事例紹介

京王電鉄株式会社×株式会社A.L.I. Technologiesの導入事例

「職場や仕事のやり方を見直す機会になり、充実した3ヶ月を送ることができた」(職種:保守管理、留学頻度:週5日、留学時:新卒入社4年目)
京王電鉄株式会社×株式会社A.L.I. Technologies
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目的
DX・最適化技術に関する知識や業務の進め方について学ぶ
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背景
異なる業界や企業を経験できる機会を作り、リーダー人材の育成や外部との協業に関する経験・知見を得て、変革を促進する必要性があった
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効果
仕事の調整の仕方が変わった/スケジューリング、案件管理、コミュニケーションツールなど自分の職場、自分の仕事のやり方を見直すことができた
他社留学を終えて元の職場に戻った「卒業生」にインタビュー。留学前、留学中、留学後の想い、そして「留学後に何が変わったか」について、体験談を語っていただきます。
今回お話を伺ったのは、京王電鉄株式会社。他社留学を経験したのは、車両電気部の宮園さんです。留学先は株式会社A.L.I. Technologies。ドローン・AI・ブロックチェーンなどの先端技術を活用した自社ビジネスの開発及び、大手企業様と次世代ビジネス開発における協業を行うベンチャー企業です。留学中は、仙台市のBOSAI-TECH事業に関わるプロジェクトに参画しました。
所属 京王電鉄株式会社
留学先 株式会社A.L.I. Technologies
他社留学期間 週5日/3ヶ月間(2022年1月~2022年3月)
留学した人 車両電気部 宮園 朋菜さん(留学時:新卒入社4年目)
送り出した人 車両電気部富士見ヶ丘検車区 矢島 隆之 検車区長(直属の上司)
人事部 人事担当 諸角 晃 課長補佐(人事制度の窓口)

初めての業界・業務に自ら手を挙げてチャレンジ

――まず初めに、他社留学に参加した背景をお聞かせください。
宮園さん(以下、宮園) 今回の他社留学は、社内の公募制度に応募して決まりました。以前から他社留学には興味があったのですが、社内の制度的に異動が条件になっていたので応募しませんでした。今回の公募では部署を異動せず、今の部署のままで留学できるようになったので、是非この機会にチャレンジしてみたいと思い手を挙げました。元々新しいことを始めるのが好きですし、興味を持ったことはどんどん調べたりするタイプなので、向いているのではと思っていました。
――実際に留学して、いかがでしたか?
宮園 留学はとても満足度の高いものでした。案件を任せていただき自分のやるべきことが明確になっていたので、充実した3ヶ月だったと思います。留学前は、鉄道関連の知識を活かしてほしいということで留学しましたが、実際は鉄道関連の知識というよりは、所属企業での仕事のやり方をそのままプロジェクト推進に活かすことができました。
この3ヶ月は自分の職場、自分の仕事のやり方を見直す機会になりました。これまで気づかなかった仕事を進める上での無駄な時間に気づきました。個人だけでなく、職場の雰囲気や仕事内容にもよるものだと思いますが、京王電鉄ではスケジュールをかっちり決めて物事を進めるよりも、それぞれの作業の進め方等の様子を見ながら、その場の状況に応じて物事を進めていました。人によって作業の量やペースが違うので、余裕を持った時間設計をする癖がついており、空いた時間、余った時間を無駄に流してしまっていたと振り返ることができました。
――留学中は仙台市のBOSAI-TECH事業に関わるプロジェクトに参画したとのことですが、実際どのようなことをしたのでしょうか?
宮園 今回は仙台市の事業のプロジェクトマネージャーを任せていただきました。具体的には港湾施設で災害が発生したと想定し、ドローンを遠隔で飛行させることで作業員の安全を確保しつつ、確実な初動対応の実現を目指しました。プロジェクトを実施するにあたって、ドローンやオペレーターの手配、飛行するために必要な手続きや連絡等、様々な業務を経験しました。
初めての業界、業務ではありましたが、A.L.I. Technologies、港湾事務所、仙台市で連携することで、プロジェクトを形にすることができました。最終的に、仙台市が掲げていたイノベーションプログラムを期限内に達成でき、ニュースリリースとしても取り上げていただいたため、大きな成果を残すことができたと思います。プロジェクトマネージャーとしてのような結果を残すことができたのは、私一人の力ではなく、色々な方に支えていただいたおかげです。また、京王電鉄の別部署に対して、A.L.I. Technologiesのドローンを紹介できた一方で、留学期間中に何か形にするところまではできなかったのでその点は心残りでした。

「仙台BOSAI-TECHでのドローン運航管理システム「C.O.S.M.O.S.」を活用した実証実験」
  詳細はこちら→https://ali.jp/2022/03/31/9421/

(宮園様:写真右から3番目)

良い関係性を作りながら、自分の強み・課題に気づいた3ヶ月

――留学先でのコミュニケーションや関係性はいかがでしたか?
宮園 そうですね、今回プロジェクトマネージャーを任せていただき、留学先の社内だけでなく関係機関と連携してプロジェクトを達成できすることができました。プロジェクトマネージャーとして一つの大きな案件を任せていただいたことによって、誰が何の仕事をしているか全体が把握できましたし、自分が何をしないといけないかが明確になりました。その結果、「自分がこれをやるから、○○さんはこれをお願いします」と明確に依頼することができ、その積み重ねにより信頼関係を作ることができたと思います。
――この留学を通して改めて気づいた自分の強みは何ですか?
宮園 協調性でしょうか。今回プロジェクトマネージャーを任せてもらったので、全員で協力して進めていきたいと思っていました。「置いてけぼり」になるメンバーが出ないよう、全員が納得してから進むことを意識していました。京王電鉄でも一番意識している部分だと思います。
あとは、考えながら行動するという点でしょうか。これは元々私の個性ではあるのですが、留学前は企業の風土や環境の影響もあり、十分に考えないで行動することは会社にとってリスクであり、自分の短所であると思っていました。しかし、留学先では常に会社の成長が期待され、考えている間に同業他社に先を越されてしまうことが多々あるため、「こうしたい」と思ったことを素早く実行に移すことは必ずしも短所ではないことがわかりました。所属企業への事業提案や、親和性の高い企業・自治体への新規営業など、自分がやってみたいと思ったことを実行することで考えながら行動する能力を再認識することができました。
――では、逆にこの留学を通して再認識した自分の課題はありましたか?
宮園 課題としては、スケジューリングです。タスクが溜まってきた際に新たなタスクが加わると、タスクの追加を失念したり、新たに加わったタスクの方が重たくて、そちらに気を取られ、やりかけの仕事を忘れてしまったりしたことがありました。課題として浮き彫りにはなりましたが、留学をすることでスケジューリングをしっかり行わないと物事がスムーズに進まない環境に入ったからこそ気づくことができたので、今後のキャリアにとっては良かったと思います。

留学で学んだことを積極的に所属企業に取り入れる

――この留学を通して一番何が変わりましたか?
宮園 仕事の調整の仕方が変わりました。これまで京王電鉄では、仕事でわからないことがあったときは周りにすぐ聞くことができたので、どのタイミングで聞くかなど時間を意識したことはありませんでした。しかし、留学先では質問したい人が自席にいないことも多かったので、事前にその方のスケジュールを調べて時間を取ってもらい質問するようにしていました。所属企業に戻ってからもこのやり方を続けています。
(写真:宮園様)
――留学後、他にも継続していることはありますか?
宮園 留学中はスケジュール管理にOutlookを使っていたのですが、それを留学後も続けています。留学前は、一日のスケジュールを朝の会議で共有したり、ボードに書いたりしていたのですが、周りの社員と細かいスケジュールを共有していなかったために想定外のスケジュールを入れられてしまい予定通りに仕事を進めることができないことがよくありました。そのため、Outlookを使い周りと詳細なスケジュールを共有することで、以前に比べてスケジュール通りに仕事ができないことが減ってきたように感じます。
それから、留学中は一週間に一回、週報を作成して、案件の進捗状況などを書いていました。これを留学後も継続しています。どこの会社でも異動する前に引き継ぎ資料を作成すると思うのですが、異動直前になって一から作成すると手間もかかりますし、引き継ぐべき内容がすべて網羅できません。例えば、過去に起きた問題について記載しようと思うと、議事録がないので過去のメールや打ち合わせ資料を探ってみますが、結局追い切れずに当時の情報を正確に伝えることができません。私の仕事を引き継ぐ人がスムーズに仕事内容をキャッチアップできるよう、しっかりと週報を作成し記録を残すことで引継ぎ資料の作成にも活かしたいと思っています。
――留学中に良いと思ったことを留学後も継続できているのですね。
宮園 そうですね、良いと思ったものは取り入れて、継続するようにしています。他にも、コミュニケーションツールについても見直しを行いました。今の職場では、ツールとして電話をメインに使っていますが、電話で大事な話を30分以上することもあります。留学して初めて、それが電話回線を一つ使えなくしてしまい、他の人が使いたいときに使えない状況を生み出していることに気づきました。また、電話だと資料共有ができないために資料共有が必要な場合はMicrosoft Teamsなどのツールを使った方が効率的であることに気づきました。
これまでもメーカーとの打ち合わせ時などはMicrosoft Teamsを使っていましたが、それ以外の場合でも使った方がいいと思ったので、留学後からは電話以外のツールを使うように心がけています。
留学から戻って数ヶ月経ちますが、留学で学んだことを会社の雰囲気にのまれずに継続していくことが重要です。もちろん私の力だけで会社を全部変えたいとは思っていませんが、自分が少しずつ変わっていって、留学を通して変わったことを維持する、その結果、周りの人が「もしかして宮園さん、仕事のやり方が変わったんじゃない?」「その仕事のやり方いいんじゃない?」と気づいてくれて、それを真似してもらえたらいいなと思っています。
――他社留学をどんな人に勧めたいですか?
宮園 「この職場でずっと働き続けていいのか確信が持てない方」にお勧めしたいです。私は京王電鉄で先輩方と同様のキャリアステップを辿ってきただけなので、果たして企業に貢献できているのかぼんやりとした不安がありました。しかし、今回他社留学をすることで、留学自体が一つのステップとなり、私のキャリアにおける大きな変化になりましたし、誇れるキャリアが増えました。
また、「自分の働き方に自信がない方」にもお勧めしたいです。京王電鉄では、私自身が現場の経験が少ない状態で現場を統括する立場になったので「この進め方でいいのだろうか」「現場でフラストレーションが溜まっていないか」など心配に思うことがありました。しかし、留学中に他の会社で知らないメンバーと問題なくプロジェクトを進めることができたので、今の自分のやり方でいいと自信がつきました。
――最後に、伴走者のフォローはいかがでしたか?
宮園 一週間に一回、フィードバックがあったので随時軌道修正することができ、非常に助かりました。伴走者がいなかったら自分が良いと思う方に突き進んでいくだけで、結局これでよかったのかな、とモヤモヤして留学が終わってしまったと思います。伴走者から「これはいいよね」「これはもう少しだね」とフィードバックをいただくことで自分を振り返るきっかけになりましたし、プロジェクトを進める上でのアドバイスをいただくことができ、安心して進めることができました。
<留学先からのコメント> ~株式会社A.L.I. Technologies 樽田様、徳永様より~
ドローン業界という異質で且つスタートアップというあまりにも環境の違う中にも関わらず、キャッチアップをしようとする前向きな姿勢やチームビルディングをしていこうとする意識が高く、コロナ禍という環境の中でも自社のコミュニケーションツールを積極的に活用し、早期に組織の中に順応していました。
粗い業務の依頼の仕方でも、意図を丁寧に汲み取り、能動的に動いてもらえ、理想的な動き方をしてもらえたと思います。結果として、最終日にはメンバー全員が宮園さんに残ってもらいたいと思うぐらい素晴らしい活躍をしていただき、本留学制度には大変満足しています。また、宮園さんの公共事業を担う会社で培われた責任感、仕事の向き合い方はお手本にすべきもので、我々にとっても非常に勉強になりました。
また、当社の社員はドローンに興味のあることが前提に採用されていますが、その中で宮園さんのようなキャリアの方がパフォームしてくれたことは、今後の採用等に関しても考えさせるものがありました。3ヶ月間ありがとうございました。
会社名 京王電鉄株式会社
業種  鉄道事業、土地・建物の賃貸業・販売業など
URL https://www.keio.co.jp/