【開催レポート】プロボノ活⽤で企業はどう変わるのか?〜地域企業の成⻑事例とポイント〜

2025年6月30日(月)、愛知県豊橋市にて「東三河発!志あるプロフェッショナルとの共創 ~地域企業が変わる!外部人材活用の実例とヒント~」セミナーが開催されました。
第一部では、当社取締役である高橋による基調講演『プロボノ活用で企業はどう変わるのか?~地域企業の成長事例とポイント~』が行われ、プロボノの基礎から具体的な活用事例、実践の流れまでが紹介されました。
「外部人材の活用」と聞くと、契約やコスト、マネジメントの難しさをイメージする方も多いかもしれません。そうした課題を乗り越える手段としての「プロボノ活用」の可能性を示し、地域企業の成長に役立つ新しい取り組みの形を紹介しました。
今回の記事では、第一部の基調講演の内容にフォーカスしてお届けします。
エッセンス株式会社 取締役 高橋 正明
1996年、大手テレマーケティング会社に入社。新規事業責任者、マーケティング部門責任者、経営企画局長を歴任。新規事業の立ち上げ、アライアンス、M&Aを主導。ネット系マーケティング会社への資本参加、大手広告代理店との合弁子会社立ち上げプロジェクトを担当、両社の取締役を兼務。2011年よりエッセンス株式会社に参画し、研修部門を統括している。
基調講演
「プロボノ活用で企業はどう変わるのか?~地域企業の成長事例とポイント~」

【要約】
プロボノは、専門スキルを活かして社会課題や地域課題に貢献する活動で、働き方やキャリアの多様化にもつながります。受け入れ企業は、優秀人材を低コストで活用でき、大企業社員の知見やネットワークも取り入れられます。テーマは事業・サービス、人事制度・働き方、Web・EC等の作成・見直しなどで、アイデア出しや調査・企画書作成、試行・実行が中心です。活動はオンラインで週1回2時間、約40日間、異業種チームで企業経営者と協働します。プロボノをきっかけに、外部人材活用を始めてみませんか。

■新しい仕事文化をつくる、エッセンス株式会社
東京・日本橋に拠点を置くエッセンス株式会社。「新しい仕事文化をつくる」をミッションに、企業と個人がより良い関係を築けるような仕組みづくりを進めています。当社では、企業に勤める個人が他社で経験を積む「他社留学」や、専門スキルを活かして社会貢献に参加する「プロボノ」など、キャリアの新しい形を提供しています。

■外部人材活用のリアル—理想と現実のギャップ
外部人材とは雇用関係を結ばずに、業務委託などで活用する人材のこと。フリーランス・副業/兼業人材などを指します。セミナー冒頭では、外部人材を活用するうえでの難しさについて率直に語られました。
「力量や相性をどう見極めるか」「報酬をいくらに設定するか」「契約・情報管理の難しさ」「テレワークでの管理をどうするか」「成果をどう評価するか」など悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そこでエッセンスでは、「まずはプロボノから始めてみませんか」というアプローチをご提案しています。

■プロボノとは?
「プロボノ」は、ビジネスパーソンが自分の専門知識やスキルを活かして、社会課題の解決や地域活性化に貢献するボランティア活動を指します。副業よりも参加しやすく、働き方の多様化やキャリアの再発見にもつながるとして、近年注目を集めています。
(参考:当日講演資料)
■プロボノを活用する企業側のメリット
プロボノを導入することで、企業にはさまざまなメリットがあります。
・優秀人材をコストを抑えて活用できる
・大企業人材のネットワーク・知見を活用できる
・自社サービスのファンや継続的な関係性を築ける

大手企業の社員は研修として参加するので、費用は受入企業ではなく、大手企業が負担します。そのため、受け入れ企業は無料でプログラムに取り組むことができ、仲介費用は一切かかりません(※他の事業者では費用が発生する場合があります)。

■参加者の傾向:意識の高い「もやもや層」が中心
当社のプロボノプログラムには、年間200〜300名が参加しており、これまでの7年間で多くの大手企業社員が参加してきました。これまでの傾向として、意識が高くビジネス経験豊富な、優秀なモヤモヤ層が多い印象です。参加者は、「自身のスキルが社外で通用するか腕試ししたい」「自分のスキルを社会に活かしたい」「新しい働き方を試してみたい」などと考え、参加されています。

■プロボノを成功させるコツ―使いこなすテクニック 
・専門家が来るわけではない―ビジネスの基礎力や生活者として、という視点を期待
オンラインでの活動が多いので、できることが限られる。
・参加者は「社会課題の解決」「地域課題の解決」をお手伝いしたいと思っていることが多いので、課題をどう見せるかがポイント。
経営者の熱をどう伝えるかも腕の見せ所(想いがブレていたり、覚悟が弱いと応募者がないことも)。
・手間はかかる。協働していくイメージ(丸投げはNG)。

■ おすすめテーマの例
事業やサービス、人事制度や働き方、広報・SNS・Web・ECなどを作ったり見直したりするための
・アイデア出し
・調査・リサーチ
・企画書作成
・試行・実行
といった取り組みでご活用いただくことが多いです。参加者の専門性・知識・経験よりも、「好奇心」「主体性」「行動力」を活かせるテーマが効果的です。
(参考:当日講演資料)
■活用事例
奄美サンファーム様(鹿児島県)
見た目の問題で販売に苦戦していた農場に対し、プロボノチームがマーケティング支援を実施。40日間の活動で販路拡大を目指し、最終的には大手高級スーパーでの採用が決まりました。

ロスゼロ様(大阪府)
食品メーカーの余剰在庫を扱う企業に対し、事業性と社会性の両立の追求および営業スキームの構築を支援しました。結果的に、大手商社の売店での実証実験につながるなど、企業間連携のきっかけを生み出しました。
いずれの事例も、企業が抱える課題を“社外の力”で解決へ導いた事例です。

■活動の流れと進め方
エッセンスのプロボノプログラムは原則オンラインで実施。
・週1回・平日夜に2時間のミーティング
・活動期間は約40日間
・3〜5名の異業種チーム体制で実施
受け入れ先企業の経営者と協働
参加者はマッチングセミナーで企業のプレゼンを聞き、希望に基づいてチームが結成されます。実際の活動後にはオンライン報告会を行い、成果共有とフィードバックを実施します。
(参考:当日講演資料)
■これからの外部人材活用に向けて
2025年は年間5回のプログラムを開催しています。愛知プロ拠点など地域連携を進めながら、さらなる展開を目指しています。最後に、
「まずはプロボノをきっかけに、外部人材活用を始めてみてはいかがでしょうか」と呼びかけて締めくくりました。

【関連情報】
・エッセンス プロボノプログラム紹介ページはこちらから
・プロボノ活動者インタビュー/プロボノ受け入れ企業インタビューはこちらから