元楽天のECプロが実現する酒販×ECの可能性

2017年6月、改正酒税法が施工され、酒類業界に衝撃が走った。

改正酒税法は、量販店やディスカウント店での過剰な安売りを防ぎ、中小の酒屋の競争力を高めて経営を安定させることを目的としたもので、酒類業者(製造・卸・小売)は正当な理由なく総販売原価以下での酒類の安売りをしてはいけないことが定められた。

この法改正は大手酒類業者にとって逆風となることが予想されたが、そのような業界の環境変化にいち早く対応しようと、法改正前からEC(イーコマース)での酒類販売を開始していた企業がコンタツ株式会社(以下、コンタツ)である。

コンタツは、創業93年の大手酒類・食料品総合卸として小売店や飲食店に酒類を卸してきた。アマゾンなどの大手ECサイトの台頭もあり、新しい販売チャネルを模索した結果、卸としては異例のECでの酒類販売に踏み切ったのである。

「会社としてもECには非常に注力しています。今までの社内のリソースを考えると、EC事業とは非常にシナジーがあると感じました。しかし、我々は卸ですので、toBのノウハウはありますが、toCに向けての販売ノウハウがなかったんです。そんな時に、エッセンスプロパートナーズサービスを知り、“スピードを買う”ことができるところに魅力を感じ、プロの方にECを見てもらうことを決めました」(津久浦社長)

コンタツは2011年からEC事業を開始し、EC事業そのものは今年で7年目を迎える。今まではEC専門のチームなどはおいていなかったが、注力することを決定してから専任担当者の採用も行い、現在はEC事業に中江部長と3人の担当者がついた。このメンバーが実務を担当しながら、EC事業に精通したプロ、永井氏のアドバイスを受け、動いているのだ。

「最初に社長から、私が担当するEC事業に専門のプロが来るというのを聞いた時は驚きました。なんの相談もなかったので……。ですが、社内にはない知見を持つ方が来てくれるというのは非常に喜ばしいことでしたし、即効性があると感じました。実際に入ってもらってからも、月2回の打ち合わせ以外の時間もメールなどでプロが対応してくれるので大変助かっています」(中江部長)

月数回のディスカッション以外の時間もプロはアドバイスをくれる。プロは、クライアントと「向き合う」のではなく「一緒の方向を見る」ことが重要なのだろう。

【EC事業のプロフェッショナル永井氏】

酒類の卸売り業を営む企業では異例のEC事業を開始したコンタツに入ったのは、元楽天株式会社のECコンサルタントを務めた永井貴博氏である。

永井貴博氏プロフィール
早稲田大学卒。2004年株式会社JTB入社。06年2月楽天株式会社入社、楽天市場事業に配属。年間売上最大のショップオブザイヤー(エリア含)を同時に6店舗輩出、13年1月楽天グループ総合 MVP第1位受賞。教育先進国オランダへの短期留学を経て、13年9月楽天株式会社退社。エッセンスプロパートナーズの登録プロとしてECコンサルティングを行う。

永井氏は、エッセンスからコンタツの案件について説明を受けた時、「伸びる可能性しかない」と思ったという。

「案件の説明を受けた時、まだコンタツの方とはお会いしてなかったのですが、資料を拝見したらすでに細かい分析をされていて、現状の把握と課題が明確になっていたんです。珍しいパターンだと思います。いい商品があって、働いている方々の意欲が高いという点で、あとは細かい部分のノウハウを自分が提供できれば、確実に伸ばすことができると感じました」(永井氏)

永井氏がECのアドバイスを行うにあたり、まず「あるべき姿」と現状のギャップを埋めるための施策を週ごとに立てた。それをコンタツ担当者とのディスカッションを通してブラッシュアップする。

「この“あるべき姿”をえがくのが一番難しいんです。その会社の既存のリソースを最大限活かした時にその会社がどのような状態になるのか描かなければいけませんから。ただ、それを描けるところに自分の価値があると思っています」(永井氏)

時には、コンタツの持つ倉庫に訪問し、担当者と共に顧客が求める商品を探すこともあるという。「すでにある良いものを掘り出し、お金に変える」ことをモットーにした永井氏らしいアプローチだ。

永井氏がECのアドバイスを開始して約5カ月。ECチームも立ち上がりを見せ、EC事業は順調に成長している。

中江部長は永井プロから、「早く自走できる組織になって、自分から卒業してほしい」と言われていると話す。プロが入ることで、プロの持つノウハウが社内に蓄積され、いずれはプロから“卒業”する。

ビジネスの成長には、社外人材を活用することにより社内にかけているピースを埋め、その知見を社内に貯めることが鍵となるのである。

そのサイクルをプロと共に構築することが事業成長を加速させることにつながるのだ。


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