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ポスト平成の「組織と個人」はどうなる?未来の会社のカタチを考えるための9つのキーワード

来年2019年の4月末に平成が幕を閉じようとしています。

人口減少や産業構造の複雑化を背景に、これまで以上に社会情勢は変化していくでしょう。個人の「働き方」や企業の「人材の活用の仕方」も例外ではなく、新たな仕事文化が生まれるでしょう。

ポスト平成では「組織と個人」はどのような関係性になるのでしょうか?

時代とともに変わる社会の形と、未来の会社の形にかかわってくるであろう9つのキーワードを紹介します。

限界を迎える昭和と平成の組織モデル

高度経済成長を背景に、持続的な企業成長が期待できたため、企業は効率的な組織運営が可能だった昭和時代。既存事業の拡大を目指し、新卒採用を増やし、終身雇用と年功序列制度を定着させ、俗にいう日本型の会社組織像を創り上げました。

その後、バブル景気の崩壊により多くの企業が破たん、生き残った企業も経営が芳しくない状況になります。

人員コスト削減のためのリストラを受け、職を失う人が増えたのですが、日本の採用は変わらず新卒採用を求める流れが続き、中途採用は厳しい状況となり、非正規雇用で働くことを余技なくされた人々が増加しました。

また、インターネットの普及により、商品を作るだけではなく知識や情報の提供が重視される流れとなり、全ての産業に情報技術が用いられるようになりました。

急速に進むデジタルシフトにより産業構造の複雑化が進んでおり、今までの常識が崩れ去ろうとしているため、あらゆる領域で新たな事業創造が待たれています。

 

平成時代の新たな概念「ダイバーシティ」と「インクルージョン」

高度経済成長期を象徴する「男性・正社員・日本人」という、同調性の高い人々が集まり組織を形成するというあり方は、少子高齢化による労働人口の減少に伴う人材不足の深刻化・常態化、個人の働き方に対する志向の多様化により考え直されるようになりました。

また、女性の雇用推進や定年延長、外国人労働者の増加から、パートタイムなどの家事や介護と両立して働く人のための短時間労働やダブルワークなどの働き方の多様化が、組織のダイバーシティ(多様性)を進めることとなりました。

文部科学省はダイバーシティを、多彩な人材の属性や考えを認めて、様々なニーズに溢れた環境に迅速かつ柔和に対応できるという、多様性を活かす戦略として位置付けています。

また、最近注目を集めているのが「インクルージョン」です。

インクルージョンは、組織に属するすべての人材がプロジェクトに参加・貢献することができ、それぞれの能力や経験を活かし、個人を尊重し能力を最大限発揮できる環境であることを指し、ダイバーシティを発展させた、あるいは同時に行う人材開発のあり方です。

ダイバーシティにより人材を集めただけでは、元々組織に属していた人々から排斥され、活躍の機会が与えられないため、組織に定着せずに他へ流出してしまうという問題が生じてしまいます。

人材の流出を防ぐためにも、経験や能力を重視した評価制度や給与体系への見直し、社内での提案やプロジェクトへの参加を促すような、組織が一体化し、お互いの存在を認め合う雰囲気や環境創りを、企業は戦略的に取り組まなければなりません。

 

ポスト平成の会社の形を考えるための9つのキーワード

①ダイバーシティ&インクルージョン

1980年頃からアメリカで誕生した考え方です。様々な人材を受け入れた状態のことをダイバーシティ、その人材を職場が受け入れ働きやすい環境が形成されている状態のことをインクルージョンであると認識されています。

日本では、減少する労働人口への穴埋めという側面も強いですが、多彩な場所から優秀な人材を確保することで、クライアントやお客様からの新たなニーズに応じることができる人材を獲得し、イノベーションを促進するという意味合いで力を注ぐ企業も増えてきています。

 

②タレントマネジメント

働く人材のタレント(能力、才能)などの情報の一括管理を行い、それを参照しながら最適な人材配置や育成を行うことを言います。

個人の能力を瞬時に見極めることができるので、適切に人材を配置することが容易になり、スピーディなビジネス展開や適性に合った業務に就かせることで、働くことへの意欲維持やスキルアップが見込めます。

優秀な人材は現在働いている組織よりも、より良い組織を見つけると転職を考えることがありがちであると思います。タレントマネジメントには優秀な個人を魅了し続けるための機会を提供する側面もあり、人材の流出防止につながることも期待されています。

また、全ての人を適性の中でスピーディに成長させることのできる米国型を取ることで、日本企業にみられる「遅い昇進」「横並びのマネジメント」を打破し、個の持つ能力を最大限に活かすことでイノベーションが促進される可能性もあります。

 

③雇用によらない(兼業・副業など)多様な働き方・働き手

人手不足のために即戦力を求めるという言葉を耳にするようになって久しいですが、会社がキャリア形成機会を提供することに限界が生じてきています。また、働くことへの価値観も多様化を見せています。

そんな時代の後押しもあり、一人ひとりが個人でキャリアの開拓を行い、それを企業が理解し、サポートする体制を取るという仕組みが、少しずつ広がりを見せています。キャリアを積むための活動も多様化しており、社内での座学・OJTだけではなく、社内兼業や社外活動、そのための支援サービスも拡大しており、副業やプロボノ(現在働いている分野で行うボランティア活動)、大人のインターンなどが、マッチングサイトを通じて気軽に行えるようになってきました。

しかし、必ずしも理解が広がっているわけではなく、副業や兼業の考え方が広がるには活用側の企業の拡大がまだまだ必要となります。

 

④リモート社員&脱・就業時間

リモートワークとは会社のオフィスで働くのではなく、自宅やコワーキングスペースなどで離れて業務を行う形態のことです。会社とのやり取りは電話やインターネットを介したメールやチャットを使用して行います。

世界各国で増加傾向にある働き方で、日本ではクリエイターやエンジニアを中心に広がりつつあります。

就業場所を選ばないので地方に住みながら都心の企業で働くことができ、また、この逆も可能となります。場所や時間に縛られない為、一人ひとりのライフスタイルに合わせることで、就業時間という縛りから抜け出して働くことも可能となります。

最近では、就業時間を自由に選ぶことのできるフレックスタイム制度を導入する企業も増え、中にはそもそもの就業時間自体を一律に短くする企業も登場しています。企業と働く個人が対等な立場となり、丁寧なコミュニケーションを取ることが必要となってくるので、互いを活かしあう関係を築くことができるのが特徴です。

 

⑤人事評価制度改革

現在、多くの大企業の人事評価では、MBOとコンピテンシー評価が使用されています。

MBOとはグループまたは個別で目標を設定し、それに対しての達成度で評価を決める制度で、コンピテンシー評価は理想とされる状態をコンピテンシーモデルと定め、そのモデルを実現するために一人ひとりが目標設定し、周囲の評価や自己評価を用いて査定を行う方法です。

日本ではMBOが多く用いられていましたが、近年のビジネスモデルの変化から現在はそぐわないものとされています。そして、昇進や昇格に対しての評価は上記のような評価基準があったとしても現場から上がってくる「評判」に頼っている面が日本企業にはあるようです。

日本が長年人事評価を参考にしてきたアメリカでは、管理するための評価を取りやめ、業績を最大化するためのあらゆることがマネジャーの役割だと定義が変わり、現場での対話やリアルタイムでのフィードバックを行うなど、タイムリーな成長を重視する動きが生まれ、これまでの成果主義から、人とのつながりを重視する貢献主義へと変わりつつあるようです。

 

⑥ミドルの活性化

現在の働き手で多くの割合を占めるのは40~50代のミドル層と言われています。彼らは企業の中核を担う層でもあり、この世代が活性化すると日本全体が活性化すると言っても過言ではありません。

彼らの再活躍、活性化の鍵はミドルに差し掛かった段階からあらためてキャリアデザインを描けるかにかかっています。社内での「昇進」や「プロ化」「異動」のほかに、社外への「転職」「独立」、そしてこれからは上記の「副業」「プロボノ」なども選択肢として現れてきます。

企業としては、彼らのキャリアデザインを支援するために、まずはその支援の対象をリストラ時や退職間近の限られた社員に絞るのではなく、その間口を広げて広い層の社員の「自分らしいキャリア観」の育成を行う必要があります。

セカンドキャリアを支援する際は、企業とのマッチングにおいて専門知識やスキルだけに注目するのではなく、仕事の仕方や環境変化への適応力などミドルならではの強みを「見える化」することが重要です。また、上記で紹介した大人のインターンなどを利用して、本番(退職や転職)より前に本気で他社での体験を「お試し」することへの支援も必要となります。

 

⑦新卒一括採用からの転換

日本の歴史上、100年近く続く新卒一括採用にも転機が訪れています。

母集団を形成し絞り込んでいくのが現在のスタイルですが、選考方法は書類や面接に頼っているのがほとんどです。これにより学歴やSPIの結果、面接の上手い下手で人材を判断し、優秀であったとしても「学歴がよくない」「面接が下手だった」などの理由で不合格になってしまうこともあるようです。

こうしたことを避けるために、インターンや本音採用、職業能力全般を探る選考システムを利用し新しい選考を行う企業も出てきました。

また、新卒一括採用の合理性を問い、大学1年生からの選考、新卒採用の廃止などを行う企業も登場しています。

 

⑧コンサル人事

人事の役割もより高度化しています。これからの人事は「コンサルティング」の機能を求められるからです。コンサル人事の顧客は、経営陣や会社の社員です。

現状ですと、経営層の要求で、経営の効率性追求がメインの役割になることが多く、社員への価値提供が疎かになることが多々見受けられます。

今後は、事業部には人事制度に関するコンサルティングと、経営戦略と人事マネジメントを接合することによるより効率的な人材能力の開発を進めていく必要があります。

また、コーポレート向けには管理職要件を明確化し、事業部間に横串を通すことによる全体のレベルアップを図る役割が問われます。

上記のような役割を果たすには、知識や技術、社内外のネットワーク、圧倒的な当事者意識が必要不可欠となるでしょう。

 

⑨キャリア権

昨今注目を集める労働者の権利として「キャリア権」があります。

キャリア権とは、働く人々は自ら職業キャリアの開発や選択を行い、それによって幸福を追求することができ、企業や会社は個人のキャリア形成を保護、支援すべきであるといった法概念であり、企業が持つ「人事権」に対して労働者が持つ権利であると主張されています。

2002年に法政大学教授である諏訪康雄氏が、キャリア形成の現状と支援政策の在り方について報告書をまとめ、働く環境の変化に対応するには個人の職業経験の蓄積と蓄積したキャリアを保証する必要があると訴え、キャリア権を提示しました。

1つの企業で定年まで働くことが難しくなり、定年後も第2の人生を歩まなければいけないという時代背景の変化から、複数のスキルを磨くことや自らスキルの向上を図ることが重要となり、近年注目を浴びています。

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