杉山 私は人事の経験が約10年になります。現在の会社は大企業で分業が進んでいるため、人事でも関わる領域が限られていると感じています。私自身も以前は研修、現在は給与を担当しており、その二つの分野しか経験していませんので、あまり幅広く携わることができていませんでした。しかし、今回労務に限定されるものの担当領域が少し広がったことで、人事としてのキャリアにプラスの影響をもたらしたのではないかと感じています。
(留学先の皆様と初詣に神社を訪れ、商売繁盛を祈願)

留学後の成長とこれから

——留学後、どのような変化がありましたか?また、留学中に学んだことで、取り入れたことはありますか?
杉山 仕事のスピードが上がりました。限られた時間内でアウトプットを出すという意識が前より高まったことが影響しているのではないかと思います。また、プロジェクトの管理について、同じツールは使用していないのですが、進め方の一部を取り入れてさせていただいております。
——今後のキャリアについてどのようにお考えですか?
杉山 仕事の幅をもっと広げたいと考えています。これからも人事の仕事を続けたいと思っているのですが、まだ経験していない業務がたくさんありますので、今とは全く違う質の仕事にもチャレンジして、自分のスキルや視野を広げていきたいと考えています。
——今後、どのような人に他社留学に参加してほしいと思いますか?
杉山 もちろん、外の世界に興味があり、チャレンジしてみたいという人は大歓迎です。一方で、外に出ることにあまり積極的でない人もいます。そのような外に出たがらないタイプの人にも、ぜひ留学を体験してほしいと思っています。やはり、外の世界を知ることは本当に大切です。社内にいるだけでは気づけないこともたくさんありますので、是非一歩踏み出して外に出てみる機会を持ってもらえたらいいのではないかと思います。
——留学後に事後研修にご参加いただきましたが、いかがでしたか?
杉山 事後研修では、同時期に終了した他の留学生と交流する時間がありました。他の参加者の意見を伺ったことで、私にはなかった観点に触れることができ、大変刺激になりました。研修中に話題に上がった「心理的安全性」の点については、その重要性や影響について改めて考える良い機会となりました。他の留学生と交流することで非常に貴重な意見を伺うことができたので、参加して本当に良かったと感じています。
<留学先からのコメント> ~ガレージバンク株式会社 代表取締役 山本 義仁様より~
杉山さんは人事領域のプロフェッショナルとして、豊富な知識と高い専門性を発揮され、さまざまな場面で頼りにさせていただきました。当初は慎重に様子を見ながら対応されていましたが、次第に姿勢を変え、実態を踏まえて課題を的確に把握し、不十分な点は着実に整備を進めてくださいました。また、当社の方向性も深くご理解いただき、残されたタスクを完遂するために留学期限を延長してまで対応されるなど、強い責任感を感じました。社内メンバーだけでなく、顧問社労士や業務委託先も巻き込みながら、バランスの取れた行動力で業務を着実に推進してくださった点も非常に心強かったです。
さらに、人事労務の実務を深く掘り下げ、その領域で力を発揮する一方、今回の留学を通じて知識やスキルの幅を広げることにも挑戦され、改めてご自身の可能性を実感されたのではないかと存じます。加えて、留学中に社会保険労務士の資格を取得されたことも大変素晴らしい成果です。すっかりチームに溶け込み、社内外で多くのファンを得ており、弊社としては引き続き留学いただきたいほどの素晴らしい方でした。心より感謝申し上げます。
会社名 株式会社ニフコ
業種  工業用プラスチック・ファスナー及びプラスチック精密成形部品の製造・販売
URL https://www.nifco.com/