事例紹介

株式会社ニフコ×株式会社空調服の導入事例

「ものづくりの本質を再認識し、改めて見えた自社の価値」(職種:生産技術、留学頻度:週1日、留学時:中途入社9年目)
(宮本様:写真中央)
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目的
・自社の強みや改善点を客観的に把握するとともに、他社における意思決定のスピードや方法を学び、判断すべきポイントを理解する
・自身のポータブルスキルを実践の場で試し、通用する点と不足している点を明確にしながら、BtoCビジネスへの理解を深める
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背景
異なる業界や企業を経験できる機会を作り、リーダー人材の育成や外部との協業に関する経験・知見を得て、変革を促進する必要性があった
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効果
・自社の強みを再確認し、これまで当たり前だと思っていたものが、実は価値あるものだと実感できた
・「ものづくりとは何か」という本質に深く触れ、自社とは異なる進め方を学ぶとともに、BtoCビジネスの経験を通じて、消費者目線の重要性を認識した
・自身のキャリアを客観的に見つめ、自分の見せ方や専門性をさらに高める必要性を感じた
他社留学を終えた「卒業生」にインタビュー。留学前、留学中、留学後の想い、そして留学後に何が変わったかについて、体験談を語っていただきます。

今回お話を伺ったのは、株式会社ニフコ。他社留学を経験したのは、生産技術部の宮本さんです。留学先は株式会社空調服です。ファン付きウェアの空調服®の製造・販売を行うメーカーに留学し、商品の企画生産を行う部署で、市場調査や新市場開拓の可能性の提案等を行いました。
所属 株式会社ニフコ
留学先 株式会社空調服
他社留学期間 週1日/ 6ヶ月間(2025年1月~2025年7月)
留学した人 生産技術本部 設備技術部 宮本 尚哉さん(留学時:中途入社9年目)
送り出した人 開発本部 エグゼクティブ・エキスパート 根津 幹夫さん

留学前の想い

——初めに、他社留学に参加した背景をお聞かせください。
宮本さん(以下、宮本) 社内公募に応募した結果、今回のプログラムへの参加が決まりました。以前から興味はありましたが、これまでスケジュールの都合で参加を断念していました。しかし、昨年度参加された同僚の話を聞き、その経験や学びに強く惹かれ、今回応募する決意を固めました。
——どのような点にご興味を持ち、ご参加いただいたのでしょうか。
宮本 社内とは全く違う環境下で、新しい刺激や学びを得られる点が魅力的に感じました。転職して10年近くが経ち、初心を思い出したいという想いもありました。転職活動中に感じていた、不安と期待の中で模索していた感覚をもう一度味わってみたかったんです。新しい風を取り込みたいという思いに加え、純粋に「楽しそう」と感じたことも理由の一つでした。留学前は、楽しみな気持ちがある一方で、まだ実感が湧いていないのが正直なところでした。
——他社留学でどのようなことを学びたいと考えていましたか?
宮本 本プログラムを通じて、自身の業務を他社と比較し、自社の強みや改善点を客観的に把握したいと考えていました。また、他社における意思決定のスピードや方法を学び、判断すべきポイントを理解したいと思っていました。あわせて、自身のポータブルスキルを試す実践の場として、他社でも通用する点とそうでない点を明確にしながら、今後のキャリアや社内の人材育成に活かしたいと考えていました。同時にBtoBビジネスがメインの社内では、BtoCビジネスに関わった経験が少なく、BtoCビジネスについても学びたいと思いました。
——宮本さんは普段どのような仕事をしているのですか?
宮本 生産技術部門にて、自社製品の生産ラインの構想・設計・生産ラインの構築に従事しております。国内工場を中心に生産ラインの構築を経験し、高い品質の実現や、現場に根差した生産性向上や改善活動に取り組んでいます。

空調服®を着て留学先へ!

——どのような企業へ留学したのでしょうか?
宮本 私が留学した株式会社空調服は、「汗が蒸発するときの気化熱で、体温を下げる」仕組み=生理クーラー®理論*を応用し、汗の気化を促進させ、体温と体感温度を下げるウェア、空調服®の製造・販売メーカーです。同社の製品は、夏場の厳しい環境下においても快適に過ごせるよう設計されています。今回の留学では、他業種(自動車関連以外)で、法人向け(BtoB)だけでなく、一般消費者(BtoC)向けの商品を提供している企業を希望していたので、同社への留学を希望しました。もちろん、空調服®という製品に興味を持ったことが最大の決め手かもしれません。
*生理クーラーとは、人間の体に備わった自然の冷却システムです。皮膚が暑さを感知すると、脳が適切な量の汗を計算して汗腺から汗を出します。この汗が蒸発することで体から熱を奪い、快適な状態を保ちます。
——半年間どのようなプロジェクトに携わったのでしょうか?
宮本 まず、空調服®とはどのようなものか、どのような業界で活用されているものかを理解するところから始めました。その上で、ユーザー視点に立った開発をテーマに、留学先での立上プロセスと自社の立上プロセスを比較し、両社の良い点を活かしたものづくりの提案をさせていただきました。また同時に、社内プロジェクトにも参加し、新たな顧客層の開拓や、今までにない空調服®の開発など、半年間という短期間の中で幅広い分野に携わりました。

株式会社空調服:https://9229.co.jp/

——改めて他社留学を振り返っていかがですか?
宮本 社外に出たことで、これまで気づかなかった自社の技術や仕組みが、実は価値のあるものだと実感できました。さまざまな課題も見えてきましたが、その一方で、これまで進めてきた社内の仕組みや方向性は、ものづくりを行う上ではとても重要なことに気づかされました。社内の仕組みやシステムを“あたりまえ”と思っていたものに対して、留学後は「なぜ、そうなのか?」と常に考え、“自分のものにしたい”と思えるようになったこと自体が、私にとって大きな収穫だったと感じています。
——どのような点が大変でしたか?
宮本 全く異なる業界だったので、右も左も分からず、コミュニケーションを取ることが大変でした。私は、空調服®という製品に対して、無知でしたので、「まずは、製品を理解することだ!」と思い、留学先に行くときも、自社の社内でも、プライベートでも、空調服®を着ました。実際に自分で空調服®を着てみると、商品の良さに気づかされると同時に、着用していることで声をかけてもらえるなど、社内のコミュニケーションも自然と生まれました。夏場になると、留学先では、デスクワークでさえも、多くの方が空調服®を着て作業をされています。私自身も製品を理解したことで、自然と同じ服装(スタイル)になったことが、コミュニケーション(一体感)にもつながったと思います。また、業務に関わる話だけではなく、自分のことやふとした“気づき”などを積極的に発信することで徐々に打ち解けることができました。
(宮本様:写真中央)

留学を通しての気づき・学び

——留学を通して、どのような気づき・学びがありましたか?
宮本 原点に立ち返り、ものづくりで本当に大切なことは何かを考えるようになったことが、大きな気づきでした。他社留学を行う前は、ベンチャー企業への留学を通じてスピード感や勢いに圧倒されるという固定概念的な意識がありましたが、今回の留学先は、メーカーだったこともあり、ものづくりが最終的に目指すところには、共通点がありました。「ものづくりとは何か」という本質に深く触れる機会になりました。
——ものづくりの本質に触れて、どのような気づきがあったのでしょうか?
宮本 これまでは、ものづくりには共通した進め方(プロセス)があり、「ものづくりとはこういうものだろう」と当たり前に捉えていました。しかし、それは前職から一貫して自動車業界に身を置いていたため、自動車業界におけるものづくりを基準に、自分なりに決めつけていたのだと気づきました。業種や事業の形態が変わると、ものづくりの進め方や考え方は大きく異なるのだと、改めて実感しました。
自動車業界の強みは、細部まで丁寧に積み上げ、徹底して確認・管理する姿勢にあります。一方で、その強みゆえに、新しいものを生み出す際には制約や難しさも生じます。留学先でユーザーに寄り添うものづくりを経験し、「なぜ自社が選ばれるのか」「どのようにすれば価値のあるものが生み出すことができるのか」を考えることの重要性を改めて実感しました。当社の事業は主にBtoBですが、社員ひとりひとりがその先にいる一般消費者まで意識したものづくりをすることは、会社にとって大きな力になると思います。仕様ありきではなく、当社の強みである提案力を生かし、ユーザーの価値観や使い方を踏まえたニフコでしかできないものづくりが、今後の自分の目指す姿です。
——他に何か気づきはありましたか?
宮本 限られた期間の中で、自身の留学した意味を伝えることの大切さを改めて実感しました。組織規模や社風の異なる未知の環境に身を置く中で、自分の考えや強みをどのように伝えるかの必要性を強く感じました。試行錯誤を重ねる中で、方向性がずれたり、思うように進まない場面もありましたが、最終日の発表では、率直な意見交換ができたことも、私の成果であると感じました。このように率直な意見交換ができたのも、「人と人とのつながりの大切さ」あってのものだと思います。こうしたやり取りを通じて、留学先にも何らかの気づきをもたらすことができれば、私が留学した意味があったんだと思います。
——留学先で、多くの方と関わることができたのでしょうか?
宮本 今回私は企画・生産に関わる部署で業務を行っていましたが、全ての部署の間に立つ部署だったため、さまざまな方とコミュニケーションを取ることができ、非常に良い経験になりました。留学中は集中して業務に取り組む一方で、会社全体を見渡すために、あえて「作り込まない時間」を半分ほど意識的に設けました。その時間の中で、周囲と意見交換をしたり、雰囲気を感じ取ったりする時間を意識的にとっていました。そのおかげか、多くの気づきや学びが得られたんだと思います。
——ご自身で工夫したことが気づきに繋がったんですね。
宮本 自分なりに工夫した点もありましたが、何より社員の皆様と、対面で関わることができ、業務の課題や現場の実態を直接経験する機会をいただけたことが、大きな学びとなりました。このような機会をご提供いただいた留学先の皆様には心から感謝しています。ユーザー目線だけでは見えない部分の専門知識や、普段なかなか触れられない部分まで関われたことは非常に貴重な経験でした。その経験を通じて、「自分が提供できる価値は何か」を常に考えるようになり、毎週、「次は何を提案しようか」と考える習慣が身につきました。
——ご自身の課題に関して何か気づきはありましたか?
宮本 初対面の場で自身を言葉で表現しようとしたとき、自身のキャリアや実績がやや漠然としていることに気づきました。相手に伝わりやすくするためには、何を実績として示すのか、視覚的に見せるのかなど、手段も含めて具体的な内容を基に工夫する必要があると考えています。また、専門性をさらに磨く必要も感じました。社内ではゼネラリストとして幅広い業務に関わることも可能ですが、社外で通用するためには、専門性をさらに高め、自分なりに努力していく必要があると思います。

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留学先との違い

——自社と留学先の違いを感じましたか?
宮本 違いは色々ありました。留学先はファン付きウェアの専門メーカーであり、アパレル業界に近い企業でした。これに対して、当社は多様なものづくりを行い、技術的アプローチを重視する点で、考え方が大きく異なることを実感しました。また、当社は取り扱う商品の特性から設計~製造管理を製品開発前に行っていますが、留学先では「まずやってみる」という姿勢でものづくりを進める場面もありました。顧客の求めるニーズに対して、いち早くキャッチし商品化するスピード感は、こうした進め方の違いから、ものづくりのスタイルが大きく異なることを実感しました。
——進め方の違いというのはどういったことでしょうか?
宮本 当社は戦略が整理され、比較的一方向に机上で製品の開発が進む流れで物事が進んでいます。一方、留学先では製品形状を決定する際は、サンプルの確認等を含めて、試行錯誤が前提となっていました。特にウェアの形状は、実際に着用してみないと分からないことが非常に多く、実験的アプローチの観点では、無駄に見えることも含めて積み重ねることが重要であり、そうしたプロセスを大切にしている点が特徴的でした。実際に社員の方自身が着用試験を行っている姿を見ると、販売されている商品に対しても、努力の成果であることを製品を通じて感じ取れます。
当社は無駄を可能な限り減らし、効率的に物事を進める点では非常に優れています。ただし、工数ばかりを追い求めると、新しいものを生み出す機会も小さくなるのではないかという懸念もあります。工数に縛られすぎず、チャレンジしていくことも重要だと感じました。
——留学先の文化や業務の進め方などで取り入れたいと思ったことはありましたか?
宮本 留学先で、あまり決まりにとらわれず、気になったことを大切にしながら進める柔軟なやり方を見て、自分たちの方法も見直す余地があるのではないか、自由度の高い進め方も取り入れることが必要ではないかと思いました。特に新たな技術を生み出そうとした時、実験的アプローチをすることは非常に重要で、知識や発見が生まれる瞬間でもあります。そのような時間を大切にしたいと思っています。

留学後の変化

——留学後、どのような変化がありましたか?
宮本 今まで以上にものづくりをする上で、人との関わりを意識するようになりました。私の所属している部門は、社内のさまざまな部門や社外の協力メーカーとやり取りをしながら、生産プロセスの構築を進めています。ものづくりを行うために、皆が同じ方向を向いて一つの製品を作り上げるためには、コミュニケーション力はもちろんですが、人との関わりが非常に重要になってきます。社内でもデジタル化が進む中、改めてその重要性を感じています。
——留学中に学んだことで、業務に活かせていることはありますか?
宮本 留学後に異動があり、仕事内容が大きく変わりました。新設された部署で、第三者的な視点から「こうした考え方もあります」と社内に提案し、プロセスの構築をする役割を担っています。異動前に、他社留学という制度を使って、第三者的な視点で関わるプロジェクトに携わることができたため、結果的に現在の業務にも活かせていると感じています。
——留学先とは、留学後も関わりが続いているのでしょうか?
宮本 はい、継続的にやり取りをさせていただいています。先日も展示会で、留学先の皆様とお会いしました。留学を通して、空調服®というひとつの製品に対しての見る目が変わったのは確かです。今までは、「ファン付きウェア=作業服=現場で着るもの」というイメージが強かったですが、実際はそんなことはなかったのです。おそらく、多くの方が同じ印象を持たれていると思います。ものづくりの背景や、実際に体験する機会があったことからこそ、私自身は普段使いのアウターのような存在になり、現在では、数着愛用するようになりました。ぜひ、空調服®を手に取る機会があれば、体験してもらえると、想像以上の快適さや、そのバリエーションの多さにも、きっと驚くと思います。
——他社留学を検討している方に何かアドバイスはありますか?
宮本 今回の越境経験を通じて、視野を広げ、多角的な視点を持つことの重要性を改めて実感しました。全く異なる環境に身を置くことは、自組織や仕事の進め方を見直すきっかけになると強く感じています。だからこそ、幅広い年齢・役職の方に他社留学に挑戦してほしいです。
当社の場合、自身の業務に満足し、現状に困っていない方もいるため、社外に出る必要性を感じていない人もいると思います。しかし、今後を考えると、異なる視点や価値観を取り込むことは非常に重要です。「業務が忙しくて難しい」という方もいるかもしれませんが、実際に他社留学を始めてみると、当社は仕組みが整っているため十分に実現可能でした。私は留学期間中に育休を取得しましたが、会社の業務は滞りなく回り、留学先の理解も得て取得できました。誰かが不在になることで業務の見直しや効率化のきっかけにもなり得ると考えています。多くの方に挑戦をしてもらいたいです。
※「空調服」は、㈱空調服の特許及び技術を使用しています。
※「空調服」は、㈱空調服のファン付きウェア、その附属品、及びこれらを示すブランドです。
※「空調服」「DC空調服」ロゴは、㈱空調服の登録商標です。
<留学先からのコメント> ~株式会社空調服 代表取締役社長 市ヶ谷様、部長佐藤様より~
品質管理や製造プロセスに対する宮本さんの徹底的に向き合う姿勢には、見習うべき点が多くありました。その視点を通じて、当社が普段気づきにくい製造や品質の課題が明確になりました。また、高い専門性は、社員にとって大きな刺激となりました。特に対話を重ねる中で、品質そのものだけでなく、考え方やアプローチの仕方、物事を順序立てて進める方法を学ぶことができました。さらに、留学後には、ご自身なりの「気づきメモ」を提出していただくなど、当社にとって有益な提案を自主的に行い、随所で+αの行動を発揮されていたと感じています。非常に満足度の高い経験となりました。誠にありがとうございました。
会社名 株式会社ニフコ
業種  工業用プラスチック・ファスナー及びプラスチック精密成形部品の製造・販売
URL https://www.nifco.com/