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【越境を支援する4社が登壇】「越境サミット2020夏」イベントレポート

 コロナ禍により、働き方に揺らぎが起きています。企業にとっては「雇用リスク」が顕在化し、時代に即時対応するためにプロジェクト型の組織形態を模索し始めました。また、個人にとっては「所属企業の経営悪化リスク」が増し、副業や非営利活動など「キャリアの複線化」に対する関心が高まっています。

 これまで人材開発の領域で語られてきた「越境」というキーワードが、業務委託人材(越境人材)の活用、自社社員の越境人材化(フリーランス・副業社員化)という文脈で頻出するようになってきました。

 今回は、これからの越境人材を採り入れた組織づくりと社員の越境支援をテーマに開催された「越境サミット2020夏」のイベントレポートをお届けします。

※グラフィックレコーディングはグラフィックカタリスト 成田 富男さんの制作・提供です。

 成田さんのサイトはこちら



 実際に企業のフリーランス・副業社員活用を支援し、一方で、社員の副業や副業類似の働き方も支援している4社が集い、その実態を紹介しながら、越境を通じて自由かつパフォーマンスの高い働き方や組織を実現する未来に向けた活発な議論が行われました。


オープニング講演(法政大学大学院 政策創造研究科教授 石山 恒貴先生)

 まず初めに、国内における越境分野研究のパイオニアであられる法政大学の石山恒貴教授によるプレゼンテーションが行われました。テーマは「越境が企業と個人にもたらすもの」です。


 時代の変化が激しい中、固定化された組織ではなく、課題ごとにプロジェクトを創りまさに「オーシャンズ11型」の働き方が広がっていくのではないかとお話されました。事例として、広島県福山市が行った副業人材の公募で5名の県外の方が活躍されているエピソードを紹介し、中にはロート製薬の社員さんが新しい視点で観光のヒット企画を生み出した例もあるとのことでした。



主催4社の代表による「ウチの越境サービス」プレゼンテーション

 次に、越境サービスを展開する主催4社によるプレゼンテーションが行われました。自社での働き方を紹介しながら、実際に企業に対してどのような形で越境の支援をされているのか、紹介されていました。

 最初に登壇したのは、株式会社エンファクトリー 代表取締役社長 CEOの加藤 健太さん。専業禁止を掲げ、積極的に社員の副業を推奨されています。チームランサーというサービスを通じて、フリーランス同士がチームとして活動する支援をされています。また、大企業の副業マネジメントツールとして副業特区というサービスも提供されています。


 続いて、株式会社Waris 代表取締役/共同創業者の田中美和さん。広報や人事などのビジネス系フリーランスのマッチングサービスを提供されています。ほかにも、ライフイベントなどで離職されている方を対象に復職を支援するワークアゲイン事業も展開されています。


 3人目は株式会社シューマツワーカー 代表取締役の松村 幸弥さん。副業で働くワーカーを副業社員と呼び、企業とマッチングするサービスを提供されています。自社の社員の40%が副業しており、そのメリットとして①プロ意識・主体性、②ストレス発散・やりがい、③収入・心の余裕、④他からのインプット、⑤自社の副業ユーザーの理解を挙げていらっしゃいました。


 最後は、エッセンス株式会社 代表取締役の米田瑛紀さん。プロ人材を企業に紹介するサービスを展開。自社の社員を他社に留学させる研修サービスも提供されています。


「ウチの越境人材」セッション

 次に、主催4社それぞれに、社外から雇用ではなく業務委託という形で関わっている4名の越境人材が登壇し、働き方の中身や自身の経験から得られたことについて紹介がされました。

「社員の皆さんが、本業以外で副業でサービスを立ち上げるときも、相談を頂くことがあります」とお話された柏原 浩志さん。株式会社オールアバウトで経営管理本部 広報グループ マネージャーを務めながら、、エンファクトリーでもマーケティング・広報の支援をされています。


 2人目はWarisリクルートコンサルタント/サーキュラーHR編集長の稲葉哲治さん。働きはじめたときから既にパラレルで働かれており、複数の活動を行うことは人間として自然な「ナチュラルボーン」であるとコメントされていました。


 3人目は株式会社シューマツワーカー CMOの高橋 舞伎さん。


 4人目はスナック引き出し ママ/エッセンス 他社留学事業 部長の木下 紫乃さん。もともと夢見ていた大人のインターンを既にサービスとして提供しているエッセンス社との出会いが、今の業務委託で部長を行うことにつながったとお話されました。


「ウチの越境社員」セッション

 最後に、社員として働きながら社外で副業やプロボノなどの複業を行っている皆さんが登壇し、複業をはじめたきっかけやその醍醐味について紹介されました。

 1人目は株式会社エンファクトリー プロマッチングユニット長の慶野 忠志さん。


 2人目は株式会社Waris ワークアゲイン事業 統括/Waris Innovation Hub プロデューサー 小崎 亜依子さん。


 3人目は株式会社シューマツワーカー カスタマーサクセス責任者の申 晶樹さん。


 4人目はエッセンス株式会社 リクルーティング事業部 部長/一般社団法人グローバル人事塾 運営メンバーの廿楽 知実さん。