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「8割の学生が注目!イマドキの福利厚生を調べてみた。」

福利厚生は大事!とはよく聞きますが、正しい意味や役割については、意外と知らないものです。

「福利厚生」という言葉を調べてみると、「福利」は「幸福と利益」、「厚生」は「豊かな生活」という意味だそうです。

一体どのような制度なのでしょうか。



法定福利厚生と法定外福利厚生

福利厚生には大きく分けて二種類あります。

法律で定められている「法定福利厚生」と、企業が独自で導入している「法定外福利厚生」です。

雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、厚生年金保険といった社会保険料の負担や児童手当拠出金、業務上の事故や病気の際の休業補償などは法定福利厚生に入ります。


学生の重視するポイント1位が福利厚生に

人手不足が叫ばれる今日、企業の将来を担う学生たちは福利厚生についてどのように考えているのでしょうか。

就職活動サイト「ジョブウェブ」が行ったアンケートによると、76%もの学生が「企業選びで”福利厚生などの制度”を重要視している」と答えています。

具体的に学生が気にしているポイントとしては以下があります。


・有給休暇は消化できるか?連続休暇がどれくらいとれるか?残業代は出るか?

・重視するのは仕事内容だが、ON/OFFを切り替えて集中するために十分な休暇が必要

・従業員をどれだけ大切にしているのかという指標となる

・制度が整っていても実際に使える「雰囲気」かどうかが重要

・育児面でのサポート、ダイバーシティの寛容さ、男性の育児休暇をどう捉えているか


また、マイナビが実施した「2017福利厚生をチェックするとき特に注目しているポイント」に関するアンケートによると、1位は「社宅や家賃補助」、2位は「通勤交通費の支給」、3位は「リフレッシュ休暇」となっています。

安心して働けるかどうか、しっかり休めるかどうか、その度量が企業にあるかどうかを見極めようとしているようです。

そうは言っても、すべての企業が大企業のように充実した福利厚生を準備できるわけではありません。

昨今では政府も、ワークライフバランスを考慮するよう働きかけをしていますが、いまだに年次有給休暇の取得率は上がっていません。

また、「リフレッシュ休暇」の導入率も、従業員数1000人以上の大企業に限れば40%を超えましたが、中小企業を合わせるとたったの11%しかありません。

その点だけを見ても、ほとんどの企業が学生の希望を満たす福利厚生を整備できてはいないのが現状です。


理想の働き方とは~従業員の「権利と社会的な義務」

アルバイトを経験している学生は多くいますが、学生アルバイトの社会的責任は比較的小さく、就職すれば相当の責任を負わなくてはなりません。

ここでは学生の身分を卒業し、社会人となった際に背負うことになる社会的義務を考えてみます。


1.企業活動に寄与する義務

就職をすれば担当業務を与えられ、企業に売上、利益をもたらす必要があります。

学生アルバイトのように就業時間に対して業務があてがわれるのではなく、一戦力として個人の適性や能力に応じた「職務」が与えられ、その遂行に努力する責任、義務があります。


2.社会の構成員となり、貢献する義務

企業活動に貢献することは、ひいては社会に貢献していることになります。

社会全体の経済活動の一翼を担い、世界規模の大きな歯車のひとつとなるのです。


3.自己管理をする責任

企業に属すれば、その役割を果たすために様々な制約があります。

時間や約束を厳守し、体調管理をし、立場に合った行動をとるなど、当たり前ではありますが、大きな責任です。

また、自分や家族の生活を守り、健全な社会生活を送らなくてはなりません。

このように、就職後の社会的責任は小さくなく、実際に多くの人がその責任を果たすために日々努力し、時には残業もし、スキルアップを模索しつつ働いているのです。

当然、企業は福利厚生の名の下に、従業員が安心して持てる力を発揮できる環境を提供する必要がありますが、同時に従業員はその待遇に見合った貢献をしなければなりません。ギブアンドテイクの関係です。


意識調査で浮かび上がる「職場の現状」

福利厚生に力を入れても人材が離れてしまう、と嘆く企業も多いです。従業員のモチベーションを下げてしまう職場の実態はどうなっているのでしょうか。

リクナビNEXTによる退職理由ランキングによると、


 1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった

 2位:労働時間・環境が不満だった

 3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった


となっており、意外にも主な理由は「人間関係」だというのです。加えて、2位のように長時間労働を強いる環境への不満も多く見られました。

では、これらの問題に対して、現状の福利厚生で対策はできているでしょうか。

人間関係に関しては法定福利厚生では当然サポートできず、企業独自の福利厚生に頼るしかありません。

長時間労働についても、有給休暇制度の徹底やリフレッシュ休暇の導入などで対策するしかありませんが、中小企業では人材不足などを理由に、導入に現実的な壁がある場合もあります。

しかし、朝日生命保険相互会社のアンケートによると、7割以上の従業員が「残業せず平日もプライベートの時間を確保したい」と考えてるという結果となっています。

従業員の意識と企業のシステムが噛み合っていないことも、離職を促す一因になっている可能性があります。

さて、このような状況をどの企業も手をこまねいているかといえば、実はそうでもありません。近年では、ユニークな福利厚生で学生や転職希望者の注目を集める企業も増えてきました。


イマドキの福利厚生

○ピアボーナス

日本企業の多くは人事評価を直属の上司のみに委ねていることが多く、上司と合わなければ仕事そのものがうまくいかない!という声も少なくありません。また、現行のシステムでは、上司から見えない仕事の成果は報酬には反映されにくく、その不公平さは大きな問題となっています。

そんな中、にわかに注目されているのが「ピアボーナス」です。

「ピア」とは同僚の意味で、仲間同士が互いに評価し合い、その結果を社内での評価に反映するという方法で、日本でも導入する企業が現れ始めました。

この流れを受けて、登場したのが Unipos(ユニポス)というシステムです。

スマートフォンやチャットツールを利用し、仲間同士が相手の成果を誉めたり、感謝したりした際にそれをポイントにして相手に送る仕組みで、企業はその結果を評価に反映させます。

実際に導入した企業は、このシステムのおかげで従業員が個々の必要性を互いに認め合うようになり、相手の仕事がスムーズに進むようにひとりひとりが意識して行動するようになったと話しています。

また、定量評価が難しいエンジニアやバックエンドに対しても、相応の評価をすることができるようになり、従業員のモチベーション向上にもつながっているようです。


○merci box(メルシーボックス)

merci box(メルシーボックス)とは、メルカリが独自に設置する福利厚生の名称で、介護休業時の給与の100%保障(最大3ヶ月)、認可外保育園利用の際の差額負担、全社員の死亡保険加入など、ユニークな支援を行っています。

メルカリでは従来の福利厚生に加えて、皆に平等なサポートという考え方を逆転させ、生活におけるリスクを支えることに重点をおいたシステムを導入しています。

この動きの根底には、メルカリが従業員に期待する「Go Bold」(大胆にやろう)という企業理念があります。法定福利厚生では届かない生活の不安をサポートすることで、従業員には「大胆に」働いてほしいとの想いを反映しているのです。

実際にメルカリでは、男性の育休取得率が9割を超えているそうです。


○1時間単位有休

パナソニックでは、介護や子どもの学校行事、育児、出産などに使える「ファミリーサポート休暇」を使いやすく、1時間単位で取得できる新しいシステムを今春から導入しています。

これまでの半日単位での取得条件を取り払うことでより利用しやすくし、有給休暇に対する抵抗感を取り除く狙いもあるようです。

1時間単位の有給休暇制度は、ワークライフバランスの向上を目指して2010年から導入され始めていますが、労使協定の締結が必要なため労働組合が機能していない企業では難しく、また勤怠管理が複雑になる、業務の能率を損なうなどの懸念があり、導入率は伸び悩んでいます。


うちの会社はどうすべきか?

「イマドキ福利厚生」事例を挙げましたが、実際には環境も条件も百人百様で、あそこがやってるからうちも、というのは無理があります。

事実、企業規模によっては必要でないものや、機能しないアイデアもあり、100社あれば100通り有ってしかるべきです。


福利厚生はあくまで、従業員にとって仕事のしやすい環境の整備が目的です。

経営陣を含め、一人ひとりがイキイキと働き、お互いに成長し、企業活動や社会に貢献できるプラットフォームを提供することが、モチベーションやパフォーマンスの向上につながるのでないでしょうか。

他社の取り組みを知ることで、自社の福利厚生のあり方について考えるきっかけにしていただければと思います。



参考:

https://media.o-sr.co.jp/recruit/recruit-16053/

https://company.jobweb.jp/research/a-118694

https://bizhint.jp/keyword/13290

https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/4982/

http://www.asahi-life.co.jp/company/pressrelease/20171030.pdf

https://www.bengo4.com/c_5/n_7623/

https://mag.smarthr.jp/interview/detail/what_is_mercibox/

https://hcm-jinjer.com/media/contents/b-contents-hitoteku-unipos-180110/