事例紹介

株式会社ニフコ×ブルードットグリーン株式会社の導入事例

「全く異なる環境でも自分が貢献できることを一生懸命考え、柔軟に行動することで事業化に成功できた」(職種:商品開発、留学頻度:週1日、留学時:新卒入社20年目)
株式会社ニフコ×ブルードットグリーン株式会社
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目的
新規事業企画・開発の知識と経験の習得、及びベンチャーマインドの習得
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背景
異なる業界や企業を経験できる機会を作り、リーダー人材の育成や外部との協業に関する経験・知見を得て、変革を促進する必要性があった
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効果
実際に新規事業企画を行い、事業化まで進める経験ができた/ベンチャーのスピード感やマインドを体感できた
他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」にインタビュー。留学前、留学中、留学後の想い、そして留学後に何が変わったかについて、体験談を語っていただきます。

今回お話を伺ったのは、株式会社ニフコ。他社留学を経験したのは技術本部 商品開発部 ADAS商品開発Unitの渡邉さんです。留学先はブルードットグリーン株式会社。サステナブル情報開示支援、CO2排出量算定、CO2排出量削減コンサルティング、カーボンオフセット・排出権取引支援対応など、企業の環境経営を支援するベンチャー企業です。留学中は、カーボンニュートラルに向けた事業企画プロジェクトに参画しました。
所属 株式会社ニフコ
留学先 ブルードットグリーン株式会社
他社留学期間 週1日/6ヶ月間(2021年10月~2022年4月)
留学した人 技術本部 商品開発部 ADAS商品開発Unit 渡邉 靖広さん(留学時:新卒入社20年目)
送り出した人 技術本部 商品開発部 シニアプロジェクトマネージャー 根津 幹夫さん

今後のキャリアを考え、事業企画にチャレンジした半年間

――まず初めに、他社留学に参加した背景をお聞かせください。
渡邉さん(以下、渡邉) 今回は自ら応募して参画することが決まりました。私は入社してから、商品設計、商品開発、商品企画・開発という業務経験を積んできたので、今後はそれらのスキルをブラッシュアップしつつ、次のステップとして事業企画・事業開発の専門職を目指したいと考えていました。そこで新規事業の企画プロジェクトに携わることができる他社留学の制度を利用したいと思いました。留学先としては、起業家精神やスピード感を学べるベンチャー企業で、事業化経験がある方と一緒にプロジェクトを進めたいと考えていました。
上司からは違う業界・環境において新規事業開発を経験する事により、ニフコという会社そして自動車業界を俯瞰し、ニフコの将来にとって価値のある商品もしくはサービスの開発に活かせるような経験をしてもらいたいという話もいただき、参加することが決まりました。
――では、実際に他社留学に参加していかがでしたか?
渡邉 半年間、楽しかったです。知らないことばかりの状況から始まったので色々勉強することもあり、CO2関連の知識も得ることができましたし、新たな発見があって楽しかったですね。また、昨今カーボンニュートラルに関して騒がれていますが、劇的に環境ビジネスが動いているというのを体感することができました。他社での力試しも経験することができ、カーボンニュートラルに向けた事業企画をするというミッションも達成できました。とにかく関係した皆さんに感謝です。
――留学中はカーボンニュートラルに向けた事業企画に携わったとのことですが、どのように進めていったのでしょうか?
渡邉 全く知識がないところからのスタートでしたので、まずは地球環境(CO2排出量)と経済活動についての基礎知識を習得するとこから始めました。その中で、カーボンニュートラルに向けて、自動車業界の役割は大きいにも関わらず、具体的な排出量低減対策のために必要な、製品ごとのCO2排出量の把握ができていないことに気づきました。それはニフコも同様だったので、ニフコをモデルケースにして、その後、自動車業界に浸透させたいという思いが生まれました。その上で、ブルードットグリーンの新規事業を企画し、ニフコの製造部署やESG推進室と連携しながら進め、最終的にはLCAのCO2排出量算定ツールの作成とコンサルティングを事業化するところまで進めることが出来ました。

事業化の成功要因と新たな学び・気づき

――事業化まで進められたというのは素晴らしいですね。なぜうまくいったと思いますか?
渡邉 今のニフコのニーズと合っていたということもあったと思いますし、一緒に事業が進めやすい相性の良い会社だったというのもあると思います。ニフコの私の上司も理解してくれていたので、社内の抵抗などもありませんでした。それから、最後の伴走者との面談で「柔軟性がある」という言葉をいただきました。これまでとは全く異なる環境でも自分のやり方に固執せずに当たり前を壊して進めていくことができたので、それもあって事業化まで進めることができたのかもしれません。
今回立ち上げた事業は今後さらに拡大していく可能性があるビジネスだと思っています。ニフコの協力会社にもアプローチしていくことができますし、より拡大していけると期待しています。留学中は、私が自動車業界にいるのでまずはニフコで事例を作るというストーリーを組んで進めました。しかし、留学先のことを考えると他の部品メーカーや同業他社など、もっと顧客を広げられたらよかったです。時間的に難しかったというのもありますが、私が気軽に声をかけられる会社が多くなかったこともあり、もっと人脈があれば良かったなというのは思いました。ただ、それはこれからでもやっていけることなので、今後も留学先に協力していきたいと思っています。
(写真:渡邉様)
――他社留学を通じてどんな学び、気づきがありましたか?
渡邉 今回のプロジェクトでは過去の知識が使えない環境だったこともあり、自分が提供できる価値について考えながら行動する姿勢が身に付いたと思います。留学当初は基本的にわからないことだらけで、「自分ができることは何だろう」と一生懸命知恵を振り絞って考えました。その中で、留学先は自動車業界との接点がないことに気づき、自分が貢献できることを何とか見つけ出して行動に移していきました。そういったことは所属企業の日々の業務の中でも意識していきたいと思いました。
また、今回CO2算定・削減のためのコンサルティングという新たな経験を得ました。ニフコでは、CO2削減を目指す立場だったので、これまでとは異なる立場を経験して多角的な視点が身に付いたと感じています。
それから、今まであまり意識していなかったのですが、社内メンバーを巻き込む活動をしてみて自分が思っていた以上に巻き込み力があることに気づきました。今回色々な方と関わる中で皆さん忙しいにも関わらず協力してくださり、日ごろの行いが良かったのかな、なんて思いました(笑)。
一方で、観察力、洞察力に関してはまだまだ未熟で、物事に対してより意識を向けて、情報を入手し考える癖を身に付けなければならないと感じました。環境に関する知識ももっと身に付けないといけないと改めて痛感しましたし、わかっているようでわかっていないことはたくさんあると気づきました。また、他社留学中は同じ他社留学の仲間と悩みをシェアしたり、助け合ったりといった行動が出来ていなかったこともあり、共創力も課題だと思いました。

組織の違いから学んだこと

――所属企業を外から見ることで、組織について改めて何か気づいたことはありましたか?
渡邉 ニフコは組織が適度に細分化されており、規模感が大きすぎず、小さすぎないので、その分野のスペシャリストがいながらも個人の裁量の範囲も適度に広いという特徴があることに気づきました。また、やりたいことがある場合、それを実現できる風土があることもわかり、外から所属企業を見たからこそわかる気づきを得ることができました。
留学先の良いと感じた点は、今回事業企画をして、それが比較的短期間でブルードットグリーン様の事業として受け入れられ、さらに親会社のエスプール様の経営会議でも了承が得られました。リスクにもよりますが、このような迅速な判断がVUCA時代は求められるように感じました。また、若手社員の勢いも感じることができました。入社間もない中途社員に新事業のリーダーを任せることもあって、若手社員を育てる環境がありました。当社としても、若手社員に責任感を持たせ、自走心を向上させる必要があると感じました。
(渡邉様:写真左)
――留学で学んだことを所属企業でどのように活かしていますか?また、今後に向けて考えていることなどありますか?
渡邉 自分が提供できる“小さなgive”を意識した行動を続けています。具体的には、他社留学を実施している仲間との定期的なコミュニケーションや社内SNSでのコメント等を行っています。また、若手の育成や自走を促す仕掛け作りにも取り組んでいて、社内勉強会の企画・実施を進めています。勉強会では、他社留学先で得られた環境ビジネスの知識の共有と留学先に入り込んだからこそわかったことや苦労したこと、ニフコを巻き込みながら事業化を進めていった経験、そこから得たマインドなど幅広く伝えていきたいです。そして自分が発信したことが徐々に社内に伝染していき、リスクよりも挑戦していこうという意識の改革が進み、より良い組織になっていけばいいなと思います。
<留学先からのコメント> ~ブルードットグリーン株式会社 取締役社長 八林様より~
渡邉さんが当社の新規事業開発に参画してくださったおかげで、今後更なる拡大の可能性がある事業ができ、非常に感謝しています。ニフコ様の現場との橋渡しをしていただき、ビジネスに具体性を付加してくださったことが、渡邉さんが来てくださったことの価値だと思います。また、自動車部品業界の状況を詳しく知ることができたのも弊社にとってメリットでした。
渡邉さんとご一緒させていただき、ニフコ様に対する強い愛が印象的でした。お人柄も良く、理解も早く、柔軟性もあったので、スムーズにプロジェクトを進めることができました。ニフコ様とは今後も会社としてのお付き合いをさせていただきたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。

会社名 株式会社ニフコ
業種  工業用プラスチック・ファスナー及びプラスチック精密成形部品の製造・販売
URL https://www.nifco.com/