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社員の「越境体験」をデザインすることが「顧客体験の向上」に繋がる


 こんにちは、エッセンス株式会社の島崎です。


 当社では越境研修サービスを提供しており、主に大企業の社員の皆様にベンチャー企業やNPOに越境していただき、異文化や最新の技術、社会課題に触れてもらいながら自社にはない視点やスキルを獲得してもらう機会を提供させていただいております。


大企業にありがちな「顧客との距離」

 日々、大企業の皆様と接する機会をいただいているのですが、感じるのは「顧客との距離」です。自身が担当しているサービスや製品が顧客にどう届き、どんな使われ方をしているのかが分からないというのです。


 製品のコモディティ化が進み、また、世界的なSDGsの認知拡大により、ユーザーがまだ言葉にもできていないが、必要としている価値にいかにリーチし、熱狂的なファンを生み出していくかが重要になっています。


 そんな中で「顧客との距離を感じている」状況は競争優位性を獲得していく上で障害となるのではないでしょうか。


多様なステークホルダーの体験を考える

 私は、この状況の改善には「WORK EXPERIENCE(WX)」という考え方が重要なのではと考えています。これは「UX(USER EXPERIENCE)」と「EX(EMPLOYEE EXPERIENCE)」から着想を得た考え方ですが、多様なステークホルダーの体験を考える上で有用ではないかと思っています。


 「WORK」は多くの意味を内包しており、日本語の「仕事」や「作品」のほか、「成果」「商品」「営み」などの意味も指します。


 つまり「WORK EXPERIENCE(WX)」とは、社員からすると「就業体験」を指し、会社からすると「成果体験」を指します。 また、消費者からすると「商品体験」、社会から見ると「営みの体験」とすることができるのではないでしょうか。


体験価値の最大公約数を探る

 つまり、WORK EXPERIENCEの最大化とは、社員・会社・消費者・社会それぞれの体験価値の最大化であり、これらステークホルダーの体験価値の最大公約数を探ることにほかなりません。では、この最大公約数を導く鍵は何かというと、「社員の越境体験」だと思うのです。


 会社の壁を越えて、俯瞰して自社を見る、他社の価値に触れる、そして、自身の心の奥底にある心の声に気づく。そんな社員の越境機会を創出し、越境後の活躍を引き出すこと、そんな越境体験・ジャーニーを創り出すことが、これからの時代に必要なWORK EXPERIENCEを生み出していく第一歩ではないかと思っています。

島崎 由真(エッセンス株式会社)