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課長経験は転職先では評価されない?100年人生時代のミドル・シニアの働き方戦略を考える

「人生100年時代」という言葉は、昨年の流行語大賞にもノミネートされ話題になりましたが、もともとはリンダ・グラットン氏共著の「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」で提言されたものです。

本書では、人生は100年とすると、これまでの「三つのライフステージ、『教育を受ける』『仕事をする』『引退して余生を過ごす』というフローを大きく見直さなければならない」と語られています。

今回は、7月に発表されたKDDI総合研究所発行の「人生100年時代の働き方戦略」レポートを元に、一人ひとりが自分らしく働き、輝いて生きるために必要なことを考えていきたいと思います。


KDDI総研発行「人生100年時代の働き方戦略」レポートとは

昨今、平均寿命や健康寿命の延伸を背景に、定年後の生き方に対する関心が高まっており、レポートでは、特に「働き続ける」という観点で、私たちがどのような意識でどのように行動していけばよいか、現在の状況と今後の動向について述べられています。

<レポートのダウンロードHP> http://www.kddi-research.jp/topics/2018/070201.html


「生涯現役」に必要な備え


避けられない3つのリアル

1.   引退できない

年々延び続ける平均寿命。60歳で引退して年金で余生を謳歌できる人はごく一部です。年金の受給年齢は引き上げが行われており、60歳で引退すると少なくとも数年間の収入空白期間が生まれてしまいます。やはり、定年後も働き続けることは、その後の「老後」のためにも必要になってきています。

2. 収入激減

ハローワークを覗くと、定年後にセカンドキャリアの場を求めてさまようシニア世代を多く見かけます。団塊世代が一斉に引退した今、労働人口の減少は大きな問題となっており、実際には60歳以上を対象にした求人数は年々増加しています。

では、なぜさまよってしまうのか?それは、どうしても好条件の求人に応募が殺到してしまうからです。必要な収入、経験や資格、体力など、希望に近い再就職先を望んでしまうのは当然のことです。しかし、定年前の待遇を保証してくれる求人はほとんどなく、必然的に収入が激減してしまうのが現実なのです。

3.1社専業はリスク

シニア世代の再就職は、社会とのつながりや能力が発揮できる場が確保できる一方、日々目まぐるしく変化する業界の流れの中では、自分の技術やキャリアが“時代遅れ”で通用しないという厳しい現実に直面することも少なくありません。特に、生涯を一企業に捧げてきた人はその世界でしか評価されたことがなく、定年と同時に「あなたは何ができますか?」と聞かれ、茫然としてしまうそうです。


ミドル・シニア世代と企業の間にある谷

1.「働き続けたい」ミドル・シニア世代と悩む企業

定年後の雇用延長を望む働き手はやはり多いのですが、定年前の雇用形態を維持できるのは四分の一程度にとどまっています。しかも、必ずしも同様の仕事が継続できる保証はなく、雇用は継続となってもやりがいまで継続できるとは限りません。企業も定年年齢の延長に向け動いていますが、どう舵を切るべきか模索しているのが現状です。

セカンドキャリアを求めて、十数年働いた会社を離れる人も増えてきました。正規雇用でより高い収入を求める人、やりがいを求めて正規雇用だけでなく独立起業やフリーランスとしての生き方を考える人、それぞれがより良い将来を見据えて、それぞれの技術と経験を武器に未来を切り開こうとしています。

2. 企業側が望む人材とのギャップ

一般的に40代以降の転職は難しいと言われています。

「自分は課長の経験があるから有利なはずだ」と考える転職希望者もいますが、マネジメント職をピンポイントで募集していない限りは強みや売りにならないことも多いのです。そのようなミスマッチで転職が成功しない事例が多数存在しています。

人事評価というものはその企業風土や体質が多分に反映されていて、働き手は自分が管理職だったことで「評価された」と思っていても他社で通用するとは限らず、それ自体が一般でも通用する“スキル”とは呼べないこともあるということを忘れてはなりません。

3.  求められるスキルとは

企業は、経験や技術により利益を生みだしてくれる存在を欲しています。一見シンプルですが、特定の組織での評価はあまり重要視せず、客観的なスキルが求められていると言えます。

今後は、企業においても自社の利益だけを考えるような閉鎖的教育を脱し、定年後でも、また社外でも通用する「自律型人材」の育成に努める必要があります。それは、働き手のためだけでなく自社の未来にもつながるはずです。


新しいキャリアへの具体的なアクション

1. リカレント教育

社会人となった後でもキャリアアップなどを理由に一定期間職を離れ、勉強しなおすというものです。日本の社会人の89%が興味を示しているものの、実際の活用は0.17%にとどまっています。理由としては、教育費や離職中の生活費など金銭的問題や時間的問題などが挙げられますが、終身雇用が根強い日本の社会構造そのものに沿わないことが大きな原因ではないかと思われます。事実、企業の73%はリカレント教育を支援しないと回答しており、「本業に支障をきたす」、「実践的でなく、現在の業務に生かせない」などと否定的です。

政府としては、多様でフレキシブルな人材育成を目指して規制を緩和し、給付金額を引き上げるなどの措置で盛り上げようとしていますが、日本社会の仕事に対する考え方が変わらない以上、本格導入は厳しいという印象を拭えません。

2. 転職

一般論ですが、年齢が上がれば上がるほど狭き門となり、希望どおりには進まなくなります。”35歳の壁”と言われるように、企業が働き手に求めるものが変化しマッチングが難しくなるのかもしれません。ただ、ここ数年はミドル世代専用の転職エージェントも増え、活動も活発化しています。

3. ながら学習

企業の意識改革も進み、会社員をしながら副業を持つ人も増えつつあります。また、サードパーティ(第三者機関)のサービスを利用した他社留学も知名度を上げてきました。

エッセンス株式会社が提供するサービス「ナナサン」では、大手企業の社員が自社の業務をこなしながら一定の頻度でスタートアップ企業へ出向き、個人のスキルや経験を生かしてプロジェクトなどに参加します。参加者は、他社の業務に参加し貢献することで、自己のスキルをより客観視できるようになります。スタートアップ企業もまた新しい価値観を吸収でき、別の視点から問題に向き合いプロジェクトを推し進めることができるようになるとのことで、お互いにとってメリットがあり良い刺激となります。


自分をプロデュースする

これまでの議論から導かれる「セカンドキャリアで成功するポイントは何か」を筆者なりにまとめてみました。

  1. 環境が変わっても通用するスキル(ポータブルスキル)の習得
  2. 所有するスキルの市場価値(需給)の把握
  3. 人的ネットワークの拡大と更新

まずはスキルの習得です。外部の勉強会やトレーニングのチャンスにアンテナを張り、新しいスキルへの挑戦や、現在持つスキルのブラッシュアップに取り組みましょう。所属する社内でのみ通用するスキルにとどまることなく、他社でも勝負できるスキルを得る機会を逃さないことが大切です。

次に、自己のスキルの客観視です。自分はどれぐらい「売れる」スキルを持っているのか、定期的なスキルの棚卸しが欠かせません。

3つ目に、人脈をどんどん広げましょう。そして良き人脈は大切にしましょう。所属する組織はもちろん大切ですが、普段の生活において信頼できる人や自分を信頼してくれる人をより意識してみてください。

最後に、セカンドキャリアで活躍する先輩方の体験談や成功の理由をご紹介します。冷静で着実な事前準備と自分との対話の大切さがわかります。参考にしていただき、ぜひ「売れる自分」のプロデュースにお役立てください。

※3名のインタビュー詳細は上記のレポートをご覧ください。


・K氏(60代)

事前準備: サイトの開設や勉強会の開催など

成功のポイント:

人とのつながり、行き詰まっても読書することで一歩踏み出す勇気をもらったこと


・H氏(50代)

事前準備: 資産の見通し

成功のポイント: 納得して仕事をすること


・T氏(40代)

独立のきっかけ: やりたいことへのこだわり

成功のポイント:

  • 自分の市場価値を知ることで、独立へのイメージを具体的に思い描ける
  • 副業、ボランティアなど動いてみることが大切


【参考】

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/06/100-22.php

https://www.morecareee.jp/media/jinsei100nen-m-0329

http://nanasan.essence.ne.jp/


イベントを開催します


人生100年時代の人材活性×働き方戦略「活躍し続けるためのキャリアを描く」@KDDI

本記事で取り上げたKDDI総合研究所発行の「人生100年時代の働き方戦略」を下敷きに、ミドル・シニア世代の個人の方と、セカンドキャリアの支援を行う人事担当者を対象に、今後のキャリアや働き方のあり方を考え、今後のキャリアとしてプロボノ、副業、地方活躍、シニア独立などの多様な選択肢を事例を交えてご紹介するイベントを開催します。


・コンテンツ:

1.アイスブレイク

2.「人生100年時代の働き方戦略」レポート内容解説(株式会社KDDI総合研究所 松本 延孝氏)

3.パネルディスカッション「幸せなセカンドキャリアを創るための働き方戦略とは」

4.ワーク(未来の人生年表作成)


・パネラー

-藤岡 雅美氏(役人/看護師・保健師)

-賀門 宏一氏(フューチャーシップ株式会社 代表取締役)

-米田 瑛紀氏(エッセンス株式会社 代表取締役)

-松本 延孝氏(株式会社KDDI総合研究所)


・イベント概要

日時:8月29日(水)19時~21時30(受付:18時30~)

場所:渋谷ヒカリエ34F KDDI株式会社セミナーホール(東京都渋谷区渋谷2-21-1)


イベントの詳細はこちらから

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7/30|アフターコロナのBtoBマーケティング ~DX時代に押さえるべきマーケティングの新常識とは?~

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7/29|戦略的人事構想会議「第3回: 今考えるべき、アフターコロナの戦略的人事構想 」

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