Original

【レポート①】「週4東京、週1地方」兼業で始める、新しい地方創生

次回の記事⇒【レポート②】「週4東京、週1地方」兼業で始める、新しい地方創生

 

2017年8月7日、freee株式会社本社のセミナースペースで『「週4東京、週1地方」兼業で始める、新しい地方創生』と銘打ったイベントが開催されました。

 

こちらのイベントは、株式会社Ridilover、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点、エッセンス株式会社の4社が集まり、「週4東京、週1地方」という新しい働き方を提案するというイベント。

 

イベントには、地方企業での兼業に興味のある方が数多く集まり、地方で兼業を行うための手段やメリット/デメリット、注意点などに耳を傾けました。

 

今回は、イベントに参加できなかった方のために、、イベント前半の各社プレゼンの様子をお届けいたします。

 

社会問題の現場に実際に訪れる「スタディツアー」

プレゼンのトップバッターを務めたのは株式会社Ridilover 代表取締役社長 安部 敏樹氏。

 

同社は社会問題の現場を実際に訪れる「スタディツアー」の開催や、社会問題に関するメディアを運営しており、社会問題に「無関心」の人や、「関心」はあるけど関わり方が分からない人と、社会問題の現場を結ぶ橋渡しの役割を担っている会社です。今回は、安部氏のお話から、社会課題が解決されない理由や地方への移住・定住についてまとめました。

 

社会課題が解決されない3つの壁

社会問題が解決されない理由は3つあります。

まず1つ目は、皆さんが社会問題に対して興味がないということです。2つ目は、可視化されてないということ。そもそも見えないものは解決できるわけがないんですよね。3つ目は、関与の仕方がよくわからないということ。例えば、ホームレスの方がいたとして、いきなりその方に話しかけて飲みに行こうよという風にはならないじゃないですか。

【社会課題が解決されない3つの壁】

理由① 興味の壁 そもそも関心がない!

理由② 情報の壁 社会問題の情報が一括化されていない!

理由③ 現場の壁 社会問題の現地に行くすべがない!関与の仕方がわからない!

社会課題は当事者だけでは解決できない問題であり、非当事者がこの問題に対していかに関わるかが重要であるにも関わらず、この3つの壁が取り払われないことで解決されない場合が多いのです。

株式会社Ridiloverでは、この3つの壁を取り払うためにスタディツアーの開催やメディアの運営を行っています。

 

自治体への移住・定住

自治体も、移住者・定住者がもたらす地方への経済効果を重視するようになりました。最近では、自治体から移住・定住を促すためにはどういったことが必要かというご相談も多く、「地域の課題解決ができる人をいかに集めるか」というような視点でスタディツアーを企画しています。20人のツアーで地方を訪れると、1年後には何人か移住しているという現状もあり、知ってもらうことから移住までを含めて、スタディツアーで実現できていると言えます。

例えば、広島県府中市では家具職人の後継者が不足しているという課題があり、その課題に対して、広島県府中市に家具つくりを学びに行くスタディツアーを企画しました。

ツアーで連れて行くことで移住・定住も起こりますし、地域の後継者不足を解消することにもつながっています。

 

企業からの社会課題解決

最近では企業にスタディツアーを利用していただく機会も多くなってきました。企業にとって社会課題は、いわゆる「ブルーオーシャン(競合相手のいない領域)」なんです。社会課題にはビジネスとして事業化できる領域がかなり多いんです。企業は社会課題を解決するための先行投資の予算も持っているし課題解決能力も高い。ただ、社会課題の現状を理解している人が社内にいない場合が多いため、事業化の手前で諦めている。なので社会課題を理解している人を社内で作るお手伝いもしています。

社会課題は、一人一人が関わらないと解決しない問題です。個人として関わるか、企業としてかかわるかなど、様々な関わり方はありますが、ビジネスとしてならばきちんとマーケットもついてきています。まずはビジネスについて考える一歩手前として、実際に現場を見て、社会課題を知っていただくことが重要だと思っています。

 

鳥取に副業・兼業人材を

2番目に登壇したのは、とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点の戦略マネージャー松井 太郎氏。

 

とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点とは、県内の中堅・中小企業が販路開拓や海外展開、事業承継の取組みなどを行う際に、新たな成長に向けて必要な人材ニーズを明確にし、それを実践できる「プロフェッショナル人材」の活用による成長戦略の実現をサポートする事業です。松井氏のお話から、地方で副業・兼業を実現する上でのポイントとメリットについてまとめました。

 

プロフェッショナル人材戦略事業とは

プロフェッショナル人材戦略事業とは、鳥取県が27年11月に内閣府に委託されて設置したのですが、要は国の地方創生の事業で、地域企業の経営課題を解決する人を都会から地方へ連れて来ようというものです。

プロフェッショナル人材というと、超ハイスキル人材を創造すると思うんですが、そうではなくて、「おおむね3~5年一つの仕事についていて、一定のスキルを持っていて、一つの仕事を完結できる人」のことを指します。我々はそのような方が鳥取に来てくれるよう、人材紹介会社と連携し、地元企業に紹介するというようなことを行っています。プロフェッショナル人材拠点は東京以外の46道府県にあり、同じ目的で活動しています。

 

地方企業に必要なのは寄り添って一緒に考えることができる人

 

この表は、私が実際に鳥取の企業の社長に提示するものです。「どんな人材がいたら思い描く会社になりますか」と問いかけるもので、これを見ると地方企業は人材に困っているというのがわかってもらえるのではないでしょうか。

私はこの図をもとに、「どんな人材が必要なのかを一緒に考えましょう」と言うようにしています。新規事業を立ち上げられる人材が欲しい、販路拡大ができる人材がほしいと言っている社長の話を聞いているうちに別のところに課題が見つかることも多いです。

 

地方で働くことのポイントとメリット

地方企業と協働する上では、寄り添って一緒に考えるということが重要になります。これは重要なポイントで、兼業・副業として地方で働くのであれば、めちゃめちゃ高いスキルがなくてもいいと思っています。経営者の悩みに寄り添うことができるかどうかの方が重要ということです。また、無理やり寄り添うのではなく、自分にできる形で、いろいろな経営者の話・お悩みを聞ける、そんな人が向いているのかもしれません。

また、地方は、マスコミや行政との距離が近いと感じます。私の人生でこんなに取材を受けたことはないんじゃないかというくらいです。今後の自分のPRにもなります。

 

プロフェッショナル人材で地方創生

3番目に登壇したのはエッセンス株式会社代表取締役 米田 瑛紀氏。

 

エッセンス株式会社は、企業の経営課題に対してビジネスのプロフェッショナル人材を紹介する「プロパートナーズ」というサービスを展開しており、とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点とも連携して鳥取県に人材を送り出すことで地方創生を行っているとのこと。米田氏のお話から、エッセンス社の地方創生についてまとめました。

 

エッセンスとプロパートナーズについて

エッセンスは、「新しい、仕事文化をつくる」というミッションのもと、企業に対しては「雇用から活用へ」、個人に対しては「自立した生き方を」というメッセージを発信しています。エッセンスでは、主にプロパートナーズという事業で地方創生を推進しています。「プロパートナーズ」とは、特定分野に特化したビジネスのプロフェッショナル人材を企業の経営課題に応じて紹介するサービスです。現在、1000人のプロフェッショナル人材がプロパートナーズに登録しており、500件以上の紹介実績があります。

最近では、各道府県のプロフェッショナル人材戦略拠点と連携し、地方企業にプロフェッショナル人材をご紹介する例が増えてきました。先ほどお話をいただいた、とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点とも連携した例についてご紹介します。

 

自社製品の販路拡大にプロの力を

鳥取県のハンドバッグメーカーにプロ人材を紹介した事例です。

このハンドバッグメーカーは、売り上げの大部分をOEMに頼っていました。自社製品も製作していましたが、販路の拡大に課題を抱えていました。そこで、元大手IT企業でWEBを担当していたWEBマーケティングのプロをご紹介しました。そのプロは東京在住でしたので、東京からのテレビ電話会議や出張での会議参加を行い、自社ECサイトの改善やファッションWEBメディアとの連携を行いました。結果として、ECサイトの流入数も売り上げも上げることができました。

 

ベンチャー留学で地方企業に貢献する

今年の3月にベンチャー留学研修サービス「ナナサン」という事業を立ち上げ、現業を続けながら、「研修」として、大手企業の幹部人材をベンチャー企業で留学させるサービスを行っています。最近では、地方のベンチャー企業に人材を送り込むケースも出ており、大企業の人材が地方で活躍できる仕組み作りに取り組んでいます。東京の企業から地方企業に留学し、腕試しすることで、喜んでもらう。これは、東京で成果を出すよりもやりがいもあるし、自信もつくと思います。

 

フリーランスの「ちょうどいい移住」

4番目に登壇したのは一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事 平田 麻莉氏。

 

フリーランス協会とは、誰もが自分らしく働ける社会の実現と、フリーランスが創る新しい共助のかたちを目指して活動している非営利団体で、2017年1月に設立されました。現在は、メルマガ会員3100名、賛助企業57社を抱え、プロボノ的に参画する運営メンバーによって運営されています。今回は、平田氏のお話から、フリーランスを取り巻く環境とフリーランス協会の活動、地方創生とフリーランスについてまとめました。

 

フリーランスを取り巻く環境

2017年、日本全国にはフリーランス人材(副業・兼業人材も含む)が1122万人いるという調査結果が出ました。

(出典:「フリーランスに関する実態調査 2017」 ランサーズ株式会社 調査時期:2017年2月14日~18日  ※昨年は2016年2月14日~18日)

その背景には、クラウドソーシング、シェアリングエコノミー、人材紹介会社といった様々なマッチングサービスの人気があり、今後もフリーランス人材は増えることが予想されます。内閣府、経産省、厚労省もこのような動きを後押しするような動きを見せており、「フリーランスの職種の多様化」と「雇用形態のグラデーション化」がトレンドとなっています。

フリーランスというと、これまではクリエイターやライター、カメラマン、エンジニアなどが主流でした。しかし、最近では、広報や財務、人事、営業といったビジネス系のフリーランスやネイリスト、ハウスキーパー、ハンドメイド作家といった職人系フリーランスが活躍できる時代となりました。雇用形態についても、10年前は会社員として培ったスキルやネットワークを使って「独立するぞ!」と気合を入れて独立する人が多かったのですが、今はインターネットで登録するだけで簡単にフリーランスになることができ、会社員を続けながらフリーランスとして仕事を受けることもできるようになりました。これを、我々は雇用形態のグラデーション化と呼んでいます。

それに伴い、フリーランス人材の抱える課題も多様化・複雑化しています。今、フリーランスという柔軟な働き方を希望する人が増えていますが、様々な課題があり踏み出せない・続けられないという人が多いのも事実です。私自身も、成り行きでフリーランスになって以降、この働き方がとても気に入って続けているのですが、日本の会社員中心に設計されている社会で規格外だなと感じることがあるのも事実です。

多くの方がよく口にするのは、仕事の獲得の不安です。これは、様々なサービスの出現で解消されつつあります。次に、ネットワークの欠如。フリーランスは一人で働くと思われがちですが、ネットワークがとても重要です。同じ職種ごとに切磋琢磨してスキルアップする場や、異業種でチームを作って大きな仕事を取るといったこともあります。病気やケガの時に代わりがいないので、緩やかなユニットを作って仕事を融通しあうということもネットワークがなければできません。また、社会的な信用が薄いという問題や、社会保障についても、保活が不利になるなどの問題。医療・賠償責任が生じた時のリスクや、キャリアアップ、不慣れな確定申告など、様々な問題が叫ばれています。

 

フリーランス協会がやっていること

フリーランス協会は、ワーカーが主役の、ゆるやかでオープンなプラットフォームを目指し、主に3つの活動をしています。

1つ目は、互助の場づくりです。例えば、イベントを開催して、コミュニティ形成を促したり、キャリアアップ、スキルアップのためのセミナーや勉強会を開いたりしています。

2つ目は、共助の仕組みづくりです。ベネフィットプランというフリーランス向けの福利厚生プランを発表しました。

3つ目は、公助への働きかけです。フリーランスの方やフリーランスを支援する企業の方から集まった声をまとめて、政府のヒアリングに回答したり、自治体と連携したりという活動をしています。

協会では、問題意識を持つ人が自由にプロジェクトを動かしている状態で、フリーランスの実態調査や、企業に対する副業推進、保活の多様化に向けて動いているプロジェクトなど、様々なプロジェクトが進行しています。そのプロジェクトの一つで、今回のテーマでもある地方創生についてお話します。

 

地方創生とフリーランス

フリーランス協会には、地方創生プロジェクトがあります。これは、プロフェッショナル人材の知見やスキルを地方に移転しようというものです。場所にとらわれずに働けるというのがフリーランスの魅力の一つであり、これが東京一極集中を避ける切り札になるのではないかと、私は考えています。

先日、「ちょうどいい移住を探そう」というテーマで、「local next.. 」というイベントを開催しました。このイベントのFacebookページには450名以上のイイネ!が集まり、移住に関心がある人が多いのだなと感じました。私自身も地元福岡に戻りたいとは思いますが、東京で培ったキャリアやネットワークをすべて捨てて地方の地場企業に戻るというのは、私にとっても夫にとっても、とてもハードルが高いと感じますし、周りにもそのように思っている人がたくさんいます。

しかし、東京での仕事を残しながら、地方の仕事を兼業・副業やフリーランスで受けていく、少しずつ地方の仕事の割合を増やしていくという段階を踏んだ移住が、フリーランスやパラレルワーカーならできると考えています。

そこで私たちが提唱しているのが、地方への「段階的な移住」です。

 

【段階的な移住】

Level1 週末を使ってプロボノ的に地方と関わりを持つ人

Level2 週の半分を地方に軸足置いて過ごす人

Level3 地方に軸足を置いて、事業を始めた人・地方の仕事を受けている人

Level4 地方に軸足を置いて、事業を軌道にのせている人

 

Level1では、平日週5日は都内で働きながら週末だけプロボノ的に地元で活動するという働き方。Level2では、週の半分くらいは、地方での仕事を行います。東京の会社に勤めてはいますが、週の半分くらいは地方に出張を増やしてみる、個人で地方の仕事を受けてみるという働き方。Level3では、家族は地方に移住し、東京の仕事を残しながら、東京と地方を行ったり来たりする働き方。Level4では、完全に地方での基盤ができて、事業が軌道に乗る状態にするというものです。

このように段階を踏むことで、地方とのかかわりを少しずつ増やしていくことができます。この考え方を東京の人材に波及させていくのはもちろんですが、地方で仕事がなければこの働き方そのものができないので、自治体と連携して、外部人材の活用のし方を地方企業に説明することを推進していきたいと思っています。そして、地方におけるフリーランスのコミュニティ形成や支援を行うという、3段階の構想を考えています。

今後も、フリーランス協会として「パラレルワーク・パラレルライフ」を提案していきたいと思います。

 

まとめ

今回、『「週4東京、週1地方」兼業で始める、新しい地方創生』イベントの各社(団体)プレゼンをまとめました。

現在、東京で働いている方でも、地方で活躍する機会はずいぶん増えていることがわかります。

レポート②では、本イベントのパネルディスカッションについてまとめ、地方で働く上で重要なことを更に深堀していこうと思います。

 

次回の記事⇒【レポート②】「週4東京、週1地方」兼業で始める、新しい地方創生

 

カテゴリー

人気ランキング(週間)

新着連載記事